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★アドリブ等はストーリーを捻じ曲げない
雰囲気を壊さない程度であればOKです
★性別の入れ替えはおやめください
愛陰弄22歳♂♀
見た目は少年のようで息をするように毒を吐く上から目線
子供っぽい部分がある
小さい頃から体が弱くて車椅子生活をしている。
光野陽太23歳♂
陰弄の助手兼雑用係
あることをきっかけに助手になることになった
明るく世話好きだが陰弄に頭が上がらない
宝生來夢25歳♀
捜査1課の新人刑事
真面目な性格
後藤誠二31歳♂
坊主頭に筋肉質で細身の1課の刑事
來夢の先輩
明るく誰にでも優しい朗らかな性
本多茉莉花♀25歳
今回の事件を追っているフリーの記者
熱血感で事件を追う
すぐ首を突っ込もううとして厄介な部分もある
古宮隆♂23歳
茉莉花の助手
大人しい性格で人と話すのはあまり得意としない
ちゃんと喋れるのは茉莉花だけ
ニュースキャスター♂♀
(茉莉花役か隆役被り推薦)
M心の声
陰弄:
陽太:
來夢:
誠二:
茉莉花:
隆:
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
陽太M「ここはヒイラギ探偵事務所。
今日も俺達は依頼が来ず…暇を持て余していた。
陰弄が腹を空かしているらしく…
偉そうに頼んできたので作っている。
唯一陰弄が俺を褒めてくれた特技の一つだ。」
陰弄「まだか光野!
遅いぞ!」
陽太「はいはい…
できたぞ!
特製チャーハンだ!」
陰弄「いちいち特製をつける必要はない!
お前が作ってたのはわかってることだからな!」
陽太「こうゆうの言うと料理っぽくなるじゃん?」
陰弄「意味がわからないな…
あむ……ん……相変わらず料理だけは!…得意みたいだな…」
陽太「まぁな!
一言余計だけどな…」
陰弄「もっとレパートリーが増えればいいんだがな…」
陽太「それは言わないでくれよな…」
陰弄「お前が作れる料理はなんだ?」
陽太「えっと…カレー、焼きそば、チャーハン…かな?」
陰弄「ふっ…もうちょい精進するんだな…
あむ………んっ?…この味は…」
陽太「おっ?わかるか?」
陰弄「隠し味にオイスターソースを使ったのか…
悪くないな…」
陽太「さすがカゲ!」
陰弄「調子にのるな…」
陽太「相変わらず手厳しいなぁ…」
陰弄「…ごちそうさま…」
陽太「カゲって…食うの早いな…」
陰弄「どうでもいい食事に時間をかける必要はない…」
陽太「ハハッ…せっかく作ったのにひどいなぁ…」
キャスター「ニュースをお伝えします。
昨日…午前3時8分ごろ…
土手にある広場で…遺体が発見されました。
ここ1週間の間に起きている連続殺人事件の関連として警察は調べているようです。
詳しいことが分かり次第…続報をお届けします。」
陽太「そういえば最近このニュースで持ちきりだなぁ…
なんだっけ…確か名前があったような…」
陰弄「道化師…」
陽太「そうだ!悲しみの道化師だ!」
陰弄「…死体を発見した奴はビビりながらもやったことがなかなかおかしかった…
恐怖に怯えながらも初めて見た死体に興奮したんだろうな…
発見した時に死体と胸の上に置かれたメモに書かれていた文字を持ってたスマホで撮ってから警察に連絡…
もちろんそのことは警察には言ってなかった。
ビビりながら撮ったせいか…少し震えてブレてたらしい…
その画像から唯一読み取れた文字が…悲しみの道化師…」
陽太「そいつすごいよなぁ…
ある意味…肝が据わる…」
陰弄「その画像をネットにバラまいた…
どうせネットで持て囃されたいが故の行動だろうな…
すぐに画像は削除されたが…そんなもんはなんの意味もない…
色々なところに残ってる…
今となっては…ネットの世界で生きる奴らのオモチャだ…
そいつはIPアドレスを調べられて逮捕…
今時のやつなら知ってそうだが…興味と欲に負けたか」
陽太「まぁ…そんな奴は多いよなぁ…」
陰弄「だろうな…」
陽太「でも…そうゆうのカゲも見るんだな…
意外だな!」
陰弄「…むしろ世の中の表と裏を知ることができるのは今やテレビやラジオじゃない…
ネットだよ…外にも出れない僕みたいな奴にはもってこいの世界だ…
今のニュースだってそうだ!
テレビって言うのは世間体でできてる!
だからちょっとしたことも隠しながら放送したり…
全てを包み隠したり…
それがテレビだろ!
嘘で固められたのがテレビだ…」
陽太「偏見がすげえけど…まぁ一理あるとは思うよ…
そういえばカゲはこの事件に関わらないのか?」
陰弄「なぜ僕が関わる必要があるんだ?」
陽太「いや…探偵だろ?」
陰弄「探偵だからって関わるわけ無いだろ!
なんでもかんでも首を突っ込むほどお人好しに見えるか?」
陽太「見えないな…」
陰弄「だろ?
依頼なら別だが…」
SEノック音
陽太「ん?はい!あいてますよ!」
誠二「よう!」
陽太「あれ…どうしたんすか?
珍しいっすね!」
誠二「たまたま近くを通ったからな!」
陽太「そうなんですね!
よかったらお茶でも飲みます?」
誠二「あぁ…ありがとう…」
陰弄「ふっ…光野…お茶は4杯だ…」
陽太「4杯?3人しかいないのに?」
誠二「何を言ってんだよ陰弄…」
陰弄「そこに隠れて仏頂面でこっちを見てる奴にも出してやれ…と言ってるんだ…」
來夢「だ…誰が仏頂面ですか!」
陽太「あれ…宝生さんも…」
來夢「あっ……」
誠二「バレたか…」
陰弄「当たり前だ!」
來夢「だからやめようって言ったんですよ!
それに私はここに来ることも嫌だったんです!」
陰弄「だったら帰ればいいんじゃないか?」
來夢「むぅ……帰りませんよ!
後藤さんの部下ですから!」
陽太「まぁまぁ!お二人さん落ち着いて!」
來夢「私は落ち着いてます!」
陰弄「眉間にシワ寄せてどこが落ち着いてるんだ?」
來夢「あなたって人は…」
陽太「そ…そういえばうちの事務所に来るなんてどうしたんですか?
よかったらソファにどうぞ。」
誠二「あぁ…ありがとう
とりあえず落ち着け宝生…」
來夢「し…失礼しました。」
陽太M「そして宝生さんは俺の洗い物を手伝ってくれて…
後藤さんと陰弄はソファに座り話し合いをしていた。」
陰弄「それで?なにか用事か?」
誠二「力を貸してほしい…」
陰弄「お前が珍しいじゃないか…
僕に改めて頼みに来るなんて…
いつも遠回しに依頼をするくせに…」
誠二「今回は色々と事情がな…」
陰弄「事情?」
誠二「実はな…いつも依頼の件で世話になってる上司
が入院中で頼めないんだよ…
だから今回は自腹でも出すよ…」
陰弄「相当切羽詰まってるみたいだな…」
誠二「まぁな…」
陰弄「いいだろう…
僕は依頼料さえもらえたら文句はない…
お前が個人って言うなら特別に一般人価格にしてやる…」
來夢「陽太さん…」(小声)
陽太「ん?」(小声)
來夢「優しいんだがそうじゃないんだか…
私にはわかりかねます」(小声)
陽太「俺もだよ…」(小声)
來夢M「本当に…この光野陽太という人間も変わっていて…
私にはついていけない…」
誠二「すまないな陰弄…」
陰弄「気にするな…
それで?依頼ってなんだ?」
誠二「お前も名前ぐらい知ってるだろ?
悲しみの道化師…」
陰弄「あの連続殺人犯か…」
誠二「そうだ。」
陰弄「もちろん知ってる…」
誠二「この事件の解決を急ぎたい…」
陽太「ふぅ…宝生さんのおかげで早く終わったよ
ありがとう!」
來夢「いえ…大丈夫ですよ!」
陽太「そんな真剣な顔してどうした?」
陰弄「お前も座れ光野…」
陽太「ん?…ってことは?」
陰弄「ふっ…事件が僕達を呼んだんだ…」
陽太「なるほど…
じゃあ失礼して…」
誠二「お前も座れ!」
來夢「は…はい!
失礼します!」
陰弄「まずは…事件の概要と情報を分かる限りくれ…」
誠二「わかった。宝生…頼んだ。」
來夢「わかりました。
最初に事件が起きたのは1週間前の早朝4時頃…
1人目の被害者は山崎一28歳独身…
職業は無職
右腕が肩から損失。薬で眠らされた後、
心臓をナイフで一突きされた状態で家の近くの公園で発見されました。
次の事件がその2日後…今から4日前ですね。
早朝3時頃…場所は職場近くの雑居ビルの屋上です。
2人目の被害者は田山優子33歳独身…
職業はコンビニでアルバイトをしているそうです。
左腕が肩から損失。同じく薬で眠らされた後
心臓を一突きされた状態で発見されました。」
誠二「そして3人目…今ニュースでも騒いでる…
昨日の深夜…2時頃…職場の近くの土手で遺体が発見され
た…
原田和輝20歳独身…
職業は警備員。
太ももの付け根あたりから左足が損失。
同じく薬で眠らされた後
心臓を一突きされた状態で発見された。
毎回体の一部が損失した状態で発見されてる…
明らかな連続殺人事件だ…」
陽太「酷いな…」
陰弄「それぞれが体の一部を奪われてる…
理由はなんだ…」
誠二「それがわかれば苦労しないよ。
あとはこれ…」
陰弄「写真か…」
誠二「直接持ってくるのは無理だったからな…
メモの写真だよ。」
陰弄「これは…」
陽太「メモねぇ…」
陰弄「読んでみろ…」
陽太「はいはい…えっと…
お前らの罪を…我が償うチャンスをやる。
死を持って償うべき命…我が身を持ってわからせてやる。
悲しみの道化師…」
陰弄「これがメモの全容か…
偉そうな態度…
何様のつもりだ…」
來夢「あなたがそれを言いますか?」
陰弄「なんだ新米…」
誠二「ハハッ…今のはお前が1本取られたな陰弄…」
陰弄「ちっ…そんなことはどうでもいい…
何が目的か…なんのための行為か…
まだ謎だらけ…か…」
來夢「きっとただの愉快犯ですよ…」
陽太「だろうな…愉快犯じゃなきゃこんな意味のない
殺人なんて起こさない…」
誠二「お前らな…」
陰弄「お前らはバカなのか?」
來夢「またそんな言い方を…」
陽太「俺なんか変なこと言ったか?」
陰弄「新米も光野も少しは考えろ!
確かに殺人犯は殺人犯だ!
ただ…世の中に意味のない殺人は存在しない!
その殺人犯にとっては意味があるんだ!
だがそれを良いものとするわけがない!!
そいつらの罪を暴くのは……僕のような探偵や…誠二のような警察だ!
殺人犯も人間…
それくらいは理解しておけ!
これからもその立場でいる気があるならな…」
來夢「どんな理由があったって…
私は…そんなものは理解できません…
殺人犯は…ただの悪でしかないんです。」
陰弄「ふっ…まぁいい…」
誠二「ん?電話か…ちょっと悪い…
もしもし後藤です。
はい…はい…えっ?……はい…わかりました。」
陽太「なにかありました?」
誠二「…4人目の被害者が出た…」
陰弄「僕達を現場につれていけ…」
誠二「言われなくてもそうするさ!
宝生!陽太と一緒に先に行って車を出しといてくれ!
俺はすこしだけ陰弄と話がある!」
來夢「わ…わかりました!」
陽太「すぐ来てくださいね後藤さん!
カゲをお願いします!」
誠二「あぁ…わかってるよ…」
來夢M「後藤さんは陰弄さんとなんの話を…
いや…今はそれよりも…犯人の確保が最優先…
必ず殺人犯は…捕まえてみせる…」
陰弄「それで?
わざわざ僕と二人きりになってなんのようだ?」
誠二「宝生のことだ…」
陰弄「宝生?あぁ…あの新米か…
それがどうした…」
誠二「さっきのことだ…
あいつは犯罪者が憎い…
お前に言い方が強かったのもそのためだ…」
陰弄「気になどしてないさ…」
誠二「あいつは…中学生のときに妹を誘拐されて…
その上殺された…」
陰弄「フッ…そんなことか…
よくある話だな…」
誠二「かもしれないな…
だけど…あいつは純粋すぎる…
道を外さないようにしてやらないと…
向こう側に行かないようにしないと…」
陰弄「まあ…僕には関係がないことだが…
そこまでしてやる理由が僕にはわからないな…」
誠二「…刑事として正義ってところかな…」
陰弄「フッ…正義ねぇ…」
誠二「とにかく行こう…
あいつらが待ってる。」
陰弄「そうだな。」
陽太M「そして俺達は…二人と合流して第四の現場である…廃工場へと向かった。
そこには警官が何人もおり…宝生さんは先に車から降り…
情報を聞きに向かった。
俺達は車の外で待ち……5分ほどで宝生さんは戻ってきた。」
誠二「おつかれさん…
宝生どうだ?」
來夢「はい!現場にいる警官に状況や情報を聞いてきました」
誠二「すまないな…」
來夢「いえ!大丈夫です!」
誠二「状況説明を頼む…」
來夢「被害者の名前は宮下透38歳独身
職業は会社員
発見された時間は深夜1時頃…
太ももの付け根あたりから右足が損失。
薬で眠らされた後、心臓を一突きされた状態で土手の河原付近で深夜1時頃に発見されました。」
誠二「だそうだ…」
陰弄「なるほどな…いつもと同じか…」
來夢「いえ…それが…少しだけ違ったんです。」
陰弄「なに?」
來夢「遺体の顔の横辺りに砕けたガラスの破片がありました…」
陰弄「ガラスの破片?」
誠二「外なんだからそんなもんあってもおかしくないんじゃないか?」
來夢「ですよね…一応報告しておこうかと…」
陰弄「ガラスの…破片か…」
陽太「俺こうゆうちゃんとした現場来るのってはじめてだけどさ…
カゲは現場行かないのか?」
陰弄「僕は警官達の一定数に嫌われてるみたいだからね…」
陽太「なにかしたんじゃないか?」
陰弄「失礼な!僕がなにかするわけないだろ!
それに探偵って言うのは警察に嫌われてるもんだ!
なぜなら自分たちの代わりに事件を解決しちゃうなんて…警察からしたら邪魔でしかないからなぁ!
ほとんどの警官はポイントがほしいだろうし…
ドラマみたいに警察に気に入られる探偵なんてそうはいないだろうなぁ!」
陽太「そんな嫌みったらしいことを…
向こうにいる奴らに聞こえちまうぞ?」
陰弄「フッ…聞こえたからなんだというんだ?
僕は事実を言ってるだけなんだけどな…」
陽太「こんなこと言わせといていいんですか後藤さん…」
誠二「あいつらもあいつらなりに頑張ってんだ!
あんま言わないでやってくれよ陰弄!」
陰弄「ふん!…頑張ってるなら事件が起きない世の中にしてほしいものだ…
まぁ…そうなると僕が無職になってしまうがな…」
誠二「安心しろよ…世の中から犯罪が無くなることなんて…有り得ないからな…」
陽太「警察がそれ言っていいんですか?」
誠二「いいんだよ!
事実だしな…」
來夢「全部は無理でも…目の前にある事件だけは…犯人だけは…必ず捕まえてみせます!」
陰弄「真面目すぎるのもいいが…しっかり刑事としての仕事はしてくれないと困るぞ?」
來夢「本当にあなたって人は…わかってますよ!」
陽太M「俺がいつものように…間に入ろうとした直後…
現場の方から騒がしい声が聞こえてきた。」
茉莉花「その人が死んだ理由はわかってるんですか?
前の事件との繋がりはわかったんですか?
もしかして犯人が捕まったんですか?
わかったなら私に任せてください!
必ず世間に事件の本質を見せてやりますよ!」
隆「ちょ…ちょっと茉莉花さん…
あまり適当なこと言わないほうが…」
茉莉花「はぁ?こんな事件ほっとけないでしょ?
特大スクープよ?
この犯人を私が独占インタビューで記事にするんだから!」
隆「ぼ…僕らはフリーだからそんな権限ありませんよ!」
茉莉花「だったらそれを許可してくれる雑誌を探す!
それだけよ!」
隆「そ…そんな無茶苦茶な…」
陰弄「あの騒がしい奴らは誰だ?」
誠二「あの二人か?
最近この事件の現場に毎回現れるフリーライターだ。」
陰弄「ふっ…人の不幸を食い物にするゴミ共か…
僕は記者という存在が嫌いなんだ…」
陽太「あの人たちだって仕事なんだ。
勘弁してやれよ…」
陰弄「知ったことか…」
誠二「記者にいい印象なんてある奴がいるとは俺も思わねえけど…
あんま気にすんな!
よくいる野次馬だと思っとけばいい…」
陰弄「そうだな…」
茉莉花「ん?あれって…
ウソウソ…ウソでしょ…」
隆「どこ行くんですか茉莉花さん…」
茉莉花「ちょっとまって!
そこの黒い車に集まってる人たち!」
陽太「俺達の方に向かってきてないか?」
來夢「陽太さんもそう思いますか?」
誠二「ハハッ…間違いなく来てるなこりゃ…」
陰弄「ちっ…トラブルはゴメンなんだがな…」
茉莉花「車椅子にのってる少年のような姿…
あなたもしかしてヒイラギ探偵事務所の愛陰弄さんですか?」
陰弄「なんで僕を知ってる?」
茉莉花「実は前に車椅子の探偵がいるって噂聞いてて調べてもらったんだ!
名前が確か…」
陰弄「タロウか?」
茉莉花「そうそうタロウ!」
陰弄「ちっ…あいつか…」
陽太「タロウって…確か情報屋の…
友達じゃないのか?」
陰弄「友達?フッ…バカを言うな!
僕に友達などいない…
あいつはただの情報屋…
味方でもなければ敵でもない。
金さえ払えば情報は誰にでも売るが
あいつの情報量は日本を変えることができるぐらいの情報を持ってる。
だから誰も手を出さない。
味方だとはおもうな…」
陽太「へぇ…
そんなふうには感じなかったけど…
まぁ…気をつけるよ。」
茉莉花「あの…話いいですか?」
陰弄「なんだ…まだいたのか」
茉莉花「そりゃいますよ!」
陰弄「なんのようだ…」
茉莉花「私はフリーカメラマンをしてる本多茉莉花!
ほら!あんたも自己紹介して!」
隆「古宮隆…茉莉花さんの助手をしてます。」
陰弄「そんな奴らがなんのようだと聞いてるんだ…」
茉莉花「陰弄さんのインタビューをさせてください!」
陰弄「断る…」
茉莉花「なんでですか!
有名になるチャンスですよ?
私が有名にしますから!」
陰弄「興味がない…」
茉莉花「興味がない人なんているわけないじゃないですか!しかも探偵なら、なおさら有名になったら稼げるじゃないですか!」
陰弄「確かに依頼料はもらう…
だけど有名になりたいわけじゃない…
そんなつまらない謎に興味もない…」
茉莉花「そんなこと言わないでインタビューに答えてくださいよ!」
陽太「やめといたほうがいいよ?
本当に興味がないんだよこいつは…」
茉莉花「誰ですか?」
陽太「こいつの助手の光野陽太だけど…」
茉莉花「助手!?ちょっとあなたの話聞かせて!」
陽太「いや…俺も無理だな…」
茉莉花「インタビューしたいだけだから!
ちょっと隆もなんか言いなさい!」
隆「いや…茉莉花さん…もうやめたほうが…」
陰弄「他にもいたのか…
そいつを止めてくれ…」
隆「僕は…あの…すいません…」
陰弄「謝るんじゃなく止めてほしいんだが…」
隆「無理…です。ごめんなさい…」
陰弄「なんなんだこいつは…」
誠二「はいストップ!」
茉莉花「ちょっと!なんですかあなたは!」
誠二「何回も現場に来てるのに見たことないのか?」
茉莉花「ないですね…」
誠二「はぁ…俺は捜査1課の後藤誠二だ…」
茉莉花「刑事さんですか!?ぜひインタビューをさせてください!」
誠二「刑事がペラペラと情報を話せるわけがないだろ?」
茉莉花「もう!ケチ!」
誠二「ケチって…」
隆「もう帰りましょうよ茉莉花さん…」
茉莉花「何言ってるの!情報を聞かずして離れられるわけ無いでしょ!」
來夢「私達は職務があるのでそろそろよろしいですか?」
茉莉花「あなた誰?」
來夢「失礼しました。
捜査1課の宝生來夢と申します!」
茉莉花「あなたも刑事さん?じゃあこの事件に関してインタビューさせてください!」
陰弄「いい加減にしてくれないか?」
茉莉花「えっ?」
陰弄「僕達はお前らみたいなお遊びでここにいるんじゃない!」
茉莉花「なっ…私だって遊びじゃありません!」
陰弄「人の不幸を面白おかしく記事にしてお金をもらう…
そうゆう奴らが僕は嫌いなんだ…」
茉莉花「あなただって…人の不幸でお金をもらってるんじゃないんですか?
人が死んだから事件として扱われ…それを解決してお金をもらうんじゃないんですか?
記者と探偵…何が違うっていうんですか?」
陰弄「お前ら記者と一緒にするな…
僕は依頼されたから事件を解決するだけだ…
それ以外に意味はない…
さっきから聞いてれば…お前みたいになんでもかんでも根掘り葉掘り聞いて…さらには被害者のまわりを嗅ぎまわって…それを記事にして…自己満足に浸る…
挙げ句の果てに有名にしてみせる?
ふざけるのも大概にしろ!
反吐が出る…」
茉莉花「警察はまだしも…探偵なんて有名になってこそじゃないんですか?
そのために探偵やってるんじゃないんですか?
じゃなかったらなんのためですか?
まさか正義のヒーローとかに憧れてるとか言わないですよね?」
陰弄「ふっ…お前に何を言っても意味はない…」
陽太「その辺にしとこうぜ…」
陰弄「行くぞ光野!」
陽太「あいよ…」
茉莉花「ちょっと!まだ話は終わってませんよ!」
隆「僕達も帰りましょうよ茉莉花さん…」
茉莉花「隆も悔しくないの?
あんなこと言われて…
誇りはないの?」
隆「僕は…誇りというかなんというか…
僕は犯人が捕まるためになればいいだけで…」
茉莉花「もういい!
帰るわよ!」
隆「は…はい…」
陽太M「そして俺達は…事件をまとめるために事務所へともどった。」
陰弄「全く…なんだったんだあの女は…」
誠二「いつも記者には悩まされるよ。」
陽太「俺も記者って奴はどうも苦手なんだよなぁ…
仕事だって言うのはわかってるんだけどな…」
來夢「私は…全員とは言わないけど記者にもいい人はいると思うので…
なんとも言えません…」
陰弄「意外だな…
お前はてっきりそうゆう奴らは嫌いだと思ってたんだがな…」
來夢「なんでもかんでも嫌うわけではありません!」
陰弄「…そうか…」
誠二「とりあえず…これからどうする?」
陽太「そうだなぁ…
事件が起きる場所とか被害者の共通点が分かればなぁ…」
陰弄「僕達はエスパーじゃない…
そんなものがわかれば僕達みたいな探偵も警察もいらない…」
陽太「そりゃそうなんだけどさ…」
陰弄「おい誠二!
聞き込みしてる奴らはどうなってるんだ?」
誠二「まだ来てないな…
終わったら俺にメールが来るはずだけどな…」
來夢「聞き込みは私達が行くはずでは?」
誠二「俺達はここに来て陰弄に情報を渡す…
それが今俺達にできることだ…」
來夢「そう…ですか…」
陰弄「不満そうだな新米…」
來夢「当たり前です!
探偵とは言え…あなた方は一般市民です!
そんな人に力を借りて…
犯人を捕まえるなんて…」
陰弄「お前も他の奴らみたいにポイントがほしいのか?」
來夢「そ…そんなんじゃありません!
私は…私自身の手で…犯人を捕まえたいだけです!」
陰弄「なら力をつけろ…
知識をつけろ…」
來夢「そんなことは…私自身が一番わかってます!
わかってるからこそ…悔しいんじゃないんですか!」
誠二「もうやめとけ宝生…」
來夢「なんで…なんで後藤さんは自分で捕まえないんですか?
なんで後藤さんは…探偵に頼って悔しくないんですか?
私たち警察は…なんのためにいるんですか?」
誠二「………ふぅ」
陰弄「そんなことを誠二に言わすな…」
誠二「いいんだよ陰弄…」
陰弄「いや…これだけは言っといてやらないと僕の気が済まない…
新米…お前は何もわかってない…」
來夢「なにがですか?」
陰弄「警察って言うのはいるだけで意味があるものだ…
いるだけで犯罪を未然に塞ぐこともできる…
もちろん100%ではない…
だが…少なからず犯罪者が動きづらくなる…
けど…警察は実際問題なにかが起きないと動けないことも事実…」
來夢「確かに…そうかもしれません…
けど…私は警察として犯罪者を捕まえなければならない義務があります!」
陰弄「そんなの当たり前だ!
僕が言ってるのはそんな当たり前なことじゃない…」
來夢「じゃあ…なんだって言うんですか!」
陰弄「プライドを捨てろ…
刑事に一番邪魔なのはプライドだ!」
來夢「プライド…?」
陰弄「誠二はそれを捨てたんだ…
犯罪者を捕まえるために…
僕は誠二を利用してる…」
來夢「利用?」
陰弄「そうだ…
それと同じように誠二も僕を利用してる…
それが僕と誠二の信頼を繋いでるんだ!」
來夢「そう…なんですか?
後藤さん…」
誠二「……そうだ……」
來夢「……そうですか……」
陰弄「ショックか?」
來夢「すいません…
少し頭を冷やしてきます…」
誠二「なんか悪いな…」
陰弄「気にする必要なんてない…
僕が気にいらなくて言ったことだ…」
陽太「さすがに少し言いすぎじゃないか?」
陰弄「僕があいつを優しくフォローする理由がない…
それとも…お前が行くか?」
陽太「いや…俺には何も言葉か思いつかねえよ…」
陰弄「だろうな…」
誠二「おっ…メール来たぞ?」
陰弄「僕が伝えたことは聞いたんだろうな?」
誠二「あぁ…もちろん!」
陽太「何を聞いたんだ?」
陰弄「休日の過ごし方を家族に聞いてもらった…」
陽太「はっ?なんで休日の過ごし方なんて聞いたんだ?」
陰弄「あとで説明してやる…」
間
茉莉花「もう!なんなのあの探偵!
絶対許さない!」
隆「落ち着いてくださいよ!
確かに言い方は良くなかったけど…
間違ってない部分もあったと思います。」
茉莉花「はぁ?あんたあいつらの味方するの?」
隆「そうゆうわけじゃないですけど…」
茉莉花「じゃあどうゆうわけよ!」
隆「いや…なんていうか…
あの人って知る人ぞ知る探偵なんですよね?
犯人を捕まえて…すごいって思ってしまって…」
茉莉花「何言ってんの!違うわよ隆!
すごいのは記者よ!
だって色々な人の話を聞いて…それを元に日本中に情報を流す!
どんな事実だったとしても…真実を日本中に流す!
そしてみんな真実を知り…悪いやつを懲らしめられるのよ?
探偵なんて能書き垂れて偉そうにしてるだけ!」
隆「そうなんですかね…」
茉莉花「そうなの!とりあえず…私帰るから!」
隆「お…お疲れ様でした!」
間
陽太M「その頃…宝生さんは外に出て一人考えていた。」
來夢M「私は…職務中に何をしてるんだろうか…
先輩に、断りもなく出てきてしまった。
一体私は何がしたいんだろう…
なんで私は刑事になったんだろう…
なんで私は……ここに立っているんだろう…
そんなことは何度も考えてきた。
そのたびに何度も悩んできた。
結果…答えが出た試しなんてない。
陰弄さんの言うプライドを捨てる…
理解はできる…
私は…後藤誠二と言う一人の刑事に憧れ…
その人の背中を追うために…
刑事になったんだ。」
間
來夢「ふぅ……ふん!」(両手でほっぺを叩く)
誠二「よう宝生…
落ち着いたか?」
來夢「はい…
勝手に飛び出してしまいすみませんでした!」
誠二「いいよ。
俺は気にしてない…」
陰弄「早くしろ光野!」
陽太「わかってるよぉ!」
來夢「陰弄さん…」
陰弄「……頭は冷えたか新米?」
來夢「はい!」
陰弄「なんか…ほっぺが赤いぞ?」
來夢「き…気にしないでください!」
陰弄「ふっ…まぁいい!」
陽太「おまたせ!」
誠二「宝生…車を出してくれないか?」
來夢「どこかいくんですか?」
陰弄「車で話しながら向かう。」
陽太M「そして俺達は車に乗り込みある場所に向かった。
その道中…車内では陽太の疑問に答えるところだった。」
誠二「悪いな。運転させて…」
來夢「いえ…これも新人の仕事なので…」
陽太「それで?事務所で言ってた休日の過ごし方ってなんだ?」
來夢「休日の過ごし方?」
陽太「被害者の家族に被害者の休日の過ごし方をきいてもらったんだってさ…」
來夢「なんでそんなことを?」
陰弄「それを今から説明する。
答えはシンプルだ。
個人それぞれに直接繋がりがなかったとしても…
世の中には知らずして繋がってることもある…
それを僕は知りたかった。
案の定…共通点が見つかった…
ネットの中にな…」
誠二「ネット?」
陰弄「そう…ネットだ。
そのデータが誠二の部下から送られてきた…
僕はそれを閲覧して…確信した。
被害者達は全員…過去にいじめられてる人間や些細なミスをした人間をターゲットに…
誹謗中傷していた。
さっきメールでタロウに調べさせたら…
ターゲットにされてた連中は…それを苦に全員自殺してたよ。」
陽太「誹謗中傷で自殺か…
じゃあ、この事件って…」
陰弄「あぁ…どっかの誰かが正義を掲げてやった…
身勝手な復讐だ…」
來夢「到着しました!」
陰弄「まだ警察の連中はいるか?」
來夢「えっ?
あ…はい。今すべてを終えて撤収作業をしてるところです。」
陰弄「新米!」
來夢「なんですか?」
陰弄「もしもまだ…ガラスの破片が警察署に証拠として持って行かれてなかったら…
それを僕に持ってきてくれ…」
來夢「わ…わかりました。行ってきます!」
陽太「ガラスの破片なんてどうするんだ?」
陰弄「少し気になってな…」
來夢「おまたせしました陰弄さん!」
陰弄「あったか?」
來夢「はい。ギリギリでしたが…」
陰弄「みせてくれ…」
來夢「これです。」
陰弄「これは…」
誠二「なにかわかったのか?」
陰弄「ふっ…誠二…」
誠二「ん?」
陰弄「お前は少し休んだほうがいい…
まわりをよく見るためにもな…」
陽太「何言ってんだよカゲ…」
陰弄「新米…
はじめて会ったときもそうだが…
やっぱお前は勘だけはいいみたいだな…」
來夢「どうゆうことですか?」
陰弄「お前のおかげで少し事件に近付けそうだ…
僕が褒めてるんだ!
感謝ぐらい言ったらどうだ!」
來夢「あ…ありがとうございます…」
陽太「自分で言うことじゃないと思うけど…
でも…カゲが褒めるなんて珍しいな…」
陰弄「僕だって褒めるときはある!
人をなんだと思ってるんだ!」
陽太「はいはい…
悪かったよ!」
陰弄「全く…
ただ…なにかスッキリしない…」
誠二「何がスッキリしないんだ?」
陰弄「少し黙っていてくれないか誠二…」
誠二「はいはい…
わかったよ。」
陽太「また始まったか…」
陰弄M「思い出せ…
思い出すんた…
僕はなにを気にしてるんだ…
なんでスッキリしないんだ…
あと一歩なんだぞ…
僕の武器はこの頭脳だろ…
しっかりしろ……愛陰弄!!」
間
來夢「最初に事件が起きたのは1週間前の早朝4時頃…
1人目の被害者は山崎一28歳独身…
右腕が肩から損失。薬で眠らされた後、
心臓をナイフで一突きされた状態で家の近くの公園で発見されました。
早朝3時頃…
2人目の被害者は田山優子33歳独身…
職業はコンビニでアルバイトをしているそうです。
左腕が肩から損失。同じく薬で眠らされた後
心臓を一突きされた状態で発見されました。」
誠二「深夜2時頃…職場の近くの土手で遺体が発見された
原田和輝20歳独身…
職業は警備員。
太ももの付け根あたりから左足が損失。
同じく薬で眠らされた後
心臓を一突きされた状態で発見された。
毎回体の一部が損失した状態で発見されてる…」
來夢「被害者の名前は宮下透38歳独身
職業は会社員
発見された時間は深夜1時頃…
太ももの付け根あたりから右足が損失。
薬で眠らされた後、心臓を一突きされた状態で土手の河原付近で深夜1時頃に発見されました。」
茉莉花「私はフリーカメラマンをしてる本多茉莉花!」
隆「古宮隆…茉莉花さんの助手をしてます。」
茉莉花「探偵なんて有名になってこそじゃないんですか?
そのために探偵やってるんじゃないんですか?
じゃなかったらなんのためですか?
まさか正義のヒーローとかに憧れてるとか言わないですよね?」
隆「僕は…誇りというかなんというか…
僕は犯人が捕まるためになればいいだけで…」
間
陰弄「そうか…そうだったのか…」
陽太「なにかわかったのか?」
陰弄「あぁ…じゃあ行こうか…
闇に咲くヒマワリを探しに…」
間
隆「ん〜……ここの風はやっぱり気持ちいいな…
僕の安らぎの場所だ…
そろそろ言うべきかな…
でも…茉莉花さんは気付いてそうだけど…
いや…それはないか…」
茉莉花「あっ…やっぱここにいたんだ…」
隆「えっ!?…あれ?茉莉花さん…
帰ったんじゃなかったんですか?」
茉莉花「うん…
ちょっと忘れ物して戻ってきたらいないからもしかして…と思ってね。」
隆「知ってたんですか?」
茉莉花「うん!
私は記者よ?
調べるのはお手の物!」
隆「それは少し怖いですけど…」
茉莉花「ふふっ!
冗談よ!たまに屋上で遠くを見てるのを見かけてたから!」
隆「そうだったんですね!
帰らないんですか?」
茉莉花「うん!少し用事があってね!」
隆「そうなんですか?
実は僕も言いたいことがあったんですよ。」
茉莉花「そうなの?
ならちょうどよかったかもね!」
隆「はい…そうですね。」
誠二「待った…」
來夢「はぁ…はぁ…」
隆「あなた達は…」
茉莉花「確か捜査1課の…」
誠二「改めて…捜査1課の後藤誠二です。」
來夢「はぁ…はぁ」
このビル……エレベーターないんですか?」
誠二「もうちょい運動したほうがいいぞ?」
來夢「大きな…お世話です…
……ふぅ……少し落ち着いた……」
隆「一体どうしたんですか?
ここは私達がお世話になってる会社の屋上ですよ?」
來夢「ちょっとあなた達に用事があると言ってる人がいまして…」
隆「誰ですか?」
陰弄「僕だよ…」
茉莉花「あなたは…愛陰弄さん…」
陽太「下ろすぞ?」
陰弄「あぁ…」
陽太「よいしょっと…」
陰弄「やはりここは落ち着くな…
ふっ…悪いな…みっともない姿を見せた…」
茉莉花「それはいいですけど…」
來夢「道路からここに向かって来たら屋上に古宮隆さんがいたので来ました。」
隆「一体…なんですか?」
陰弄「なぁに…
ちょっと謎をときにね…」
隆「謎って…」
茉莉花「まさか事件の犯人が…」
陰弄「わかったよ。」
茉莉花「教えてよ!
それを記事にして犯人に天罰を…」
陰弄「その前にだ…
一つ質問がある…
いつもカメラを持ち歩いてるのはどっちだ?」
茉莉花「カメラですか?」
陰弄「そうだ…」
茉莉花「カメラだったら…」
隆「ぼ…僕がいつも持ち歩いてます…
一応茉莉花さんの助手ですから…」
陰弄「なるほどな…わかった…」
隆「そ…それがなんだって言うんですか?」
陰弄「お前…カメラを1台なくしてないか?」
隆「えっ!?」
茉莉花「カメラを無くした?
そうなの隆?」
隆「いや…その…」
茉莉花「どうなの?」
隆「な…無くしました…
数日前に…」
茉莉花「なんで言わなかったの?」
隆「茉莉花さんに怒られると思って…」
茉莉花「全く…
子供じゃないんだからそれぐらい言いなさい…」
隆「す…すみません」
茉莉花「でも…なんで急にカメラのことなんて…」
陰弄「ちょっと気になることがあってね…」
茉莉花「一体なんの話をしてるの?
犯人は誰なのよ!?」
陰弄「まずは落ち着け…本多茉莉花…」
茉莉花「じゃあ早く言ってくださいよ!」
陰弄「全く…せっかちなもんだ…
現場にあるものが落ちてたんだ…」
隆「それは…」
茉莉花「ガラスの破片?」
陰弄「そう…
ただし…普通のガラスじゃない…
これは…光学レンズ…」
茉莉花「光学レンズ?」
陰弄「あぁ…カメラを使う人間ならしってるはずだ…
カメラでよく多様されることの多い特殊なレンズだ…
その破片が現場で発見された。」
隆「えっ…」
茉莉花「どうしたの隆?」
隆「いや…」
陰弄「どうした?隠し事はよくないぞ?」
隆「実は…無くしたはずのカメラが…
僕のカバンに戻っていたんです…」
陰弄「ほう…」
茉莉花「壊れたカメラ…
まさか隆…アンタ…」
隆「違う…違う…僕じゃない…僕じゃない!」
茉莉花「じゃあなんで隠し事なんてしたの?
知らない内に戻ってきたなんてありえるわけないじゃない!」
隆「探偵さん!信じてください!僕はやってないです!」
茉莉花「信じられない…まさか隆が人を殺したなんて…」
陰弄「ふふふ…くっはははは…」
茉莉花「なにがおかしいんですか?」
陰弄「もうやめようじゃないか…
はた迷惑な大根芝居は…」
茉莉花「そうよ隆!」
陰弄「違う…」
茉莉花「えっ…」
陰弄「おまえだよ…
本多茉莉花!」
茉莉花「何言ってるの?」
陰弄「この連続殺人事件…
悲しみの道化師の正体は…本多茉莉花…お前だ!」
茉莉花「はっ?なんで私が犯人なの?
だってカメラは隆が持ってたのよ?」
陽太「アンタ…仮にもカメラマンでしょ?」
茉莉花「だったらなによ…」
陽太「なら…なんで現場でカメラを構えてなかったんだ?
助手の古宮隆も含めて…」
茉莉花「そ…それはただ忘れて…」
陰弄「カメラマンが撮影を忘れる?
そんなに熱心なのに?」
茉莉花「たまに忘れることぐらいあるでしょ?」
陰弄「そうなのか?古宮隆?」
隆「それは…」
茉莉花「あなたは喋らなくていいわ!」
陰弄「どうなんだ?古宮隆…」
茉莉花「隆…」
陰弄「少し黙れ!」
茉莉花「くっ…」
隆「カメラは…今回の事件…1枚も撮ってません…」
陰弄「やはりな…
カメラマンがそんなことありえないよな?
恐らく…殺したときに自分用に撮ったんじゃないか?」
茉莉花「何を証拠に…」
陰弄「家を調べればわかるだろ?」
茉莉花「証拠も無く調べるなんて警察でも簡単にはできないはずよ?」
來夢「確かに…そんなことはできません…」
茉莉花「ほら!なら証拠なんてないじゃない!」
陰弄「そうか…
じゃあ他の話をしよう…
殺された被害者たちと、その時間帯には意味があったんだ…」
陽太「意味?」
陰弄「そうだ。まずは時間帯…
最初の被害者は4時、2人目は3時、
3人目は2時…4人目は1時…要するにカウントダウンだったんだ…
つまり…あと一人死ぬというサインだ。
犯人はちゃんとサインを残してくれていたらしい…」
陽太「確かに…言われてみればそうだな…」
陰弄「そして無くなってる体の一部…
あの順番で行ったら最後はクビを取る…って意味だろうな…」
誠二「エグいな…」
茉莉花「そもそも…私が4人を殺す理由なんてどこにもないじゃない!」
陰弄「もちろん…直接的な関係性はないだろうな…」
茉莉花「ほら!なら私が犯人ってなるわけない!」
陰弄「言ったろ?直接的にはって…」
茉莉花「どうゆう意味よ…」
陰弄「色々調べさせてもらった…
お前が僕の情報をもらった…
タロウにな?」
茉莉花「情報屋…」
陰弄「僕とタロウが知り合いだと忘れてたのか?」
茉莉花「な…何を調べたって言うのよ!」
陰弄「被害者の過去について…」
茉莉花「か…過去?」
陰弄「そう…
それぞれは過去に色々な人を誹謗中傷して…
その人間を自殺に追い込んだクズ共だ!
もちろん…被害者達は自分が殺される理由なんてわかってないクズ共だったんだろうがな…」
隆「誹謗中傷した人たち…」
陰弄「お前のパソコンやスマホを調べれば…
何かしら出てくるんじゃないか?
例え消したとしても…今の技術ならそれを再構築して戻すことなんていくらでもできるだろうからな…
お前の殺人は杜撰すぎるんだよ!
怒りに身を任して細かい部分を作りきれなかったか?
ようは…クズがクズを身勝手な正義で殺しただけの…
ただのくだらない正義感だよ…」
茉莉花「………ふっ…なにやってんだろ私…
こんなミスだらけの殺人…
逃げ切れるわけなかったのに…
どこで怪しんだの?」
陰弄「はっきりわかったのついさっきだが…
お前が僕に言ったろ?
有名にするとか…
正義の味方気取りか…とかな。
人間って言うのはな…知らず知らずにして…
自分の理想や気持ちを口に出してることがあるんだよ。
特に…怒りが感情に乗っているときはな…」
茉莉花「そんなことで…疑われるなんて…」
陰弄「最後に答えといてやる…
先日お前が僕に聞いた問いに…」
茉莉花「問い?」
陰弄「探偵と記者の違いだ…
答えはシンプルなんだよ。
シンプルすぎて誰も答えたりしないがな…
記者って言うのは…
犯人を捕まえたい…
特ダネを掴みたい…
理由はそれぞれだが…
記者が共通して使うのは言葉と行動だ…
誰かのプライバシーを記事にしたり…
加害者や被害者の家族や知人にこれでもかと聞きまわる…
それが原因で自殺する人間がいるなんて知りもせず…
その癖自分達が悪いとも思わない。
なぜならそれが仕事だから…そんなクソみたいな理由で記者がバッシングを受けることはほとんどない。
ある意味…記者のほとんどは殺人鬼なんだよ。
ネットの誹謗中傷と同じだ。
もちろん全員がとは言わない…
ちゃんとわかってる記者も少なからずいるからな。」
茉莉花「探偵は?」
陰弄「それもシンプルだ…
被害者に聞くことはするが…
追い込むまではしない。
犯人を探す違う方法を探す。
記者のように毎日張り込んでなんてことはしない。
被害者の家族や知人には気を使う。
まぁ僕の場合…そこにいる光野がやってくれてる。」
陽太「もしかしなくても俺のことだな…」
陰弄「つまり…探偵は人を救うことに神経を集中させる…
傷付けることもあるが…
それをフォローする存在もいる。
記者は真相を掴むことに必死になってそれが欠ける。
相手がどうなろうが知ったことじゃないって知らん顔…
それが探偵と記者の違いだ。」
茉莉花「それが…探偵と記者の違い?」
陰弄「シンプルすぎて誰もそのことに触れることなんてほとんどしなくなったがな…
お前にも…そんなことを言ってくれる奴がいれば殺人なんて犯さずに済んだかもしれないな…」
茉莉花「まだよ…」(小声)
陰弄「なんだと?」
茉莉花「まだよ!動いたらコイツを殺すから!」
隆「うわっ…茉莉花さん…」
誠二「ナイフを捨てろ!」(銃を構える)
來夢「大人しく投降しなさい!」(銃を構える)
茉莉花「うるさいうるさいうるさい!!
あんたらに何がわかんのよ!
その銃おろして!
おかしいじゃない…自殺に追い込んだ奴らはほとんどがなんの罪にも問われない!
問われたとしても数年で出てくる始末!
それに乗っかった奴らなんて…
罪に問われないことの方が多い!
だから…だから私が無能な警察の代わりに死刑にしてやったんじゃない!」
陽太「やめよう茉莉花さん…
またやり直すんだ…
自首して…やり直そう!」
茉莉花「やり直す?ふざけないで!
1人でも殺せばこの国に居場所なんてない!
その上私は4人も殺した!
そんな人間が生きる場所なんてあるわけ無い!
仮に数十年後に出所できたとして…
私はネットのさらし者になるだけ!
それならあと1人をやったって何も変わらないじゃない!」
陰弄「ふざけるな!
もうこれ以上…他人を巻き込むな!」
茉莉花「元々私の最後の標的は古宮隆…
こいつなんだから…」
隆「僕が…標的?」
茉莉花「覚えてる?あんたの同級生…
本多雄太を…」
隆「本多…雄太?
そういえば中学の時そんな人が…」
茉莉花「そうよ!
記憶にも言われるまで残ってなかったのね!
アンタが中学の時…
いじめられ、ネットの誹謗中傷、ネットに裸で体中に落書きされた写真をばらまかれて…
住所まで晒されて…
自殺に追い込まれた、私の弟を!」
隆「あの、本多雄太のお姉さん?」
茉莉花「それが原因で母さんと父さんは離婚!
私は名字が変わって運良く無事に生きてこられた…」
隆「ち…違うんだよ茉莉花さん!
それは中学の同級生に脅されて…
怖くて…仕方なくて…」
茉莉花「だからって…だからって…
なんで私の弟がいじめられなきゃいけないの?
怖かったら誰かを追い込んでいいの?
自分が無事に済むなら相手が自殺したってしょうがないって言うの?
ふざけないでよ!」
誠二「これ以上罪を重ねるな!」
來夢「私達はあなたを撃ちたいわけじゃない!」
陰弄「そうゆうことか…」
茉莉花「撃つなら撃ちなさいよ!
その瞬間コイツも道連れよ!」
陰弄M「くっそ…
こんな時に…
言葉が見つからない…
僕としたことが…」
陽太「こんなこと…雄太くんは求めてないぞ?」
茉莉花「アンタに何がわかんのよ!」
陽太「確かに…あんたの気持ちをすべてわかってやれるとは思ってない。
だけど…一つだけわかる気がするんだよ。
俺も母さんと父さんを亡くしてる。
13年前…家に帰ったらクビ吊ってたんだよ。
それを調べようともしたさ…
だけど途中で気付いた…
意味がないって、きっと父さんと母さんは俺に元気に過ごしてほしいんだって…
生きてほしいんだって…
きっと雄太くんはあんたのこと好きだったと思うんだよ。
だから…雄太くんのためにも…もうやめようぜ…」
陰弄「光野…」
來夢「陽太さん…」
茉莉花「……ははっ……
もう……だめだな私……
隆「茉莉花さん…?」
茉莉花「隆とは…もっと違う形で出会いたかった…
ずっと躊躇してた。
だから最後に回しちゃった。
それが私の敗因かな…」
隆「何言ってるんですか茉莉花さん…」
茉莉花「愛してる…」(小声)
隆「えっ!?」
茉莉花「今行くね…
雄太…」
陰弄「だめだ!
止めろ光野!」
陽太「お…おう!」
茉莉花「かっ…」
陽太M「走り出した時には全てが手遅れで…
ナイフで自分のクビを切り裂き…血が吹き出していた。
心なしか、クビを切った直後…うっすらと笑う本多茉莉花の顔が見えた。
なにかに満足したようなその顔、綺麗に舞う…紅い雨。
俺は一生…この光景を忘れることはない。」
隆「茉莉花…さん?茉莉花さん…茉莉花さぁぁぁぁぁぁん!!!
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
間
陽太M「本多茉莉花が自分のクビを切り裂く直後…
古宮隆に何かを呟いたように見えた…
何を言ったかは聞こえなかった。
きっと二人にしかわからない何かだったのだろう…
宝生さんも唖然としていた。
普通はそうなのだろう…
誠二さんはその場で冷静に警察に連絡。
さすがと言わんばかりの行動だと思う。
愛陰弄は…黙ったままだった。
そして事件は…被疑者死亡という最悪の形で幕を閉じた。
そして次の日…愛陰弄は姿を消した。」
to be continued