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目覚め2

爆発音と共に飛び込んで来たのは軍服姿の女性だった。

軍服姿の女性は爆発音が収まると同時に人差し指を唇に当てて静かにするように少年に伝えた。

するとドアの向こうから重く低い足音が一歩、また一歩と近付いてくるのが聞こえた。

ドアの方を向いて押し倒されて、女性に静かにするよう伝えられたネオ・イシリアスはその女性の言うように物音を立てず固まったまま静かにしていた。

静まりかえったドアの向こうから何かが来る。

足音からして人間とは思えない。

牛か熊か。

嫌、そのどれとも異なる異質な気配。

不気味な気配だ。

はっきりとした殺意ではなく、プログラムされた機械のように無機質で悪意のない純粋な目的遂行の意思。

近付いてくる。

話し合いなど通じる相手ではない。


足の先端が見えた。

鋭く尖った骨のような物が三脚のように伸びている

あれは何だ!

見たことがない足だ。

イシリアスはその姿に釘付けになっていた。

生物としては未完成であるような剥き出しの骨と肉。

殺傷能力のみに進化したようだ。


頭部のような物が見えた。

やはりそうだ。捕えた獲物を食す為の口がない。

あれは骨や肉があるが生物ではないのだ。


心臓の音が高鳴る。

完全なる化け物。それ以外の言葉が見つからない。

イシリアスは目が泳ぎ、呼吸が粗くなった。

眼の前で唇に人差し指を当てているこの女性だけが心の支えだ。

その女性は瞬きを一切せず、全く微動だにしない。

呼吸を浅くして気配を断っているのか、まるで呼吸をしているのかさえ怪しい。

瞳の色は真っ黒だ。呑み込まれそうなほど真っ暗だ。

赤く染まった肉塊が通り過ぎ、後ろ足が通り過ぎた。

無限のような時間が過ぎると、化け物が向かって行った方から銃撃音が鳴り響いた。

銃撃音がすると女性は瞬きをし、立ち上がった。

そして薄い氷瀑のような声でイシリアスに言った。

「少年。ほら君も立ち上がれ」

イシリアスは呆気に取られながらその女性の手を取り立ち上がった。


向こうからは依然として、銃撃音が鳴り響く。

謎の女性は入口付近の壁に背中を押し当て、手鏡越しに怪物の様子を伺っていた。

イシリアスもその姿に習い、壁に背を押し当てていた。

腰に付けている無線機が受信した。

「中佐!大丈夫ですか!応答して下さい!」

女性は無線機を手に取り、慣れたように応答した。

「こちらザリス中佐。問題ない。少年を1人保護した。救助する。今から部屋から脱出し、そちらに合流する。援護を頼む」

「中佐!こっちは時間稼ぎで精一杯です!援護は期待しないで下さい!」

「いや。時間稼ぎたけで十分だ。」

そう応答するとザリス中佐は無線機を腰に付け直した。

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