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問題児の存在意義

作者: HAL

ピピピッ・・・ピピピッ・・・


今日もいつもの音で目を覚ました。

まだ完全に脳が起きてない中、ベッドから地上へと着地する。今日もいつもの一日が始まる。

いや、

今日は違う。今日は俺が心待ちにしていた日だ。


おっと失礼。俺の名前は桜木大輝。24歳。今は高校の教師をしている。

顔を洗って、朝ごはんを食べ、歯磨きをして、ワイシャツを着て、ネクタイを締め、スーツを着て、今日も学校へと向かう。


キーンコーンカーンコーン・・・


朝のホームルームの時間だ。出席簿を持って教室へ行く。そして教室の扉を開け、、、、


バサッ


ん?なんだ?


ワハハハッッッッッッ!!!!!!!


生徒の笑い声が聞こえる。足もとには黒板消しが転がっている。皆さんご存知の「あれ」だ。


(古いわ!! もう令和やぞ!令和!)


まぁそんなしょーもないことはどーでもいい。そうだ、今日はあの日なんだ!


「 w先生マジサイコー!! ww」

おっとこのクラス、いや、この学年一の問題児、酒井君ではありませんか〜今日も元気ですね〜

酒井君といえば、勉強は全く出来ないけど運動はピカイチの絶対に学年に一人はいる子だ。友達多いし女子にちょ〜モテる!!休み時間は酒井君の周りに絶対女子がいる!まあ一部の男子からめっちゃ嫉妬されてるっぽいけど。


そんなことはさておき、今日は・・・・・なんと・・・・


俺の大っ好きな国民的アイドル、「Quintet☆」の握手会なのだーーーーーーーーーー!!!!!!!

いや〜どんなに心待ちにしたことか!俺はこの日の為に今まで頑張って来たようなものだ!!!

さっさとホームルームを終わらせ、授業も終わらせ、

そして俺はー!

会場へと向かう!!



あーーーーヤバイ。緊張してきた。どーしよー。

「ウォォォォォォォ!!!!!!!ハァァァァァァァァァ!!!!!!!フォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」(緊張をほぐしてます)


「よし!行こう!」


ついに、、、、、、着いたァァァァァァ!!(最近発狂してばかりですいません。by作者)

あーヤッベェ俺マジ興奮してきたんだけどヤバイヤバイヤバイヤバイ。

うわぁけっこー人いるな〜〜〜こりゃ帰るの何時間後かなー?とりあえず列に並んでっと。

これも教師あるあるなんかなー?並んでいる人がクラスメートに見えてくるんだよなぁ。お、あれは田中に似てるな〜。お、あれは山口に似てるな〜。お!あれは酒井に似てるな〜いや〜そっくりだな〜〜〜〜







待て。





あれは酒井だ。







は?いやいや。そんなはずはない。ありえないありえない。




(読者のみなさん。こうなったらもうお分かりですね。そうです。あれは酒井です。でもね、ここにお分かりじゃない男が一人いますよ。)



いや待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て。うん。今日は疲れているんだ。は〜大事な日に何疲れてんだ俺。

ハッ!

目があった!こっちめっちゃ見てる!どどどどどーすればいいの!?

ん?おい。あいつ目をそらしたぞ!?これは宣戦布告だろう。ここは男として行くしかないな。この頃の俺はもうあの男は酒井と確信していた。


「ちょっと、君、俺のこと分かるよね?」

「!!!!」

お〜っと〜スッゲー動揺してんじゃん。さすがに向こうも来るとは思ってなかったんだろう。


「ど、どちら様でしょうか?」

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?なんだその反応は!?


しばらくの沈黙。


俺が酒井を真顔で見つめていたから、向こうも観念したんだろう。そして、その表情は動揺から笑顔に変わり、


「あれ〜先生何やってんの〜?ww明日みんなに広めよ〜〜 ww先生ドン引きだね〜 ww」


なんだお前。人格変わりすぎだろ。

「おい酒井。お前、自分の立場を考えろ。もしお前がみんなに言ったら、お前もこの場にいたことになる。

その事をいつも周りにいる女子がどんな反応をするかー?」

こっちも本っ当に言われたくないので、ちょっと怖めに言ってみた。

「・・・・・・・・やめます。」

よーし!よしよしよしよーし!!あっぶね〜〜〜

「で、こんなところで何やってんだ?」

「うっ・・・」

言えよ。もう分かってるから言えよ。

「く・・・・・くいん・・てっとのあくし%¥○×%¥・・・・・。」

「ん?ん?聞こえんなー?」

「く・・・Quintet☆の握手会に来ました。」

「よし!えらい。明日みんなに広める。」

「やめてくださいお願いします」

「嘘嘘。言わないよ。正直、誰推し?」

「!!・・・・・まーりんです。」

「いいよね〜〜俺も俺も俺も!!!!!!!」

そう。俺はまーりんこと斎藤真莉が推しである。

まぁそんなこんなでQuintet☆のことについてめっちゃ話したけど興味ないと思うので飛ばします。


その日から、教師と問題児の謎の関係が生まれた。



次の日、朝のホームルーム。一応仕事中なので昨日のことは一旦心の隅に置いておくことにした。今日は金曜日。週の終わりだ。よし、気合い入れて行くぞー!そしていつも通り教室に入ると、酒井の席だけ空いていた。

「あれ、酒井は休みか〜?」

「知りませーん」

「え?何も聞いてないよな?」

生徒も本当に心配している顔をしてるので、別に隠しているわけじゃなさそうだ。

(まさか昨日のことで学校来ないんじゃないよな。)

と、その時、

ガラガラガラガラ・・・・

教室の扉が開き、酒井が入ってきた。

「おー!酒井!!」

「待ってたぞ!」

(良かった〜。俺のせいで休んでたら教師として危ないところだった〜。)

「酒井。理由はともかく、遅刻したんだから後で先生のところへ来なさい。」

「・・・・。」

「んどうした?酒井?」

見てみると、顔がひどく赤くなっている。こんな酒井は今まで見たことがない。その姿に、彼の友達もさすがに困惑している。

「おい酒井?大丈夫か?熱でもあるのか?」

「先生、一応保健室に連れて行った方がいいんじゃないですか?」

「うん。そうだな。酒井、保健室に行ってみなさい。」

「ハッ!!え、あ、いや、、大丈夫です。」

「本当に大丈夫なのか?」

「・・・・・はい。」

今日の酒井はなんかおかしい。ホームルームを終わらせ、酒井を呼び出した。

「今日はなんで遅刻したんだ?」

「え〜と・・・・その・・・昨日の・・・。」

まさか。

「酒井。まさかとは思うが、昨日のことも気にしてたのか?」

酒井はそのままゆっくりと頷いた。

その時、俺の中で緊急脳内番組が始まった。

(金曜日のDOWN DOWN!!!!

プレゼンターは桜木大輝さんでーす!!

「はい。え〜今回持ってきた説はこちらで〜す。」

ジャン!!

酒井、本当は心可愛い説〜〜〜〜)

はい。立証。

「お前そんなことで遅刻したんかよ〜」

「すいませんでした。」

「いや〜もういいよ。理由のとこには少し体調を崩したって書くから、今はもう気にすんな。」

桜木大輝、文書隠蔽事件発生。

「ありがとー!まーりん好きな先生w!!」

お前もだろ!てかあいつマジで人格変わりすぎだろ。


そして、授業を終え、今週の学校は終わった。

「は〜なんか生徒の驚愕の事実を知っちゃったな〜ま、いっか。」

そんなことを思っていると、

「まーりん先生〜LINE交換しよ〜」

なんでだよ!?てかまーりん先生っていうのいうのやめろ!!

「え〜いいじゃ〜ん」

おおっと〜!?心の声が聞こえてらっしゃる!?

「ま、いいよ。」

「本当!?ありがと!」

そんなことを言ってなぜか俺たちはLINEを交換した。


その夜、

ピコーン♪

お、さっそく酒井からLINEきたな。

「先生ってどのくらいまーりん好きなの?」

う〜ん。どうやって返そう。ま、会話だと思ってやればいいよね〜

「ライブとかは毎回抽選に応募してる。今までに7回くらい当たった。」

「え〜先生すご〜いまだ2回しか当たってない」

へ〜2回か、まーまーかな。

「先生ってどの曲が一番好き?」

ん〜好きな曲か〜よし。

「俺のお気に入りは、、、、

ピコーン♪

「先生〜勉強分かんない」

え?そんなこと今言われても困るって。

え〜っと

「明日学校で先生に聞い

ピコーン♪

「先生明日学校休んでいい?」

ダメだろ!!え〜っと

「だめ。明日は遅刻しないで来

ピコーン♪

「じゃあ休むね」

だからダメだって!てか打つの早すぎるでしょ!!

ピコーン♪

「おやすみ〜」

あー待て待て!

「明日学校休むなよ!」

だめだ。既読にならない。



終わった。



次の日、酒井は来なかった。

「は〜しょうがないか。」

出席簿の酒井の欄には体調不良と書いた。

桜木大輝、連続文書隠蔽事件。




そんな日々が続き、数ヶ月後の朝、いつもより早く起きた。何か嫌な予感がする。操られたようにリモコンに手を伸ばし、ニュースをつける。するとー











「今朝入ったニュースです。人気アイドルグループ、Quintet☆のまーりんこと斎藤真莉さんが、グループ卒業を発表しました。」




さあ、この後どうなるんでしょう?


後編へ続く




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