泥沼の戦い
俺の脳みそが一瞬揺れた。
コイツ・・・!!まだこんなパワーが残って嫌がったのかよ!!!!
だがな、アッパーで形勢逆転は足りなさすぎるだろ。
「オラア!!!!」
「がふっ!?」
スミロドンに並行圧力無しの拳をお見舞いする。
能力無しでも格の違いが埋まらねえ事を教えてやるよ。
しかし奴は諦めるどころか俺の首筋に食いかかってきた。
速い、速すぎる。
踏み込みが運動神経やられたとは思えねえ、光に迫る速度。
ビビる程の戦闘継続能力に、俺は目を見張った。
こいつ剣持ってねえほうが速えんじゃねえのか!?
とりあえず俺は並行圧力で相手の顎を吹っ飛ばすと、本気の蹴りを腹にぶち込んだ。
スミロドンの体は錐揉みしながら吹き飛び、背後の大木を押し倒して停止した。
「ふう・・・はあ・・・・」
奴は息も絶え絶えの、まさしく瀕死の状態。
おいおい、腸が出てんじゃねえか。
俺はスミロドンにゆっくり歩み寄りながら、2本の『骨剣』を投擲、見事に命中させた。
両肩に突き刺さり、破壊。
これで剣は握れねえ。
残りは顎だけだ。
まあ命乞いを聞くためにあえて壊さねえがな。
「おいスミロドン、どうだい、恐竜の王とタイマン張ってみて」
「うぐ・・・ゲフッ」
血をベチャベチャと吐きまくるスミロドン。
おいおいあんま吐くなよ。アニメにした時作画大変になっちゃうだろ。
「俺はな、別に戦闘狂じゃあない、だが売られた喧嘩はとことん買ってやる主義だ」
定価の10倍で今回は買ってやった。
「殺されそうになったら相手をぶち殺す。自然界では読み書きよりも先に教わるぞ?」
「・・・・う・・・」
「あ?ああ、喋れねえよな、軽口が叩けねえ気分はどうだ?一周回って清々しいだろ?」
騎士道だの誉だの知らねえけどさ、噛み付く相手を間違えた奴は死ぬ。
身の程知らずは1匹残らず死ぬ。
倫理だの残酷だの、俺の性格がサイコパスだの気持ち悪いだの思うような奴は死ぬ。
弱い奴は死ぬだけじゃ片付けられないくらいに、自然は残酷なんだよ。
どんなに文明に囲まれていてもその摂理は付き纏う。
平和だの差別をなくそうだの貧困をなくそうだのを都合良く喚くおめでたい生物がいるなら是非会ってみたいね。
喜べよ、視界に入れた瞬間ティラパンチだ!!
俺は長らく続いたこの戦いに終止符を打とうと、スミロドンの目の前に立ち、並行圧力で血管を爆発させて即死させようと手を伸ばした。
その時、青年の叫び声が聞こえてきた。
少しだけ震えている。
「おい!!」
その声の音源に目を向けると、そこに立っていたのは、
「俺の『使い魔』に、これ以上触れるな・・・・!!」
ドン・タナカだった。




