第33話 プルセラ王女の頼み
「散々だったよまったく」
「大変でしたね、スタンスさん」
コロンがお茶を差し出しながら言ってくる。
ここは村はずれの冒険者ギルド。
プルセラ王女の護衛が結局タダ働きで終わってしまったので新しい依頼がないか訊きに寄ってみたところだ。
「ああ、ありがとう」
「それよりどんな方だったんですか? プルセラ様って」
コロンは目をきらきらさせながら訊いてくる。
「プルセラ王女ねぇ……期待してるとこ悪いが会ったら幻滅するんじゃないかな」
「え? なんでですかぁ?」
「だって体が弱いなんていうのは嘘で本当は王族の行事に出たくないだけなんだぞ。それに口が悪いし性格も悪いし俺がタダ働きになったのだってあの王女のせいなんだから」
「……!!」
コロンは持っていた湯吞みをカウンターに落としてこぼす。
「何してんだコロン」
もしかしてあこがれのプルセラ王女の悪口に怒っちゃったのかな?
俺が湯呑みを元に戻そうと椅子から立ち上がった時だった。
「ほう、私は口も性格も悪いのか」
背後から声がした。
この声はもしかして……。
振り返り、
「プルセラ王女っ!」
「プルセラ様っ!?」
俺とコロンの声が重なる。
「なんであん……プルセラ王女がここにいるんですか?」
「お前が帰った後お前のことがどうしても気になってな、アイリーンに訊いてみたんだ。そしたらアイリーンが教えてくれたよ。同じ魔法使い同士アイリーンも気になってお前のことを調べたらしい」
プルセラ王女は「ふふん」と口角を上げた。
「スタンス、いやクロードと言った方がいいかな。お前は大魔法導士クロード・ディスタンスだろうっ」
「ええー! ど、どうするんですか、バレちゃいましたよスタンスさんっ」
とコロンが俺以上に大きく反応する。
それを見て逆に冷静になる俺。
「やっぱりな、それにしてもなんでお前正体を隠して面接に来たんだ?」
「いや、それは……」
「勇者様のパーティーを追い出されたことが恥ずかしいからですよね? スタンスさん」
俺が言いよどんでいるとコロンが代わりに答えた。
「なんだ、そんなことか」
「わたしたちにとってはなんてことないことでもスタンスさんにとっては大事なことなんですよ。うんうん」
コロンは自分で言って自分でうなずいている。
すると、
「あ、あの突然ですけどプルセラ様……わたしコロンて言います。プルセラ様の大ファンです、あ、握手してくださいっ!」
「おお、お前なかなか見所があるな。お前年はいくつだ? 十歳くらいか?」
「え? わたし十七歳ですけど」
「なっ、十七歳! 嘘だうぐむむぅっ……!?」
「プルセラ王女は俺に用があるみたいだからまたな、コロンっ」
俺はプルセラ王女の口をふさぐとギルドから連れ出した。
外に出ると、
「ぷはっ……な、何をするんだいきなりっ。私は王女だぞっ!」
手を放してやる。
「すいません。でもコロンは自分を年相応だと思っているんですよ。だから現実を突きつけないでください」
「そ、そうなのか……じゃああれで本当に私と同い年なのか。う~ん、信じられん」
プルセラ王女は難しい顔をする。
「で、この村に来たのは俺の正体を確かめたかったからですか?」
だとしたらずいぶんと暇な王族だ。
「それもあるがお前がクロード・ディスタンスだったら直々に頼みたいことがあってな。それでこうして田舎くんだりまでやってきたんだ」
「頼み、ってなんですか? お金ならありませんよ」
「そんなもの腐るほどあるわ」
言ってみたいセリフを簡単に吐くプルセラ王女。
「なーに簡単な頼みだ。私の姉さんと結婚してほしいだけだ」
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