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第21話 十七歳

「すみませんでした、スタンスさんっ。デボラさんお話が上手だからわたしついぽろっと喋っちゃって……」


デボラさんが帰った後に家にやってきたコロンが今にも土下座をしそうな勢いで謝ってくる。

コロンは村でたまたまデボラさんに会って世間話をしていた時に俺が勇者のパーティーにいた魔法使いだということを喋ってしまったらしかった。


「黙っていてほしいって言われていたのに。あぁ~……わたしはバカですぅ」

頭を抱えるコロン。


「まあ、別にいいさ。気にするな」

言ってしまったものは仕方がないし、デボラさんは俺にとてもよくしてくれるから素性を隠しておくのも少し後ろめたかったしな。


「それにしてもゼットってどんな奴なんだ?」

俺はフローラに顔を向けた。


「デボラさんに似て正義感が強く物事をはっきり言うタイプの人ですね。運動神経抜群で小さい頃は神童と呼ばれていましたよ。私とスタンスさんと同い年の十七歳です」

とフローラ。


「あっ。わたしも十七歳なのでみなさんと同い年です~」

コロンは嬉しそうに言う。

さっきまで険しい顔で頭を抱えていたのにころっと表情が変わった。


「えっ、コロンちゃ……さんて十七歳なんですか?」

目を丸くするフローラ。

フローラが驚くのも無理はない。

コロンは見た目はまるっきり子どもにしか見えないのだから。


「そうですけど……もしかして見えませんか?」

うるんだ瞳で上目遣いをする。


「あ、いえ、そんなことは全然ないです」

フローラは素早く首を横に振った。


「正義感が強くて運動神経抜群で神童ね……」

なんかすごそうな奴だなぁ、ゼットって奴は。



俺はゼットの母親であるデボラさんの頼みでカルネ地区にあるゴッサム城で衛兵見習いとして働いている彼を訪ねることになっている。

今日はもう遅いので明日向かうことにした。


「あっ、じゃあわたしはこれで失礼しますね」

「ああ」


コロンを玄関まで見送ってからリビングへと戻りフローラと晩ご飯を食べる。

晩ご飯はフランスパンとさっきデボラさんにもらった豆のシチューで済ませた。


「じゃあ私お風呂先に入らせてもらいますね。いつも長いお風呂ですみません」

「構わないよ」

毎日パン屋で働いて家事もほぼ任せっきりなのだからお風呂くらいはゆっくり入ってもらわないと。


家事をフローラがやる代わりに俺の方が生活費を多めに入れているのだがそれでも割に合わない気がする。

「生活費すべてを俺が払うよ」くらいかっこよく言いたいところだがギルドの依頼も全然ないので懐事情を考慮するとそれも厳しい。


その上お金にならない仕事まで引き受けてしまったしな。


「はぁ~……ゴッサム城か……」


お風呂場から聞こえるカコーンという音を聞きながら俺はため息交じりにそうつぶやくのだった。

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