風呂に入ろう
俺はドギュベルと別れた後、お風呂場へと向かった。
風呂場のドアを開けて更衣室に入る。
この館の風呂はいい。
技術的には前世と比べてひどい格差があるモノの、なんと言うか、風情があるのだ。
『直球な金持ちの家の浴場』みたいな感じか。
浴場内には豪快なあ絵画や彫刻が壁一面に彫られ、そして入り口付近の飾り付けは質素。
緩急をつけた装飾というのが、ヘルバ王国の文化なのだろう。
前世で言うところの日本の安土桃山文化に近いか。
今日は色々あったからな。
しっかりと疲れは取らねえと。
時間的にもうレイたちは上がっただろう。
さっきまでクソうるさかったが、今はシーンとしている。
まああんな広い浴場を独り占めできるんだ。
じっくり楽しませてもらうとするか。
俺は黒いスーツなどを全て脱いだ。
あとはきめ細かいタオルを腰に巻きつけてっと。
そういえばこの身体、意外とヒョロイな。
まあ俺は能力頼りだし、前世でもそんなに鍛えてこなかったし、ヒョロイのは当然か。
筋トレとか、いざという時のために体術を学んでおくのもいいかもしれねえな。
後、人体の構造も勉強しておこう。
『ローカル・バッテリー』を使うには、使う対象の生物の体の構造や筋肉の動きを脳内シュミュレートして、細胞や体内器官の欠けているところを把握する必要があるからな。
そしてやるべきことといえば弱体化した能力の再調整。
今日の能力の調子はあまりに酷すぎた。
まず演算完了から龍力供給、発動まで2秒もかかった。
人化する前は1秒経たずに、前世の俺だったら光よりも早くに演算が終了するってのによ。
ったく、こりゃあ最強の座も危ういかもしんねえなあ。
因みに殆どのティラノサウルスは並行圧力などの能力を使えない。
なぜかと言うと、並行圧力の行使には莫大な龍力量と量子コンピュータ並みの演算能力が必要になってくるからな。
俺が自由に能力を行使できんのは、能力を使うための莫大な龍力量と演算能力があったからだ。
才能っていうのか?
まあ、こんなんいらなかったけどよ。
・・・いろんなこと考えていたら頭痛くなってきた。
もうそろそろ入るとするか。
というわけでお風呂の戸をガラガラガラガラ。
俺は浴場に入るとき、ふと違和感を感じた。
いや、これは、この気配は知っている。
間違いない・・・!!
アイツだ・・・!!
そのとき、ザバアアアン!!と風呂のお湯が盛り上がり、浴場内にあのガキの大音声が響き渡った。聞き慣れた竜族メイドの、あの声。
「ばあああん!!今日はロリタルネが貴方の疲れを癒してあげるのだ!!」
ああくそ・・1人でゆっくりさしてくれよ頼むから・・・。




