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追放された大魔法導士は辺境の地でスローライフを満喫する ~特Aランクの最強魔法使い~  作者: シオヤマ琴
第一章

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第26話 二つの依頼

「いよいよ所持金が底をついたぞ……」


ゴッサム城での出来事から二か月余りが経ち俺の有り金はきっかりゼロになっていた。

毎月金貨三枚を家に入れる条件で居候させてもらっている身としては何がなんでも生活費を稼がなくては。

最低でも金貨三枚だ。


俺は冒険者としての仕事を得るためギルドへと向かった。


「といってもなぁ……昨日も来たけど依頼なんてなかったしな」


いざとなったら大都市までヘブンズドアでワープして仕事を取ってくるしかないが、大都市に行ったら勇者パーティーをクビになった男として奇異の目で見られるのは目に見えている。

出来る限りそんな悪目立ちする行動はとりたくない。

俺は意外と自尊心が強いのだ。


「邪魔するよ」

「あ、スタンスさんっ。いらっしゃいませ痛っ!」

コロンは俺を見るなり駆け寄ろうとしたのだろう、カウンターを回り込もうとしたところで盛大にコケた。

びたんと床に顔から倒れる。


「だ、大丈夫か?」

「えへへ……ちょっと痛いけどわたし頑丈なので平気ですっ」

コロンはすぐに立ち上がると両手を上げて平気だとアピールしてみせる。


「それならいいけど気をつけろよ」

「それより聞いてください、新しい依頼が入ったんですよ!」

「何、本当かっ!」

「はいっ。しかも同時に二件もですよっ」

指でVサインを作るコロン。


「マジかよ、すごいじゃないかコロン」

「えっへん」

誇らしげに胸を張る。


「わたしがいろいろなところに電話したり営業かけたりしたおかげですよ。多分」

「ありがとうコロン。それで依頼はどんなのがあるんだ? 早く見せてくれ」

「まあまあ。スタンスさん。落ち着いてください。時間はたっぷり、ありますから」

コロンは妙に間を取りながら話す。


そしてカウンターの上に置いてあった二枚の紙の内一枚を手に取った。

「ではまず一つ目の依頼です。こほん。えっとゴビ地区のユバール山脈にあるユリジウム鉱石を三キログラムとってきてほしいそうです」

「ユリジウム鉱石? 何に使うんだそんなの」

「錬金術の素材に使うみたいですよ」

「ふーん」


錬金術か……。

そっち方面は疎いからよくわからないな。


「報酬はいくらなんだ?」

ここが一番肝心なところだ。


「えーっとですね、報酬は金貨三枚です。ちなみに依頼のランクはCですね。あっ、でもでもスタンスさんにランクは関係ありませんよね。この前のミノケンタウロス討伐の依頼はランクAでしたけどスタンスさん余裕でしたもんね」

「ん? うん、そうだな」

金貨三枚か……ひと月分の生活費にしかならないな。


「それでもう一つの依頼は?」

「えへへ。こっちはすごいですよ、なんたって王族からの依頼ですからねっ」

コロンがびしっと俺の顔の前に依頼書を見せてよこす。

身長差がかなりあるのでコロンはつま先立ちで限界まで手を伸ばしているが足と手がぷるぷる震えている。


「えっとなになに、ジョパン国の第二王女プルセラの成人の儀の護衛? 成人の儀ってなんだ?」

「……よいしょっと。いいですか? えっとですねジョパン国の第二王女のプルセラ様は今月で十七歳になられるんですけどジョパン国の王族にはしきたりがあって成人されるご本人とその護衛の人間一人とで代々伝わる王家の墓にお参りに行かなくてはいけないんです。それが成人の儀なんです」

コロンは依頼書を自分の胸の前に持つと俺に分かりやすいように説明してくれた。


「十七歳で成人なのか?」

「はい。昔からの慣習で王族は十七歳で成人の儀を執り行うんです」

「ふーん。で、それに護衛が必要なのか?」

「もちろんですよ。王家の墓の周辺にはモンスターがうじゃうじゃいるらしいですから。成人の儀の最中に命を落とした王族の方も過去にはいらしたそうですよ」

「そうなのか」

そんなしきたりがあったなんて知らなかった。

ジョパン城に行ったのは大魔法導士の称号を受け取った時の一回だけだからな。


「それで、報酬は?」

「えへへ、なんとですね……金貨百枚です!」

「おおっ! 百枚っ!? マジかよっ」

「えっへん。大マジです」

金貨百枚あれば当分遊んで暮らせるじゃないか。


「よし決めた、これ受けるぞ」

顔バレする危険はあるが金貨百枚は見過ごせない。


「どこに行けばいいんだ?」

「ジョパン城で面接があるそうです。なので一応正装していった方がいいと思いますよ」

「わかった、そうするよ」


大魔法導士の称号を受け取った時に着ていたスーツ、あれまだ着られるかな?

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