第29話 面接
ジョパン城の正門前にワープした俺はおそらく他の面接者であろう屈強な男たちの視線を感じながらも門番に話しかける。
「プルセラ王女の護衛役の面接に来たんですけどどこに行けばいいですか?」
「おお、それならば真っ直ぐ行って突き当たりの部屋だ」
「ありがとうございます」
正門をくぐりお城に入ると長い通路がありそこを真っ直ぐ進むと大きな扉が見えた。
扉の前には五十人ほどの男たちが廊下に長い列を作っている。みんな体格がいいから戦士や武闘家たちだろう。
スーツを着ているのは俺だけで他のみんなはそれぞれ鎧や甲冑、拳法着などを身に纏っていた。
俺は多少気恥ずかしさを感じつつ列の最後尾に並ぶ。
しばらく待っていると扉が開き中からでかい男がうなだれた様子で出てきた。廊下を歩き去っていく。
そして、
「次の者、入れっ」
部屋の中から女性の凛とした声が聞こえた。一番前にいた男が部屋に入っていく。
もう面接は始まっているのか。
じゃあさっきのうなだれていた男は落ちたってことかな?
その後も続々と俺の後ろに列が出来ていく。
俺はただ自分の順番が来るのを待った。
一人また一人と列に並んでいた男が減っていき、一時間ほどしてついに俺の番になる。
「次の者、入れっ」
声を受けて俺は部屋に入った。
すると部屋の中には長い机があり机の向こう側に女性が二人座っていた。
一人はスーツ姿で一人はドレス姿。
スーツ姿がばっちり決まっている女性は面接官だろうがドレスを着た可愛らしい女性は誰だろう?
まさか王女本人が面接に立ち会っているのか?
コロンの話ではジョパン国の第二王女プルセラは体が弱いらしくめったに人前には出てこないらしい。
そうでなくても王族に興味のない俺は王女の顔など知らない。
だからドレスの女性が王女かどうか俺にはわからない。
「おい、プルセラ様をじろじろ見るなっ」
スーツ姿の女性が言う。
「あ、はい。すみません」
思った通りこのにへら~っと俺に微笑みかけている女性がプルセラ王女のようだ。
「私はアイリーンだ、普段はプルセラ様の身の回りのお世話をしている。今回は私が面接官というわけだ。では今から面接を始める」
アイリーンと名乗った女性ははきはきと喋り出した。
「まず言っておくが王家の墓にはモンスターが沢山出てくる。よってプルセラ様の護衛役は強くなければならない。お前、名前は?」
「クロ、ごほんごほん……スタンスです」
クロードと言いそうになりとっさにごまかす。
「スタンスは見たところ剣士や戦士ではないようだが?」
「そうですね。魔法使いなんで」
「魔法使いか……う~ん、どうするかな」
アイリーンさんはあごに手をやる。
するとプルセラ王女がアイリーンさんの肩をそっと叩き何やら耳打ちをした。
「……そうですね、そうしましょうか」
アイリーンさんは一つうなずくと、
「スタンス、プルセラ様に向かって全力の魔法で攻撃してみろ」
俺に向き直る。
「へ? 魔法で攻撃するんですか? 王女を?」
「そうだ」
「いや、無茶言わないでくださいよ」
守るべき対象を殺してしまってはしゃれにならない。
「大丈夫だ。プルセラ様はこう見えて魔法の英才教育を受けているからな。バリアを張るくらいお手の物だ」
「……本当ですか?」
緩みっぱなしの笑顔を絶やさず俺をぽけーっと見ているプルセラ王女はとても俺の魔法を防げるとは思えないのだが。
「プルセラ様、こいつに見せてあげてください」
「うん」
子どもみたいな返事をしてプルセラ王女は「マジックバリア!」と唱えた。
するとプルセラ王女の周りを円形のバリアが覆う。
おお。
一応魔法は使えるみたいだな。
でも……。
「やっぱり攻撃するのはちょっと」
「やらないなら即不合格だぞっ」
「はぁ……わかりましたよ」
全力なんてとても無理だから一割くらいの力でっと。
「エアロショット!」
俺はプルセラ王女に向かって空気の玉を発射した。
バリアに当たってポンと空気の玉が消滅する。
「なんだ、エアロショットか」
とアイリーンさんがつまらなそうにつぶやいた。
エアロショットは魔法使いなら誰でも使えるような基本的な魔法だからがっかりされたか。
もうちょっと高度な魔法を使うべきだったかな? などと思っていると、ぴしぴしとバリアにひびが入り次の瞬間バリアが粉々に砕けた。
「っ!?」
驚くアイリーンさん。
「プ、プルセラ様っ、お怪我はっ?」
「うん、大丈夫だよ」
プルセラ王女は何事もなかったかのように返す。
「プルセラ様のバリアを破壊するとは……しかもエアロショット程度の魔法で」
「あの、それでどうですか? 結果の方は?」
「……」
プルセラ王女がまたもアイリーンさんに耳打ちをする。
それを聞いたアイリーンさんは俺の目を見てこう言った。
「スタンス、明朝またここに来い。今度はスーツではなく動きやすい服装でな」
「え……ということはもしかして?」
「合格だ」
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