修練場のイジメ・中編
30人対4人。
戦力差は約7倍。
多勢に無勢とはまさにこの事。
しかも四人の内一人は戦えないと見た。
駄菓子菓子、このティラノサウルス・T・レックス、弱きを助け強気を挫くのがモットー。
でもここはなるべく平和的解決を目指してみよう。
俺は蛇をいつでも出撃させれるように不良共の背後に密かに配置していく。
そして交渉に出る。
「なあ、イジメってよくないぞ。つーか俺らもう帰りたいんだけどさーー」
バガン!!という轟音と共に岩でできた砲弾が高速で飛んできた。
難なく並行圧力で跳ね返す。
まあ『砲弾を放ったやつ』のところに『帰る』んじゃなくて『砲弾』が『俺』に与えるはずだった『エネルギー』をまとめて砲弾に返してるって言った方が正しいか
てゆーか、俺一人でも勝てそう。
恐らくこの中で一番強かったのはタナカだ。
最高戦力が抜けた今だったら、多少なりとも勝率は上がるはずだ。
今の状況を簡潔に説明しておくと、まず俺と剣士、銀髪の魔術師と黒髪ツインテールの女の子が、30人くらいの不良に囲まれている。
なんで俺までと思ったが、外部にいじめが知られたらまずいのだろう。
派手にやったら教授に怒られちまうかもな。
学生だったら大変だし。
ここはなるべく怪我するのを避けよう。
『咆哮』を人間が死なない程度に調整・・・あれ?人間の耐久力ってどれくらいよ?
もしかしたらめっちゃくちゃデリケートなんじゃね?
ツンってやったらパタッちーんみたいな?
悪いが『ローカル・バッテリー』じゃ死者蘇生はできねえ。
とりあえず『咆哮』はやめておこう。
となると並行圧力でどうにかするしかないか。
大気を微調整して、イメージするのは、そうだな、蛇の群れ。
大気でできた蛇の群れ。
俺の掌から並行圧力を発動させて大気を微調整した。
やはりちょっとぎこちない。
5本指で能力操作すんの難しいー。
小さな風を作り、それを粘土人形の形を整えるかのように蛇のように滑らかに、固くする。
蛇のようなうねり、そして大気でできた筋肉。
再現は完璧だ。
俺はそれを10秒の間に10匹作ることに成功した。
1秒に1匹。我ながらいいペースだ。
ひとまずこの10匹でどこまでやれるか。
10匹だから30人相手ドルには少し足らないが、そこら辺は俺単体の力でなんとか補うか。
剣士も結構強いらしいが、この数を相手にするには分が悪いし、銀髪には負傷者を守ってもらわなければならない。
うーん、まともに戦えるのは剣士と俺だけ。
よし、こうしよう。
「俺が退路を確保する。てめえらは女連れて逃げろや」
剣士は一瞬眉を顰めたがすぐに意味がわかったようでさっさと逃げ出そうとした。
彼らは俺の横を走り抜けてさっさと闘技場から脱出。
うん、それでいい。
そして俺は間髪入れずに蛇を操作。
1匹目に作った蛇は最初に突っかかってきたガリ勉に巻きついて締め上げる。
「・・・ガッ!?・・はあ!?」
苦しそうに悶えるガリ勉。
よくやったチャーリー。
後で褒美を取らす。
突然苦しみ出したガリ勉に30人余りの不良集団は阿鼻叫喚。
だが中には勇気のある奴もいて、一人の男が腰の木刀を抜いて全速力で走ってきた。
あれ?速くね?
時速60キロは出てんじゃあねえのか?
鋭い踏み込みに加えて隙のない構え。腰だめに構える居合の型。
しかも持っている木刀。色は薄く安っぽいが、何やら緑色の線が所々に入っているのを見ると、この世界の木で作られているのだろうか。
だが用心したいい気がする。
ロリタルネみたいに剣に魔術を纏わせてくるかもしれねえし、あの時は炎だったが、風や水、氷だったらどうだろう。
風なら衝撃波で、氷だったら威力倍増で切ってくる。
殺しにかかってるな。
でも俺にとっちゃあお遊びだこんなの。
「ほうれ」
「なぬう!?」
2匹目の蛇を男の足にまとわりつかせて転倒させる。
よくやったぞウィルソン。
そして転倒した男の腕にウィルソンを噛みつかせて動きを完全に封じた。
対応力のかけらもねえ奴だ。才能はあるだろうが、経験が足りん。
もうちょっとタナカを見習え。
と思ったら魔術を詠唱してきたので、ウィルソンの尻尾を使って口を封じた。
蛇っつうのは筋肉の塊みてえな生き物だからよ、人間の貧弱そうな顎を押さえ込むなんざ造作もねえ。
ましてやこの大気の蛇は蛇の肉体構造を空気中の物質だけで完璧忠実に再現して尚且つ生物にはできないような自由自在な動きまで可能にしている。
こりゃあバ○ダイのモ○ンスター○ーツも嫉妬しちまうかあ?
そしてお次は黒ギャルっぽい奴らが2、3人一斉に襲いかかってくる。
なんと素手で。
日焼けした肌の、引き締まった体をした何がとは言わないが大きいものをお持ちの黒ギャル。
何って何?
決まってんだろ。
おっぱいだよ。
だがいくら大きくても女といえど手加減はしねえ。
真の男女平等主義者というものは男女平等に優しくして男女平等に殴れる奴だ。
そして俺は(自称)生粋の男女平等主義者。
真の、いや神のフェミニストと言っても過言ではない。
というわけで4匹目5匹目6匹目の蛇をまとわりつかせて締め上げる。
少女たちのみずみずしい太ももにまとわりつくパトリック、ベジータ、カステル。
うわあエッッッッッッッッ
いいぞもっとやれ!!
「ちょっ何これ!?」
「気持ち悪い」
「死ね!!」
おいおい死ねは流石にないであろう。
もっと締め上げるぞ。特に胸を重点的に。そしてその様を撮影してコミケに売り出すぞ。
溜まった金はアフリカの貧しい子供たちに寄付するぞ。
その金で学校を建てちゃうぞ。
それで世界を笑顔にしちゃうぞ。
どーだあおそろしいだろー?
SDGsの一つ目の項目達成するために頑張っちゃうぞ。
そういえばこの世界にカメラはあるのだろうか?
とにかく黒ギャルは拘束成功。
だが残る大気の大蛇は4匹。
どう使うかが肝となりうる。無駄遣いは絶対にできない。
まあ何個でも作れるんだからいいんだけどね。
とりあえず追加で20匹作成。あっ、手だけじゃなくて体全体で待機を操作したら大量生産できる。
というわけで手持ちの大気の大蛇は34匹になった。
ふと不良共をみてみると、何人かはたじろぎ、今にも逃げ出しそうになっている。
あと一押しといったところか。
と思った時だった。
「剣舞・剣の舞」
直後。
不良共がまとめて気絶した。




