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高等部の3人

生徒会長はその後も親身になって勉強を見てくれた。


「数学の文章問題が分からないんですけど…」


「あ、それはね。答えが x=300だね」


「そ…そうですか…ありがとうございます」


――この人も文章を見ただけで答えが分かる魔法を持ってるよ…凄い…。


放課後に図書室に来てから2時間ほどが経ち午後6時頃になったころ…


「あれ…2人とも、こんな時間にどうしたの?」


そこには何故か俯くコハルさんとシトラさんの2人が図書室の入り口に立っていた。


「あ…ハンス君、やっぱりまだ居たんだ…ごめんね。私たちがお願いした事なのに、やっぱり勉強は嫌いでもやらないとだめだと思って…」


「私もそう思ったっす…。先輩の話を聞いてたら無性に勉強しなければいけないと思ってきたっす…」


「ん?先輩って?」


すると、2人の後ろから185㎝はあろうかという長身の男子生徒が顔をのぞかせる。


「お!すまんかったな。トーマ!お前との約束忘れ取ったわ!それにしても今年の1年いい腕しとるで!2対1でやったら一本取られそうになったで!」


――なんか無駄に暑苦しい人が出てきたな…。


「あの…生徒会長この人がさっき言ってた友達の方ですか?」


「ああ…そうだよ」


生徒会長はその髪色と同じ真っ黒なオーラを放ち、鋭い目を前方の長身男に向ける。


本棚がガタガタと揺れるような振動と、胸を締め付けられるような威圧感が生徒会長から発せられていた。


「何そんなに怒ってんねん。いつもの事やないか」


「いつもの事だから…怒ってるんだろ…なぁゲンヤ」


――ウグググググ!…た…立ち上がれない…何だこれ、上から押さえつけられてるような…え…何?なんかの魔法ですか…魔法じゃないならどうしてこんなに動けないんだ…!


この場に立っているのは生徒会長と目の前のゲンヤさんだけ…コハルさんもシトラさんもその場に座り込んでいる…


「ピピー!!」


「はい!そこまで!」


その声と共に重圧が消えた。


「はぁはぁはぁ…いったい何がどうなってるんだ…」


「あ、ごめんよ風紀委員長。ちょっと頭に血が上っちゃって…」


「トーマ君の魔力は何処に居てもすぐわかりますね!しかも中等部の図書室で何て…。もっと生徒会長としての自覚をもってですね!」


「分かった…分かった…これには深い理由が…」


「話は生徒会室で聞かせてもらいます!えっと、中等部の皆さん大変お騒がせいたしました」


風紀委員長はその場で深くお辞儀をして、生徒会長を連れ去る。


「ゲンヤ君もですよ!」


「マジで!ちょっと簡便してぇや…な、リアーナちゃん。俺は喧嘩売られた方やで」


「その話も生徒会室でちゃんとみっちり聞かせてもらいます!」


高等部の3人はその場を去って行った…。


「2人とも…大丈夫…?」


「ううん…だ、大丈夫…」


「う…っす…」


――なんかすごい重圧をかけられたみたいだな…あれが最もパラディンに近い生徒…あの人が本気で戦ったらいったいどうなるんだ。


2人は何とか立ち上がり、椅子に座る。


「それで、2人とも。どうしてそんなに疲れてるの?」


「それがね…」


2人は先ほどまでの話をし始めた。


「私たち、マギア訓練施設で今度の試合練習をしてたの…」


2時間前

マギア訓練施設。


「ふ!」


コハルはジンを振りかざし、一気にシトラの頭上を狙う。


「バレバレっすよ!」


シトラも自慢の反射神経をフルに使い、ごく僅かな動きで攻撃を回避した。



「その…練習で熱くなりすぎちゃって…私たち、一番得意な技で勝負することになっちゃって…その時はアドレナリンがいっぱい出てたのかな…どっちかの攻撃が当たってたら大怪我じゃ済まないような状態だったんだよね…『バリア』張られてないし…」


「ふ~『枝垂桜…蓮華!』」


「『バーニングストライク!』」


辺りには重い空気に包まれ、最後の大技を繰りだし、両者の攻撃が当たる瞬間。


2人の間に1人の男が現れた。


「よいしょ!!」


その男は2人の攻撃を受け止め、何事もなかったかのようにその場に立っている。


「え…えっと!だ、大丈夫ですか!結構『身体強化』とかもりもりに盛ってたと思うんですけど…」


「ああ、大丈夫や。心配するほどダメージは入ってないからな」


「えっと…誰っすか…」


その男は長身でガタイが良く、赤い髪に赤い瞳…なんとも暑苦しい性格をしてそうな男だった。


「俺の名前は、ゲンヤ・サザナミよろしゅう。一応高等部3年、体育委員長をやっている。それにしても2人…いい動きしとったな俺も混ぜてくれや」


そしていきなり乱入してきた男は自分の名前を名乗り、そして一緒に混ぜて欲しいと言ってきそうだ。


「2人は俺から、一本でも取ったら勝ち。俺は2人の体力が限界になるまで守り続けたら勝ち。どうや、おもろそうやろ」


「面白いかどうかは置いておいて…そのルールだと私たちに有利過ぎませんか?私たち結構体力残ってると思うんですけど…」


「そうっすよ、まだ一本目の途中だったんすから」


「やってみれば分かる、それが勝負の面白い所やと思うけどな」


ゲンヤは2人を挑発するように捲し立てる。


「分かりました…では全力で行かせてもらいます!」


「こっちもっす!先輩だからって容赦しないっすよ!」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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