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追放された大魔法導士は辺境の地でスローライフを満喫する ~特Aランクの最強魔法使い~  作者: シオヤマ琴
第一章

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第31話 王家の墓

「着いたぞ、ここが王家の墓だっ」

プルセラ王女が口を開く。


俺とプルセラ王女の二人で歩くこと十五分、俺たちは目的の王家の墓に到着した。


「ここまではモンスターも出てこなかったな」

「そうですね」

王家の墓周辺にもモンスターは多数いると聞いていたので少し拍子抜けだ。

まあ出ないに越したことはないのだが。


王家の墓は大きくて四角い岩をいくつも積み重ねて出来たような造りで中へと続く横穴が開いていた。


「あっ、ライト持ってくるの忘れてしまった」

プルセラ王女が声を上げる。


「あーそれくらいなら魔法で何とかなりますからいいですよ」

俺はそう返すと右手の人差し指を上に向けた。


「ライトニング!」


瞬間、人差し指の先端が輝きを放つ。


「おお! 光ったぞ」

「これで大丈夫です」

「やっぱり魔法というのは便利だな。私もアイリーンに教えてもらおうかな」

とプルセラ王女は言うが多分面倒くさがりのこの人には無理じゃないかなぁと思う俺だった。


横穴から王家の墓に入ると中の空気は湿ったようにどんよりとしていた。


「なんか不気味だな」

「そうですね」

「モンスターが出てきたら頼むぞ」

「わかってますから服引っ張らないでください」


凛々しい顔とは裏腹にプルセラ王女は俺の服をしっかりと掴んで離さない。

少し歩きにくい。


「道こっちで合ってますか?」

「わからん。初めて来たんだ、私に訊くな」

俺だって初めてだからわからないんだけど。


すると、

『ガアアァァ!』

曲がり角に包帯を全身ぐるぐる巻きにしたモンスターが立っていた。


「きゃあっ!」

プルセラ王女が可愛らしい悲鳴を上げ俺の左腕にしがみつく。


「ちょっと放してください、魔法が使えないですっ」

俺の魔法はサンダーボルトのように手を掲げ天から放つ場合もあるが基本的には手から放出させる。

右手では既にライトニングを使っているので他の魔法を使うと視界がまったく見えなくなってしまう。


「プルセラ王女、左手放してくださいっ」

「きゃあぁーっ!」

「くそっ……エレキグラブ!」


俺は右手にだけ電気を集めた。

電気はバチバチッと通路を明るく照らす。


俺はその手でモンスターの振りかぶってきた腕を掴んだ。

『ガアァアァー!?』

その刹那、モンスターに電気が流れうめき声を上げる。

ぷすぷすと音を立て膝から崩れるようにして倒れるモンスター。


「もう大丈夫ですよ、プルセラ王女」

「はっ。べ、別にこんな雑魚モンスターよく見たら怖くもなんともないな、うん」

さっきまで俺の腕にしがみついていたくせに強がってみせる。


その後も数体のモンスターが襲ってきたが危なげなくそれらを撃退した俺はプルセラ王女を連れ一番奥の部屋にたどり着いた。

部屋の中央には古めかしい棺が置かれていてその後ろには大きな石像が棺を守るように鎮座していた。


「あとはお祈りをすれば終わりだな」

そう言うとプルセラ王女は棺に近付き手を合わせた。

俺には聞こえない声でぶつぶつと何やら喋っている。


「よしっ、終わったぞ。帰るか」

「もういいんですか?」

「ああ。こんな気味の悪いところはさっさと出よう」

気味の悪いって……。

一応その墓は先祖の墓だろ。


「おっと……」

その時プルセラ王女が石畳に足を取られ壁に寄りかかった。

ヒールの高い靴なんか履いているからだ。


すると、ガコン。と石が外れたような音がした。


「なんだ? この部分の石がへこんだぞ」

プルセラ王女が壁を見る。


「え?」

俺も確認すると確かに壁の一部がへこんでいた。


「壊したんですか?」

「いや、私じゃないぞ。もとから崩れていたんだ。そうに違いない」

自分を納得させるかのように一人うなずく。

今へこんだって言ったばかりだろうに。


「まあいいですけど」

俺の先祖の墓じゃないし。


「じゃあな、ご先祖様。ゆっくり眠ってくれ」

だが俺たちが棺を背に部屋を出ようとした時だった。


ゴゴゴゴゴ……。


後ろから妙な音が聞こえた。


なんだろうと振り向く俺たち。


すると、


「「なっ!?」」


さっきまで座っていたはずの石像が立ち上がって剣を振り上げていた。

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