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20.神の円卓②


「何のことだい?」


 "反神"と呼ばれた女が返事をする。


「所用で異世界の方に出向いて居たのだが、"名無し(ネームレス)"を見付けたぞ!」


 表情は変わらないが、一瞬だけ眉毛がピクつく。


「たしか兄妹の話では、ヤツは殺したのでは無かったか!?」


「少し話が変わってるね。僕が戦った後に、最果ての谷にヤツは落ちた。気配が消えたのを、君達に確認もしてもらった筈だよ。そもそも、君が異世界に出向いていたのも初耳だけどね」


「そうだったか!向こうの世界は神に対する信仰心が失われてると聞いてな!救済せねばと出向いただけの事よ!なに、兄妹を疑ってる訳ではないのだ!許せ!」


 ガハハハハハ!と笑い声を上げる。


「いいさ。それに僕は、君達を兄妹なんて思ったことは一度もないよ」


 柔らかな表情からは、思いがけない言葉がでる。しかし嫌味ではなく、コレが"反神"の本音だろう。


「ガハハハハハ!滅多なことを言うものではないぞ!正直なのは悪いことでは無いがな!」


「構わないよ。僕の二つ名は知っているだろ?僕を縛ることは誰にも出来ない。そうゆう約束だからね」


 あぁ!勿論だとも!


「自由の神"反神"よ!()()からの盟約だ!忘れる筈もない!」


「先代の話はご法度だろ?君こそ滅多なことを言わない方が良いよ。神が神罰を受けるなんて、冗談にしても笑えない」


 それもそうだ!と笑う。


「たが、我は嘘はつけぬ!ヤツとは1度手合わせしたかったのだがな!自分を偽る神など、それは既に神ではない!自分自身の行い・思考こそが正義であると信じ続けるのが神なのだ!」


 笑いながら立ち去る"軍神"の後ろ姿をその場で見送る。


「自分自身の行いと思考が正義と信じるものが神……か」


 そういう事なら、僕は()()()()()神なんだろう。



 "軍神"の声が聞こえなくなった所で歩き出す。

 "裁神"から呼び出しが有ったから、何事かと思ったがそういう事か。


 どんな状況か知らないけど、あまり深く探りすぎてヤブ蛇もゴメンだ。だけど"軍神"は別として、他の神達は顔には出さないだろうけど内心は大慌てだろうな。


「アハハッ」


 自然と声が出たのを、慌てて口を手で押さえる。


 いけない、いけない。

 これじゃあ、僕が何かを仕組んだ様に受け取られてしまうじゃないか。


 僕だって被害者さ。


 許さない。絶対に許してやるものか。


 でも……

 生きてたんだ。

 まぁ簡単に死ねるようなヤツじゃないけど。


 そういえば"軍神"のヤツ、左手無くなってたけどアイツにやられたのかな?

 詳しく聞けば良かったなー。と今さら思う。


 でも、そのうち会える気がする。


 きっと望んだ形では会えないだろうけど。


「さて、あんまり気乗りはしないけど"裁神"に会いに行こうかな。面白い話が聞けるかもしれないしね」


 目的地に向かい歩き出す。一度違えた道が、もう一度交差する予感を胸に秘めて。



「クククッ。しかし、あの出来損ないが生きていたとはねぇ……」


 しかも、忌々しい"名無し"と一緒に居るとは、どんな嫌がらせだろうか。


「ちゃんと後始末はしたと聞いていたんですがねぇ。そうでしょ?ユーイ」


 ユーイと呼ばれた後ろを一歩引いて歩く少年が反応する。


「はい。お申し付け通り、死体と村は焼き払いました。ただ、判別が不可能な肉塊までは確認できておりませーー」


 言葉の途中で、少年の体は"美神"の蹴りによって壁に打ち付けられる。


「私は、()()()()()。と、そう言ったと記憶してるんですがねぇ」


 地面に転がり、血の混じった吐瀉物(としゃぶつ)を吐き出す。常人ならば苦悶の表情を浮かべ、のたうち回る筈だ。しかし、少年の表情は変わらず口許を吹きながら起き上がる。


「申し訳ございません」


「クククッ。貴方の顔を傷付けずに罰を与えるのは、中々大変なんですよぉ?私の苦労も分かって貰えませんかねぇ」


「はい。お手間を取らせ、申し訳ございません」


 顔は良いのだが、反応が面白味にかけるのが難点だ。その点、あの失敗作は良い顔をしてくれる。


 彼女と()()()で、絶望し激昂した顔にはゾクゾクした。


 あの顔をもう一度みたい。

 だが、"名無し"も許しがたい。どちらの苦しむ顔を見るのか悩ましいが……


 しばらく考える。


「クククッ。良い事を思い付きましたよぉ」


 これなら、どちらに転んでもオモシロイ見世物になりそうだ。


「ユーイ。貴方に、私の"神器"アイギスの力を貸し与えます。使い方は分かりますよねぇ?」


 はい。と短く返事をしたユーイに、"美神"が懐から取り出した手鏡。アイギスから光の粒子が集まり、吸収されていく。


「必ずや、ご期待に添える結果を御見せ致します」


 最後に片膝を着き、差し出された手の甲に口付けをしユーイはその場から離れる。


「クククッ。さてさて、私はゆっくりと見物させていただきましょうかねぇ」


 "名無し"と失敗作には感謝して貰わねば。


 この私、神の寵愛"美神"アポロの愛を受けとる事が出来るのだから。


 邪な笑みを抑えること無く、神は笑う。


読んで頂き、ありがとうございます!


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