第二の依頼
連続投稿だぜいえええええええええい!!!!
俺は図書館の中にいた。
高さは10メートルくらいで、横50メートルくらいのドーム型。本の冊数は十万はあるだろう。
艶のある本棚はよく掃除されているし、匂いもいい。
カウンターは無いが読書用の机や、コーヒーメーカーなどが揃っている、ごくごく普通の図書館だった。だが、客やスタッフは見当たらない。
あと本が空中に浮いている。
天井には、何だあれ。
世界地図か?いや、白亜紀の世界地図はあんなのではなかった。散らばり過ぎだ。
三畳紀にもジュラ紀にも、古生代にも当てはまらない。
しかも御丁寧に経度と緯度まで。大陸は12個。目立つ島は6個。
国名や地形は書かれていないな。妙な地図。
俺が天井を見上げながら硬直していると、前方から女の声がした。
「久しぶりね、恐龍神」
視界を前方に。
いつぞやの女神がいた。ああ、お久。
あいも変わらずスタイルのいいこと。ツーかコイツ人型だぞ。
「お久ってお前、ここは何処だよ?ただの図書館じゃあねえことは容易に想像できるが」
すると女神はクスリと笑い、
「お前じゃなくて、ドギュベル様とお呼び。この図書館は私のよ‼︎
ドギュベルは知識の神でもあるのよ‼︎ねえすごく無い!?ねえねえねえ‼︎」
「そりゃ偉大なことで」
あいも変わらず分からねえ女だ。だが嫌いじゃねえ。
ん?私の図書館?
俺は確かベッドで寝て・・・・・あっ、これ多分夢じゃね?
夢じゃないと困るんるんよ?
「ドギュベル、これは夢か何かか?」
「大変良くできました。正確には私の『図書館』をあなたの『夢』に無理やりねじ込んで、今こうしてあなたと会話しているのよ?」
彼女は得意げに語るが、なるほど分からんな。まあそこは神様だから仕方ないよね。うん、そういうことにしておこう。
とにかくこれは夢だから、覚めたらベッドの上で寝転んでいるはずだ。
オレとドギュベルはコーヒーを淹れて端のソファに腰掛ける。
まあオレは尻尾があるから若干寝転ぶ様な姿勢だけど。
この姿勢で座ると、ドギュベルが露骨に嫌そうな顔をした。ごめん失礼。
ちょっときついけど人間みたいに座ってみた。
ドギュベルはコーヒーを啜りながら、
「さて、今回は近況報告と今後についてよ」
ああそうだった。オレコイツから依頼受けてたんだったわ。
メンゴメンゴすっかり忘れとった。
しかし一つ引っかかることがあった。
「え?お前って天界に住んでるんだから、いつでもオレを監視できるんじゃねーの?」
そういうと、ドギュベルは呆れた様にため息をついて、
「あのね、私はあんたみたいに暇じゃないの。監視なんてそもそもとしてできないし、だからこうしてるのよ?」
まるで愚痴るママ友。監視できねーのか。ああそういう事ね。
監視できりゃあこんな近況報告と今後についての打ち合わせなんてやらなくていいもんね。
夢に出なくたっていいもんね。
しかし、別にオレも暇だったわけではない。
未到の地に飛ばされて、言語、習慣、文化、生態系などがガラリと変わった環境下で全く知らねえ生物と関係を築いて魔神とかいうやべえ奴とも殴り合い、職につくために勉強をした。
依頼をまだ一つも達成できていないのはメンゴメンゴなのだが、それには目を瞑って欲しいものである。
まあ、あれもこれも教授のおかげだな。
「オレはコウリンブルク教授の館に住み込みで、高校の教師になることが決まった。
今はあっちで整合中で、オレは物理やこの世界についての勉強をして力をつけている。
本格的に教師になるのは二ヶ月後くらいになるかな」
「順調にことが進んでいて何よりだわ。次はこちらから新情報をプレゼントするわ」
するとドギュベルは前も見たような進研ゼミパッドを取り出してその画面に映る人物の顔写真を見せてきた。
彼女は吐き捨てるようにいう。
「こいつは別に特別危険ってわけでもないんだけど、なんて言ったらいいのかしら?そう、『イレギュラー』な存在なのよ」
オレはそのパッドの画面に映る写真に目をやる。
そこに写っていたのは、黒髪のツンツン頭に気怠げな覇気のない目をした、白いワイシャツをきた高校生くらいの少年だった。
年齢は16歳くらいか。最近は人の外見から年齢を計算する術を手に入れたからな。
顔写真の真下にある名前は、ローマ字でこう書かれていた。
『ingatogamasa 』と。
日本語に直せば、『インガトガマサ』。
直後にドギュベルは漢字表記にしてくれた。オレは漢字には少し疎いんだがな。
漢字表記で見てみると、『因果罪政』。
名前と名字からして変わっている。なんだよ因果って。なんで名前に『罪』なんていう文字入れてんだよ。しかし、オレにはとてもこいつが『イレギュラー』だなんて思わない。
むしろ人畜無害なんじゃないかというくらいだ。
「おい、こいつのどこが『イレギュラー』なんだよ」
オレが疑問に思って聞くと、ドギュベルは少し気難しそうにな表情で、
「それがね、この人間って、『情報が全くない』の。親が誰とかはあるんだけれど、ただ容姿のみがわかっていて、それ以外は全くなのよ。神界の決まりにおいて、地上の生物は一人残らず詳細な情報を集めなきゃいけないことになっているの。上はね、そんな彼を気味悪がって、情報を今後も集められなかったら殺処分にするって言ってたわ。だから、もう一つお願いしてみてもいい?」
ねだるような声。まあどうせ殺せとかだろうな。
でも今のそいつの情報の中に居場所がどこかは書かれていないし、容姿もどこにでもいそうな感じだ。
だがそいつが何をしでかすか分からないというのもアレだ。
それで教授やカリタルネ達になにかあったら困るしな。
しかし人間一人をそこまで気にするか。神様って意外と神経質なのかもしれない。
「まあ別にいいが」
適当にそう答えてしまった。特に考えてもいなかった。
するとドギュベルは少し驚いたような顔になった後、ニタリといやらしい笑みを浮かべて、
「じゃあ二つ目の依頼よ」
「因果罪政を、殺してよ」
いええええええい!!(深夜テンション)




