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あの時の選択、間違っていないと信じてる

つたない文章ですがよろしくお願いいたします。

 

 古来より、魔女は異端として狩られてきた。



 薬草で薬を精製すれば、毒薬と呼ばれ、占いをすれば、呪いをかけているとされときた。


 私は魔女。だからって狩られてたまるか!




 ✳️✳️✳️



「往生際が悪いぜ?俺に狩られてしまえよ。可愛い魔女カメリアちゃん」


 ワインレッドの髪と琥珀色の瞳の整った顔をした男が剣を構えながら不適に笑う。


「気に入らないわね。アンタなんて、魔法で塵にしてやるわよ!」



 斬られた肩を押さえながら女は男を睨んだ。


 カメリアと呼ばれた女はふわふわの長い黒髪を乱し、赤い瞳を爛々と輝かせていた。非常に美しい容姿をしていたが、肩からの失血に青ざめており、苦しげな様子だった。


「俺は人工魔術師兼騎士団長、通称魔法騎士団長だよ~。カメリアちゃんの攻撃魔法なら、無効化できるから、打つだけムダムダ~」


 ニヤニヤ笑いながら軽口をたたくが、目は笑っていない。


 完全に私を殺る気だ。



(馬鹿な魔法騎士。魔女ができることは攻撃だけじゃないのよ。ごめんなさいね~)


 脂汗を浮かべながらカメリアは魔力を集中させる。


「さ、カメリアちゃん。諦めて俺の剣の錆びになっちゃおーよ♪」



 男が一歩踏み出した瞬間、カメリアの足元に魔法陣が輝く。無詠唱で現れた魔法陣に男は目を瞪った。



「な!この魔法陣は転移魔法…そうはさせるか!」



「轟け稲光りよ!油断大敵!あなたごときが私を“ちゃん”付けで呼ぶんじゃなくてよ?」



 男が剣を片手にカメリアに走りよるタイミングでカメリアは剣に攻撃魔法を放った。勿論無詠唱だ。



 剣に雷が落ち、衝撃をまともに受け止めたため、片膝を着く男を前にカメリアの姿は霞んでいく。


「くっ!!」


「アンタなんて、この程度よレン・ドリック騎士団長様。一撃でバイバーイ。ぷっ、よっわーいですわね。では、ごきげんよう」


 完全に消える前に優雅に微笑むカメリア。手を振りながら消えていった。




 それから1時間後、ようやく身体が回復したレンは既にいなくなったカメリアのいた場所に立ち、ニヤリと笑みを浮かべた。



「魔女狩り、誰も諦めるわけないっての。だから、狩られるのは優しい俺にしとけよな~。かわいいかわいいカメリアちゃん」





✳️✳️✳️



「いったぁーい!あんのバカ魔法騎士団長!バッサリ乙女の肩を切りつけて。傷が残ったら許さないんだから」


 傷口にお手製の薬を塗りたくりながら、カメリアは溜め息をつく。


 ――ワケわからん魔法騎士団長レン・ドリックに付きまとわれ始めたのが1年前。




 魔女として生まれて十六歳だった。悪いことなどしたことない。空を飛んで、薬草で薬を作って売って、占いをして生きてきた。時には治癒魔法を使いながら医療行為もした。



 私が師匠でもある母親から魔女として独立したのは今から7年前、十歳の時である。独立後、必死に生計を立てなんとか頑張って生きてきた。


 魔女狩りが始まったのは3年前。魔女は悪しき魔物だから狩れ、このラインズ王国の王族が言い出し、討伐が始まった。


 意味も分からないまま、身を守れず狩られ死んでいった魔女が増え、身の危険を感じたカメリアも魔女狩りのない国へ移住するつもりだった。



 ――1年前にあの忌々しいレン・ドリック魔法騎士団長に付け狙われるまでは。




 あろうことか、レン・ドリック魔法騎士団長は魔女を国外脱出を防ぐために聖女を使って国を結界で覆ってしまった。


 聖女の使う聖魔法と真逆の闇の魔力を宿し、黒魔法を使う者はその結界より外へは出られない。転移魔法も弾かれる。

 何より最悪なのは、()()()()入れることだ。国外から助けにきた身内ごと狩られた魔女もいた。



 カメリア達魔女は、脱出不可能の檻の中で抵抗するしかなかった。戦って抗い、その結果魔女の数は減っている。




 もう諦めるしかないのかもしれない。そんな時に1人の魔女セーラがある黒魔法を編み出した。


 時空転移。



時空転移は時間を移動するから物理的結界は関係なく、弾かれない。そう結論をだし、実行したセーラ。


 魔女狩りが始まる前の時間枠に転移し、王族に対し魔女が貢献し、魔女狩りの未来ごとなくす策だ。時空転移を編み出したセーラがどう活躍しているかはわからないが、今現在魔女狩りはなくならない。過去に転移することに失敗したか、まだその途中か。待っている間にも魔女は殺されている。




 こうなったら、セーラが出来なかったことを私がしなくては。私も時空転移するしかない。


 そう決意し、セーラの残した研究資料を手に取り魔法の習得に取り組んだカメリアだったが、レン・ドリックの襲撃が度々あり身体も心もボロボロになっていった。


 それでもなんとか準備が整った。



 「異空間収納に必要な物全部入れたから、レンに嗅ぎ付けられる前に魔法陣も完成したし、あとは発動ね」



 意識を集中する。魔女狩り命令が発令される前、私の16歳より遥か前に転移できるよう全部の魔力を魔法陣に注ぐ。




 ――どうか、私達が平和な未来を掴めますように。




 魔法陣の光の中で、そう願いながら静かに目を閉じた。

 


 




 

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