22.探しモノ②
俺の住む町に、観光地なんてモノは存在しない。
それでも、楽しい場所位は有る。
みんな大好き遊園地だ!
楽しいモノ好きならそこに居ても、おかしくないだろうと思う。
「実際に行ったことは無いけど、知識としては知ってるわ。……確かに今の状況なら、手をこまねいているよりも行動するのは良いと思う」
『妥当』
『俺様も異論は無いぞ』
こうして、あっさり俺の案が採用されることになった。
色々と考えた結果、休日より平日の方が人も少なく探し易いだろうということになった。
最近、学校を休むことに抵抗が無くなってきた来た気がする……
最後の抵抗として、毎回倒れて寝込む経験を踏まえて金曜に向かうことにする。
それまでは、力の使い方と残滓との戦闘訓練に勤しむ事にした。
◆
地元から電車で二駅の場所に、目的の遊園地はある。
平日に、高校生と見た目中学生の二人が電車に乗るのを怪しい目で見られたりもしたが、止められなかったのが幸いだ。
詩道なんて学校の制服で行こうとするので、引き留めたが他に服を持っていないという衝撃の告白をされた。急遽、俺の私服のなかで着れそうなシャツと上着、ズボンを貸し出す羽目になった。
念のために渡しておいた帽子のお陰で、詩道の童顔を隠せたのが役に立ったのかもしれない。
幼精二人は【琥王】はまだしも、【斬魔】なんて見た目が小学生だから中に隠れてくれてたのが良かった。
目的の入園口にたどり着く。
最後に来たのは何時だったか、思い出せないが懐かしい感覚はあった。
「それにしても……」
ずいぶんと寂れてる。
記憶ではもっと賑やかだった気がするが、平日の地方の遊園地なんてこんなものか?
『全然楽しそうに見えない』
【斬魔】の意見はもっともだと思う。
「……とりあえず、中に入ってみようぜ!この辺だと他に行きそうな場所もないし、人が少ないから探しやすいぞ!」
無理矢理考えをポジティブにする。
中に入り、園内を歩いて回る。
メリーゴーランド、コーヒーカップ、ジェットコースター、観覧車、お化け屋敷。
これぞ遊園地!というアトラクションは一通り揃っている。従業員だけで、客とはすれ違わない。本当に俺たちしか園内に居ないのかもしれない。
【琥王】と【斬魔】も表に出てくる。
まぁ、目的の【龍王】は一向に見つからなかったが。
そして俺たちは備え付きのベンチに座り、遊園地には似つかわしくない重苦しい雰囲気を漂わせるに至ったという訳だ。
とりあえず、【龍王】を探しながら【琥王】ご所望のホットドックを買って帰ろう。
そういえば、今さらだけど【龍王】の見た目とか特徴聞いてなかったな。
【琥王】が小さい虎になってるから、小さな龍なのか?
それとも、【斬魔】みたいに人の見た目なのか?
これは、詩道と【斬魔】に確実に嫌味を言われるな……
確定した未来に落ち込みながら、買い物に向かう。
売店に向かう道を歩いてると、正面に従業員以外の人影を見つける。
身長的に、中学生くらいか?
1人に見えるけど、友達と遊びに来た感じじゃ……無いよな。
俺の方に向かって歩いてくる。
表情は良く分からないが、楽しんでるって感じじゃ無さそうだ。
近付くにつれて、不思議な感覚が広がる。
もしかして、【龍王】だったりするのか?
変なヤツと思われるのを覚悟で、話しかけてみる事にする。
◆
「遅いわね」
買い物ごときに、一体何分掛かるんだろうか。
『ふらついてるだけだったら許さない』
『まぁ、探しながら歩いてるんだろ』
【斬魔】はイラつき、【琥王】はノンビリしている。
何だが、気持ちがピリつく。
理由は分からない。
最初に遊園地って聞いたときは、少し楽しみかもって思った自分が馬鹿らしい。
遊園地がどんな場所かは知ってた。
勿論【龍王】を探すのが第一目標だ。それは揺るがない。
でも、想像とは大分違った。
アイツの記憶は戻ってないのに、浮かれたことを考えた自分が悪い。
『どうかした?』
【斬魔】が声をかけてくる。
「な、何でもない!余りに遅いからイライラしてただけ!」
自分が思ったより大きな声が出た。
【斬魔】が訝しげな顔をする。
気持ちを切り替えよう。
とりあえず、帰ってきたらこのイライラをぶつけてやる。それくらいは許される筈だ。
「おーい!」
遠くから、手を振りながら近付いてくるアイツ。
『遅い。正直に言いなさい。何してたの』
私が怒る前に【斬魔】が口を開く。
その言葉にビクつくアイツ。良い気味だ。
少し胸の溜飲が下がった気がした。
「遅くなったのは謝るよ……それよりちょっと来てくれ!」
手招きをして私達を呼ぶ。
『なんだ。りゅうのヤツでも見つかったか?』
「そうなんだ!多分だけど……お前達に確認して欲しくて呼びに来たんだよ」
驚いた。遊んでいただけじゃ無かったようだ。
『確かに、近くに気配は感じる。りゅうのヤツ隠れてやがったな』
【琥王】がのそりと、アイツの方に向かって歩き出す。
後に続くように、私と【斬魔】も立ち上がる。
私たちを案内するように歩きだしたので、とりあえず後ろについていく。
『りゅうも大事だけど、俺様の頼んだモノはどうなったんだよ』
【琥王】は、余程ホットドックとやらが気になっているのか声をかける。
「そんなことより、こっちの方が重要だろ!?」
まともな事を言ってる筈なのに、何か気持ち悪い。
「なんの為にここ迄来たんだよ!"蒼炎の爪"を見つける為だろ!とにかく、急ぐぞ!見失ったら困る」
【琥王】の方に目をやる。
無言で頷く。
「私も聞きたいことが有るんだけど良い?」
「お前までなんだよ?いそがない…と……」
私達の方を振り向いたヤツに、大鎌の形状になった【斬魔】を突き付ける。
「あなたはダレ?」
振り向いた顔はいつもの慌てた顔ではなく、落ち着いた目でコチラを見据えていた。
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