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変われたのか?

 「貴方ってロリコン?」

 「・・・・は?」


 ちょっと待ってくれロリコン?

 おいおいおいおいおい俺がそんな異常な性癖を持っていやがるって言いてえのか?

 たしかに最近はロリタルネやレイなどの少女と行動を共にすることはあったが、恋愛感情まで抱いていると思うな。そもそもとして俺は恐竜。人間のメスに惹かれるはずがねえだろーが。ロリタルネにはな、恋愛感情というよりも妹という認識に近い認識しかねえ。レイなんて今日初めて会ったばっかりだぞ?

 

 

 というよりーー

 「なんでてめえはこの世界が監視できねえのに俺がロリコンと断定できるんだ?」

 するとドギュベルの野郎はあからさまにおかしい態度を取り、

 「なななんのことかしらああいやですわね勘違いをなさって」

 ああなるほど。

 この世界が監視できねえってのは嘘だったみてえだな。

 おそらくは俺に行動を促すためのものだろうが、こんなに簡単にボロを出すとはな。

 全く呆れた女だ。

 「てめえこの世界を監視できなかったんじゃあねえのか?」

 決定打をかけると、ドギュベルの野郎はしゅんと肩をすくめて、

 「はい、嘘です」

 「やはり図星か」

 さて、本題に入ろうか。

 俺はランプをつけて部屋全体を明るくすると、いつもの勉強机に座った。

 「で、なんで俺がロリコンだと判断できるんだ?」


 「貴方がロリタルネちゃんとかに対して随分と馴れ馴れしく接しているし童貞のくせしておやすみキッスとか頭なでなでとかしちゃうし一緒に遊んだりとかしちゃうしまるで自分が風呂で洗ってやるよみたいな発言だってしちゃうし途中から「あーこいつガチのロータコンプレックスだなー」って」

 俺は即座に床に崩れ落ちてのたうちまわった。

 グアああああああああ!!!!

 頭ガッっっ!!割れそうだっっっっ!!

 俺の身体をとんでもない激痛が駆け巡る。

 クッソが・・・!!コイツ、俺の脳の演算機能に干渉して・・・・!!!!

 ぐううううううおおおおおお!!!!

 俺はッッッッッッッ!!ロリコンなんかじゃッッ!!

 ねえッッッ!!

 俺は頭を押さえてうずくまる。

 きっと今の俺はひどい顔をしている。

 唇が震え、頭がガンガンと痛み、目の奥が熱く、胸が痛い。

 胸が痛いのは恋ではないっっ!!

 こっこのティラノサウルスが、気分が悪い・・・だと!?

 そして俺の視界にそのエロい生足を組んで俺を見下ろす妖艶なドギュベルの姿が収められた。

 彼女はいう。

 「やはり図星かしら」

 ちくしょおおおおおおおおお!!!!的外れだけどなんかムカつくうううううう!!!!

 「ッッ・・・見下ろすなや・・・!!」

 某有名ホラーバトル漫画の迷言を吐きつつ、俺はよろよろと立ち上がる。

 畜生、最低の気分だクソッタレ。

 「で、話は終わりか?」

 ハアハアと息を荒げながら、俺は質問をする。

 正直言ってもうこんなやつとはおさらばしたい。

 早く風呂入って飯食って寝たい。

 俺の半ば諦めかけたような言葉に、ドギュベルはキョトンとした表情になり、直後にニチャアとした粘着質な気持ちの悪い笑みを形作った。

 「貴方、この世界に来てから随分と丸くなったのね」

 その言葉に、部屋から出掛かっていた俺の身体は、ぴたりと止まった。

 ああそうだ。

 言われてみれば、俺は前世とは別人のように振る舞っていた。

 他者に礼は言うし、礼儀正しく振る舞えるし、きちんと努力だってできる。

 ちょっとずつだけど、明確に自分は変わっている。

 俺は『生きている』のだ。

 この世界で。

 あの周りに当たり散らすような、転生する前のあの性格とは、真逆じゃあねえか。


 俺は、『変われた』のか?


 『悪党』とかいうクソッタレな冠から、脱することができたのか?

 そう思うと、俺は自然と嬉しくなってきた。

 そうだ。

 俺は、変われたんじゃないのか。

 上部だけじゃなく、中身まで、ちゃんと。

 

 俺は部屋から出て行くとき、たしかにこう呟いた。


 「確かにな」


 この世界で生きて行く。

 その信念を、もう一度、ギュッと握りしめた。

 

 

 

 

 

 

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