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追放された大魔法導士は辺境の地でスローライフを満喫する ~特Aランクの最強魔法使い~  作者: シオヤマ琴
第二章

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第60話 地下牢のミネーナ

「……ミネーナ。どうしてお前が……? っていうかなんでこんなとこに?」

「何よ、久しぶりの挨拶もないわけ? つれないわねぇ」

地下牢に入れられている割にあっけらかんとしているミネーナは手をひらひらさせながら言う。


「お前が俺に手紙をよこしたのか? でもなんで俺の居場所がわかったんだ?」

「はいはいはい、質問は一度に一つにしてくれる。クロードは相変わらずせっかちなんだから」

鉄格子の間から手を伸ばし俺の胸をつーっと撫でるミネーナ。


「答えないなら帰るぞ」

「ちょっと待ってってば、冗談よ冗談っ。説明するから帰らないでっ」

本当に帰ろうとしたところを呼び止められ仕方なく牢屋の前に戻る。


「で、どういうことなんだ?」

「……ふ~、あの女狐たちに嵌められたのよ」

ミネーナはそう切り出した。


「女狐?」

「そう。実はあんたがいなくなってから女戦士と女賢者を新しく仲間にしたんだけどこいつらが曲者でね、あっという間にリックに取り入ってダンテを追い出しちゃったのよ。それだけじゃ飽き足らず今度はわたしまで追い出そうとしたんだけどそれはさすがにリックが止めたわ。でもその次の日だった、わたしにやってもいない窃盗の罪で逮捕状が出てね、もちろん否定したけどわたしの荷物の中から知らない人の財布が出てきちゃって結局このありさまってわけよ」

喋り終わると「ふ~」とまた一つため息をつく。


「それをその女戦士と女賢者がやったと思ってるのか?」

「どう考えてもそうでしょ。わたしの荷物に近付ける奴なんてリックかあの女たちだけしかいないもの」

「ふーん、それで俺の居場所はどうしてわかったんだ? ダンテにでも訊いたのか?」

「ダンテ? あのおじいちゃんとはパーティーを追い出してから全然連絡とれてないわよ」

「じゃあどうやって?」

「あんたわたしのことだいぶ低く見積もってるわね。わたしだってサーチの魔法は使えるのよ」

サーチとは特定の相手の居場所を知ることが出来る魔法だ。

ダンテも以前その魔法で俺の居場所を掴み村に訪ねてきたことがある。


「そっか、お前も使えたのか。差出人の名前を書かなかったのはなんでだ? 文章も変な文章だったし」

手紙の最後にはスリーサイズまで書いてあったぐらいだ。


「あんたを追い出したわたしの名前を書いたところで無視されるんじゃないかと思ったからよ、実際ダンテには無視されちゃったみたいだしね。文章はあんたが食いつきそうなことを適当に書いただけよ、スリーサイズもでたらめ」

「じゃあ俺はまんまと引っかかったってわけだな」

「そういうこと。ごめんねクロード」

俺にウインクを飛ばすミネーナ。


「……大体の話はわかった。それで俺にどうしてほしいんだ?」

「もちろんここから出してほしいに決まってるでしょ。出たらあの女狐たちとリックをボコボコにしてやるんだからっ」

「リックもか?」

「当然よっ。あいつ彼氏のくせに一度も面会に来ないのよ、殴らなきゃ気が済まないわ」

あ、やっぱりリックとミネーナって付き合っていたのか。

はっきりと口に出して訊いたことはなかったから今まで確信がなかった。

まあ多分これで別れることになるのだろうが。


「あんたならこんな鉄格子壊せるでしょ」

とミネーナが言う。


俺は鉄格子に触れてみた。

「うーん、かなりの強度だけど多分壊せるんじゃないかな」

「じゃあ早くやって」

「別にいいけどさこのまま逃げたらお前逃亡犯として一生追われるんじゃないのか?」

俺だって逃亡の手助けをしたことになるだろうし。


「でも他に手がないじゃない」

「そうだなぁ、俺の魔法じゃ無理矢理壊すくらいしか出来ないし……あ! もしかしてあいつならなんとか出来るかも……」

「誰よ、あいつって……」

「少しだけ待ってろミネーナ。そいつ連れてくるからっ」

「あっちょっとねえ、どこ行くのっ。クロードってばっ……」


俺はミネーナを置いて地下牢を駆け出していくのだった。

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