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追放された大魔法導士は辺境の地でスローライフを満喫する ~特Aランクの最強魔法使い~  作者: シオヤマ琴
第一章

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第5話 朝のひととき

……いいにおいがする。

トーストを焼くにおいと肉が焦げるにおいだ。


俺はベッドから起き上がると顔を洗い一階に下りた。


「あっ、おはようございます。スタンスさん」

「おう、フローラ。おはよう」

朝から笑顔のフローラはエプロンをしてキッチンで朝食の用意をしていた。


「スタンスさんもトーストとハムエッグでいいですか?」

「いいけど、作ってくれるのか?」

「はい、ついでですから」

ハムを二枚重ねると手際よく片手で卵を割りフライパンに落とす。

ジュージューとハムと卵が焼ける音が聞こえてくる。


「座って待っててください」


言われた通り俺は椅子に腰かけ、料理をしているフローラの後ろ姿をただなんとなく眺めていた。


「はいどうぞ」

ものの五分でトーストとハムエッグとサラダがテーブルの上に並べられる。

フローラは対面に腰を下ろすと「いただきます」と言ってサラダを口に運んだ。

俺も「いただきます」とトーストに手を伸ばす。


「昨日の話の続きですけど食事や洗濯、掃除などは一通り私がするのでスタンスさんは家のことは特に何もしなくてもいいですよ」

フローラが口をもぐもぐさせつつ言った。


「いや、さすがにそれは悪いだろ」

ヒモじゃあるまいし家事を一切せずに食って寝てするだけなんて気が引ける。


「大丈夫です。ただその代わりと言ってはなんですけど生活費として月に金貨三枚ほど家計に入れてもらえると助かります」


フォークを振りながら話をするフローラ。


「多分二人で生活するのに月に金貨五枚くらい必要だと思うんですよね~。私も働いて金貨二枚家計に入れるのでスタンスさんもお願いできますか?」

「ああ、まあそれくらいなら全然いいけど」

「よかった~。じゃあそれでお願いしますね」

フローラはほっと胸をなでおろし食事を再開する。


金貨三枚か……。

この村に住み始めてから一か月、食べ物はデボラさんの手料理や村の人にもらった野菜で済ませていたし水道代などはまだ払っていなかったから今までお金を使う機会がほとんどなかった。


俺はポケットの中をそっと覗き込む。

そこには魔王退治の旅の道中に稼いだ分の残り、金貨が二枚と銀貨が四枚入っていた。

金貨三枚には微妙に届かない。


「あっ、スタンスさん。玄関にあった雑草、あれってなんですか?」

「え、雑草?」

「はい。かごの中に沢山入ってましたけど」

「あ……」

そういえば昨日採ったムカデ草らしき草を置いておいたんだったっけ。


っていうか……。

「あれって雑草だった?」

「はい。庭の草むしりでもしたんですか?」

フォークを口にくわえながら純粋そうな目をこちらに向けてくる。


「あー……うん、まあ、そんなとこ」

薬草に疎い俺は高値で取引されるムカデ草とただの雑草を間違えて採っていたらしい。


不覚だ。

薬草屋に金貨二、三枚で売りつけようと思っていたのだが当てが外れた。

これはいよいよ働かないといけないな。

とは言ってもこんな山奥の村に働き口なんてあるのだろうか。


「フローラはどこで働くつもりなんだ?」

ハムエッグを口に運びながら俺は訊ねてみた。


「私ですか? 私はパン屋さんでまた雇ってもらおうと思っていますけど」

「そうなのか」

「スタンスさんはどこで働いているんですか?」

「えっ!? お、俺は今は、えーっと……」

働いていないとは言い出しにくい。


答えに詰まっていると、

「わかった! 最近出来た冒険者ギルドですねっ。スタンスさんならどんな依頼でもこなせそうですもんね」

フローラが得心のいったような顔でうなずいてみせる。


「あ、ああ。まあな」

つい口から出まかせを言ってしまった。

俺って結構見栄っ張りなのかも。


「やっぱり! 私、冒険者ギルドって一度行ってみたかったんですよね~、あとで連れていってくださいね」

「ああ、任せとけ」

笑顔で返す。

……って何が任せとけだ。ギルドがこの辺りにあることも知らなかったのに。

早いとこギルドの情報を村の人に訊いておかないとまずいな。


俺は急いで朝食を胃に流し込むとフローラとの会話もそこそこに家をあとにするのだった。

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