7.神との遭遇①
ストーリー進んでいきます!
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行くぞ。と【琥王】に言われ、そのまま飛び出したは良いが、何処に向かってるかは分からない。
本人に聞いても、場所の名前なんか知らん。と言われ、それもそうかと納得した。
小虎の状態の【琥王】を肩に乗せ走る。
『最初に感じた気配は、【斬魔】の嬢ちゃん達が原因で間違いないと思うが。もっと遠くで感じた気配は、今一番会いたくない類いのヤツだな』
気配自体、俺には何も分かってないんだが。
ってか、【斬魔】の嬢ちゃんって言ったか?完全に、知り合い確定だろ。俺マジ名探偵。
そんなことはお構いなしに、行く先を指示される。
【琥王】が言うには、後から出てきた気配も同じ方向に進んで居るらしいが。
余程、良くない状況なのだろう。いつもの軽口は無くなっている。
「なら、詩道達の方に行くより逃げるか、隠れるかの方が良くないか?」
走りながら、【琥王】に問いかける。
【琥王】のおかげだろうか、今までならとっくに息が上がって、座り込んでいてもおかしくない距離を走っている筈だが、問題なく走り続けられている。
『いや。下手に離れて、単独で遭遇するのだけは避けたい。今のお前じゃ、100%殺される』
随分、物騒な事だなッ!
とりあえず、【琥王】の指示に従い走る。
『最初の気配は、あそこからだ!』
道の先を見る。工事の途中で廃棄された廃ビルが見えた。ここまで近づいて、ようやく異質な気配を感じる。
詩道と対峙した時とは、別の気持ち悪さを感じた。
『気を抜くなよ。アイツらも何を仕掛けてくるか分からないからな』
敵の敵は、味方位の感覚でいろよ。と【琥王】に念押しされる。
廃ビルの中に入り、気配はより強く感じた。
【琥王】を薙刀状態にして警戒しながら進んでいく。
1階から2階、3階へと上に気配を強く感じる方へ進んでいく。
階段の数を数えるのが嫌になってきた辺りで、部屋の中央に立つソレに気付いた。
「アレ・・・なんだ?」
部屋の中央に立っていたのは、全身真っ黒の人の形をしたナニかだった。
『なるほどな・・・とりあえず、ヤル気らしいぞ』
恐らく、正面を向いたソレはこちらに向かって歩いてくる。影を立体化させたように全身黒いため、何処を見ているか分からないが。
『とりあえず、無駄な時間は掛けてられない』
ここに向かう途中で、【琥王】に聞いた事を思い出す。
教えるのも、大分渋っていたように聞こえたが。
自分の体の中に感じる力で、全身を覆うイメージをする。
これだけで、生身で居るよりかなりマシになる。
らしい。
怪しいことこの上ないが、今は信じるしかない。
体が、詩道と対峙した時のように軽くなるのを感じる。
影人間は、のそのそとゆっくり歩いてくる。
油断は出来ないが、【琥王】に急かされるので、切り込んでみる。
詩道との戦いの感覚を思い出し、警戒しながら距離を詰める。
あっさりと攻撃範囲に入れたため、薙刀を横に薙ぎ払う。確実に、影人間の胴体に当たると思ったが・・・
「マジかよ・・・」
本気で、振り回した攻撃を簡単に受け止められた。
腕に見える部分で受け止められている。
動きなんて、見えなかったぞ。
反撃を警戒して、後ろに飛び退くが追撃の気配は無い。
『逃げてるだけじゃ勝てないぞ。教えただろ。少しギア上げろよ』
【琥王】が指示を出す。
簡単に言ってくれるな・・・
相手を警戒しながら、自分を覆う力の量をさらに増やす。増したスピードでジグザグに進みながら突っ込む。
自分の体なのに、まるで別の物に成ったように動く。ゲームのキャラクターをコントローラーで操作している感覚に近い。反射神経だけで自在に動けている位に素早く、的確に動ける。
反撃をする素振りはないが、正面から斬りかかる。
フリをして、後ろに回り込む。フェイントを入れ、完全に意表を突いた所に攻撃する。
我ながら、良い動きをしたと思ったが・・・
やはりと言うか、あっさり受け止められてしまった。
何度か、工夫をしながら攻撃してみるが、全て防がれてしまう。
『相手は、お前の殺気で攻撃を予測してるんだ。今のお前の小細工じゃ、どうにもならんぞ』
いや、じゃあどうしろってんだよ。
『だから、教えたろ。小細工無しの、力技を』
言われて思い出す。
それに、と【琥王】が続ける
『あの黒いのを見てて、何か気付かないか?』
少し考えるが、分からない。ハッキリしてるのは、どんな攻撃も全部受け止められてるってことだが・・・
あっ。
そうだ、全部避けるんじゃなく、受け止められている。
『ようやく気付いたか』
【琥王】の呆れた声を聞きながら、体に纏った力を薙刀の刃に集中させるように意識する。
そのまま、ゆっくりと近付いてくる影人間に向かって薙刀を横に振る。
振った軌道をなぞるように斬撃が襲いかかる。
影人間は、腕を前に出し受け止める体制になるが・・・
斬撃はそのまま通過する。
少し間を置いて、影人間の体がずるりと崩れ落ちる。
『やれば出来るじゃねぇか』
なんとかなった。のか?
崩れ落ちた影人間に目をやる。
人間じゃ・・・流石にないよな。
考えている間に、影人間は煙のように崩れ、後に残ったのは、小さな黒いガラス玉のようなものだった。
それを、何処から現れたか分からないが、拾い上げた人物が大鎌を持った詩道だった。
「以外と時間がかかったね」
『まぁ、今のコイツにしては頑張った方じゃないか?』
『頑張ってこの程度なら、多分今日死ぬ』
俺を差し置いて会話しないで頂きたい。仲間はずれ感がなんか辛くなる・・・
ってか、最後の声は誰だよ!?
『ホントに鬱陶しい』
謎の、幼い小学生位の女の子の声に、只々貶される。
『この口の悪いのが、【斬魔】の嬢ちゃんだ』
あぁ、当然の如く詩道の大鎌も意思を持ってる訳か。
『一々鬱陶しい。後、嬢ちゃんって馴れ馴れしいから止めて』
こっちサイドには取り敢えず辛辣なんだな。
「【斬魔】。とりあえず、話はその辺にしとこう。あっちは思ったより早かった。来たよ」
来たって何が、と俺が聞くのと同時に外から大きな笑い声が聞こえる。
「ガハハハハハ!」
廃ビルの下を見る。そこには、ボディービルダーのような大柄な男が立っている。
白いマントをなびかせ、上半身は裸、頭には歴史の教科書で見たような、中世の騎士が被っているような兜を着けている。
そこに居るだけで、圧倒的な存在感を感じる。
「同族の気配が消えたと思えば、何やら面白そうな気配を感じるな!せっかく救済を中断してまで見に来たのだ!どれ、1つ戯れてみるか!」
大柄の男に、俺でもヤバイと分かるほど力が集まっていく。
この日の出来事が、さらに俺を日常から大きく踏み外させる事になるとは、この場の誰にも予想できなかっただろう。
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