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追放された大魔法導士は辺境の地でスローライフを満喫する ~特Aランクの最強魔法使い~  作者: シオヤマ琴
第一章

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第39話 来訪

両国王の見ている前での剣術大会から二日後の名もなき村。


「これはどういうことですか? スタンスさん」


俺は仕事から帰ってきたばかりのフローラに小声で問い詰められていた。

それというのも、


「フローラさん、わたくしのことはお気になさらず。わたくしはお友達のスタンス様に会いに来ただけですから」

「私はその付き添いだ」

ジョパン国第一王女のジュエル王女と第二王女のプルセラ王女がお忍びで家に来ていたからだ。


「そ、そうは言っても王女様お二人が私の家にいらっしゃるなんて……」

フローラは戸惑いながら返す。


ついさっきお供も連れずに家に突然やってきた二人の王女はリビングのテーブルの前に座りお茶を飲んでいる。

俺とフローラはその様子をただじっと眺めていた。


「そんなにかしこまらないでくださいフローラさん。今のわたくしたちは王女ではなくあくまでスタンス様のお友達に過ぎないのですから」


フローラはまたも小声でおれに耳打ちしてくる。

「スタンスさん。どういう状況なんですか、これ?」

「えっと、実は一昨日剣術大会の時に友達になってってジュエル王女に頼んだんだよ。そしたらオーケーしてくれて……」

「正確には結婚を前提としたお友達です」

「結婚っ!?」

フローラが声を上げる。


「いや、それはジュエル王女が勝手に言ってるだけで俺は言ってないから――」

「スタンスさん、結婚はしないって私に言いましたよねっ。そもそも剣術大会だって出るつもりはないって」

フローラは俺に向き直り顔を近付けてくる。


「結婚なんてしないってば。っていうかなんでそんなに怒るんだよ」

「怒ってませんっ」

そう言うとぷいっと顔をそむけてしまう。


「なんだ? フローラってスタンスのことが好きなのか?」

「そっ、そんなわけないじゃないですかっ。誰がスタンスさんのことなんかっ」

プルセラ王女の問いに耳を真っ赤にして反論するフローラ。

そこまではっきり言われるとちょっと傷つく。


「そうか、だったら姉さんとスタンスが結婚しても問題ないな。よかったよかった」

「だから俺は結婚なんてしませんてば。話聞いてます?」

「ではスタンス様はどのようなおつもりでわたくしとランド王子との婚約を破談にしたのですか?」

ジュエル王女が冷たい目で俺を見た。


「どのようなって……」


ジュエル王女とランド王子との婚約話は流れたらしい。

なんでも剣術大会の後ジョパン国王がガシュウ国王に対してノーを突きつけたのだそうだ。


大国であるガシュウ国に意見を言って何か報復のようなものがなければいいのだが。

あの親子面倒くさそうだったからなぁ……って俺には別に関係ないんだけど。


「ランド王子との婚約が流れわたくしには対外的にケチがついてしまいました。もうわたくしをもらってくださる殿方はいないでしょう。ですからスタンス様にはきちんと責任を取ってもらいます」

「いやいや、そんなことはないですよ。大体俺まだ十七ですし……」

ジョパン国では結婚は十八歳からと法律で決まっている。


「お友達として一年間付き合ってそれから結婚すれば何も問題ないではありませんか」

「問題大アリですっ。失礼ですけど俺はジュエル王女のことはなんとも思っていません。ごめんなさいっ」

「なっ!? お、お前ほんとに失礼だぞっ、スタンスっ」

プルセラ王女は立ち上がると俺を指差す。


「姉さんのどこが不満なんだ! 美人でおしとやかで文句のつけどころがないだろうが!」

「不満があるわけじゃなくてですね、まだ結婚とかは早いかなぁって言ってるんです」

つい最近まで魔王退治の旅に出てたのに勇者のパーティーを追放されたと思ったら今度は王女と結婚なんて波乱万丈すぎる。

俺は辺境の地でひっそり生きていくと決めたんだ。


「スタンス様、あなたのおっしゃりたいことはよくわかりました」

とジュエル王女は言う。


「では一年後の今日結婚式を執り行いましょう」

「全然わかってないじゃないですか」

ジュエル王女は聞く耳を持ってくれない。


そこに、

「あ、あのう……ジュエル王女はスタンスさんのことが好きなんですか?」

フローラが口を開いた。


「いいえ、まったく」

「え? そうなの姉さん?」

「ええ、だってわたくしスタンス様のことをほとんど知りませんし」

「ほら聞きましたか? プルセラ王女。結婚は好きなもの同士がするべきなのにこれじゃあジュエル王女のためにはなりませんよ」

「う~ん、それもそうだな」

口に手を当て考え込むプルセラ王女。


やった。こっちの王女はまだまともだ。


「結婚してから好きになるという場合もあります。事実お父様とお母様はそうだったと以前おっしゃっていましたから」

とジュエル王女。

問題はこっちの王女だ。


「それって王族同士のお見合い結婚だったからじゃないですか?」

フローラがジュエル王女に顔を向けた。


「ええ、確かにお父様たちはお見合い結婚ですが」

「でしたら話はまた別ですよ」

「そうでしょうか?」

「そうです」

フローラはジュエル王女に対して一歩も引かない。


するとフローラの進言が心に響いたのかジュエル王女は、

「……スタンス様、結婚のことは今しばらく忘れましょう。まずはお互いのことをよく知らなくてはいけないようですので」

俺の目を見てそう言った。


考えを改めたらしい。

ありがとうフローラ。


「というわけでスタンス様、今日からわたくしもあなたと一緒に暮らします」


ジュエル王女は全然わかってくれていなかった。

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