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追放された大魔法導士は辺境の地でスローライフを満喫する ~特Aランクの最強魔法使い~  作者: シオヤマ琴
第二章

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第56話 プロポーズ

ジョパン城前に着くと大勢の人がジョパン国王を祝うために集まっていた。

お城のバルコニーから手を振るジョパン国王。

そしてその両隣にはジュエル王女とプルセラ王女が立ち、二人ともお城の前に集まっている民衆に向かって手を振っている。


とその時だった。


「プルセラ王女っ!」


カルツェッリが民衆の中から抜け出した。

手をプルセラ王女に向け叫ぶ。


「プルセラ王女! 僕は王族ではありません、しかしあなたのことを愛する気持ちなら誰にも負けません!」

言うなりカルツェッリは地面にひざまずきポケットから高級そうな小箱を取り出してみせた。

それを開けると中にはきれいに輝く銀色の指輪が。


「プルセラ王女! どうか僕と結婚してくださいっ!」


静まり返る会場。

ジョパン国王とジュエル王女を含めその場にいた全員がプルセラ王女を見る。


当のプルセラ王女はというと顔を真っ赤にしてただうろたえていた。


「ど、どういうことじゃプルセラ。け、結婚とは一体なんじゃっ」

ハッと我に返ったのかジョパン国王が父親の顔を見せる。

「おい、カルツェッリよ! お主まさかプルセラと付き合うとるのではあるまいなっ!」

「いいえ、ジョパン国王様! しかし娘さんを愛する気持ちは本物です! どうか娘さんを僕にくださいっ!」

「「「おおーっ!!」」」


その瞬間会場が割れんばかりの歓声に包まれた。


「よく言ったぞー!」

「兄ちゃん頑張れー!」

「国王認めてやってー!」


集まっている人たちが口々に声を上げる。


「ぐぅっ……」

ジョパン国王は渋い顔になる。

そして、

「わ、わかった……わかったから皆の者静かに!」

会場を落ち着かせるとプルセラ王女に向き直った。


「プルセラよ、お主あやつのことが好きなのか?」

「……」

無言ながらもこくんとうなずくプルセラ王女。


「……そうか。ならばわしはもう何も言わん。お主たちの好きに――」

「ちょっと待ったー!!」

ジョパン国王の言葉を遮って大声が会場中に響き渡った。

……というかその声の主は何を隠そうこの俺だ。

俺も民衆の中から抜け出てカルツェッリの横に立つ。


目立つのが苦手な俺としては大声を出すのにも勇気がいった。

だが今しかこの結婚を止めるチャンスはないと思い意を決して叫んだのだった。


「……スタンス!? な、何やってるんだお前はっ!」

「スタンス様?」

プルセラ王女は怒鳴り声を上げ、ジュエル王女は目をぱちくりさせている。

まあ予想通りの反応だな。


「お主!? お主は大魔法導士のクロードか!? 何をしておるクロード、ちょっと待ったとはなんじゃ!?」

ジョパン国王は俺のことを覚えていたようだ。

それもそうか、大魔法導士の称号をジョパン国王から授与されたのは後にも先にも俺一人だけだからな。


「ジョパン国王、こいつに一言言いたいことがあります! 黙ってみていてください!」

「な、なんじゃと!?」


俺は周りを無視してカルツェッリに顔を向けた。

「カルツェッリ、プルセラ王女と結婚したいなら俺と勝負しろ。勝ったら好きにすればいい、ただ負けたら二度とプルセラ王女に近付くな」

「おい、あいつ勇者のパーティーをクビになった奴だぜっ」

「なんだてめぇは!」

「クロード邪魔すんなっ!」

「邪魔者は引っ込んでろ!」

後ろから罵声が飛んでくる。


「スタンス、何を言ってるんだ! やめろバカっ!」

プルセラ王女も怒鳴っている。

あーやだやだ、これじゃまるっきり俺が悪者じゃないか。


……でも今さら後には引けない。


怒声が鳴りやまない中、

「どうなんだ? カルツェッリ」

「くっ……大魔法導士だと……お前なんで僕の邪魔をするんだ?」

「お前の企みを聞いてしまったからな。仕方なくだ」

「オ、オレの……話を聞いていたのか貴様」

口調が荒くなる。


「そっちの方が合ってるぞお前」

「はっ。ひゃははっ、だからなんだというんだ? よくよく考えればこの会場でお前の言葉を信じる奴がいるか? いないだろう」

開き直るカルツェッリ。

確かにこの雰囲気では俺の言い分は聞いてもらえそうにない。


まいったな、焦るあまり方法を誤ったか。


だがキャラにないことをするんじゃなかったと俺が反省し始めた時、その音声は流れた。


「お前、どうやって落としたんだよ?」

「これで将来安泰だな」

「王女なんて世間知らずだから簡単だぜ」

「プルセラは初めて会った時からオレにメロメロだからな、もう王家を乗っ取るのも時間の問題だ。ひゃははっ」

「でもよ、プルセラ王女はともかくジュエル王女はどうすんだよ」

「なーに、ジュエルは天然の箱入り娘だからどうにでもなるさ」

「今日の式典でサプライズプロポーズが成功すればオレは晴れて王族の仲間入りだ。そうなったらお前ら出世させてやるぜ」

「おおー、サンキューカルツェッリ!」

「期待してるぜ、カルツェッリ!」

「おい、あんまり大きな声出すなっ。誰かに聞かれたらどうすんだバカがっ」


……。


「お、おい今の声ってそこの兄ちゃんの声だったよな……?」

「ああ、カルツェッリって言ってたぜ」

「どういうことだ?」

「王家を乗っ取るとかなんとか……」


会場の雰囲気ががらりと変わった。

疑惑の視線がカルツェッリに向く。


「き、貴様……」

「え、いや今の音声を流したのは俺じゃないぞ」

本当に知らない。

そんないいものがあるならとっくに使っていた。


と視界の端にアイリーンが見えた。

アイリーンは俺と目が合うとにへら~と笑った。


もしかしてあいつか?

どうやったのかわからないがもしかしなくてもあいつだろうな。あいつしかいない。

……あなどれない奴。


「カルツェッリよ、今のはどういうことじゃ? お主わしの娘を利用しておったのか!」

「……カルツェッリ……」

ジョパン国王とプルセラ王女の視線を受け、


「き、貴様のせいですべて台無しだ! うわぁーっ!」


カルツェッリが拳を振り上げ飛び掛かってきた。

だが、

「エアロショット」

俺が放った空気の塊にカルツェッリが吹っ飛ばされる。


魔法使いなら誰でも使えるような基礎魔法をかなり手加減して撃ったのだがカルツェッリは目を回して気絶した。


そして次の瞬間――


「「「おおおーーーっ!!!」」」


今日一番の歓声がジョパン国王ではなく俺に注がれたのだった。

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