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第4話 国王直属の騎士

「はぁ……説明してくれるんだよな、フローラ」

レアルがいなくなり俺からさっと離れたフローラに顔を向ける。


「すみませんでした……あの人はストーカーなんです」

「ストーカー?」

「はい。最初は私が働いていたパン屋さんにふらっと来たお客さんだったんですけど次の日には花束を持って求婚してきて。それからは毎日来るようになって、ずっとあの調子で……あまりにしつこいのでここまで逃げてきたんです」

フローラはうつむき加減で話した。


「ふーん、そうだったのか」


あんな変な奴に四六時中うろつかれたらたまらないだろうな。同情するよ。


「えっ、どこ行くんですか? まさか決闘を受けるんですかっ?」

外に出ようとする俺に驚いた様子で声をかけてくるフローラ。

「やめてくださいっ、あの人ああ見えてジョパン国王直属の騎士なんですっ」

「国王直属の騎士ね……人は見かけによらないもんだな」

って俺が言えた義理じゃないか。


「殺されちゃいますって!」

「まあまあ。多分大丈夫だから」

「スタンスさんっ……」


不安げなフローラを家の中に残してドアを閉めるとレアルの前に立つ。


「言っていなかったけど僕はジョパン国王直属の騎士なんだ」

「それならさっきフローラから聞いたぞ」

「ほう、それなのに逃げなかったとは感心だね。さすがフローラが選んだ男だけはあるってところかな」

レアルは腰に差した剣を引き抜き俺に向けて構えた。

月明かりで剣が鈍く光る。


「手加減してもらえると思っているなら大間違いだよ、決闘は全力でやるものだからね。もちろんスタンスくん、きみも本気でかかってきたまえよ」

「本気でやってもいいのか?」

「ああ、それでこそ決闘だからね。手を抜いては相手に失礼だよ」

「……そういうもんなのか。わかった」

「悪いね。ライオンはウサギを狩る時も全力なんだ」

そう言うとすり足で距離を詰めてくるレアル。


「ではいくよ、はあぁっ!」

「トルネードウインド!」

斬りかかってきたレアルに俺は両手から放った渦を巻いた突風をくらわせた。

レアルは「ぶげぇぇぇぇぇー!?」と声を上げながら三つ先の山を越えて飛んでいってしまった。


「国王直属の騎士ならあれくらいじゃ死なないよな……多分」

遠くを見ながらつぶやく。


すると、

「嘘……!?」

いつの間にか家から外に出ていたフローラが目を丸くしてこっちを見ていた。

「今のって魔法、ですよね……?」

「え、今の見てたの?」

「は、はい……ってあれ? スタンスさんの顔、よく見るとどこかで見たことあるような……」

口に手を当て俺の顔をじっと眺める。


まずい。

フローラは都会にいたから俺のことを知っている可能性が……。


「スタンス? 魔法? 使い?」

「あ~俺、そろそろ宿屋行くから――」

「ディスタンス……? あっ! クロード・ディスタンスっ! スタンスさんって勇者パーティーをクビになったクロード・ディスタンスさんですねっ!」

「わっ、声がでかいって」

俺はフローラの口を押えると壁ドンよろしくフローラの家の壁に押しやった。


「むごむご……」

「恥ずかしいから黙っててくれ、頼む」

「むごむごむご……」

フローラは何か言いたそうに俺を見上げながら首を縦に振る。


「手、放すけど静かにしろよ。騒ぐなよ」

「むご……」

俺は犯罪者みたいな口ぶりで手をそっと放した。


「ぷはっ……やっぱりスタンスさんは勇者パーティーの一員だったクロード・ディスタンスさんなんですね」

小声で話すフローラ。


「あ、ああ」

「すご~い、有名人に会うなんて初めてです。でもなんでこんなところにいるんですか? 噂では故郷に帰ったって話でしたけど」

「あー、帰ろうと思ったんだけどたまたま寄ったこの村が気に入ったんだ。魔王退治は俺がいなくても大丈夫だろうし俺はのんびり過ごそうかなと思ってさ」


勇者パーティーを追放されたから故郷のみんなに合わせる顔がないとは言えずとっさに見栄を張る。

この村が気に入ったという部分は本当なので別にいいだろう。


「そうなんですか」

「変に騒がれるのも嫌だから俺の正体は誰にも言ってないんだ。フローラも黙っててくれると助かる」

「それはいいですけど」

「よかった。じゃあ俺は宿屋に行くよ。荷物は明日また取りに来てもいいかな?」

「あ、宿屋には行かなくていいですよ。今まで通りうちにいてください」

笑顔のフローラが言う。


「え、でも若い男女がどうのこうのって言ってただろ」

「それはあなたのことをよく知らなかった時の話です。勇者の仲間だった人なら信用しますよ。それに恩人を追い出すような真似は出来ないですから」

フローラは続けて、

「さあ今日は遅いからもう寝ましょう、実は私長旅で疲れてるんです。掃除とかゴミ出しとか家の決まりごとは明日考えればいいですよね」

矢継ぎ早にまくしたてると家へと入っていった。


廊下で振り向き、

「さあ、スタンスさんっ」

と手招きする。

「お、おう」


こうして俺は半ばフローラに押し切られる形で彼女の家に居候させてもらうことになったのだった。

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