表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

第7話 最終回

イノリは普段通り、仕事をサボっていると、

騎士がイノリのもとへ駆け寄ってくる。


「イノリさん、オークジェネラルが森に出現しました。

 討伐をお願いできますか?」


「う~ん、仕事だしちゃんとやるよ」


騎士は、イノリのやる気のない態度に不安になる。

彼はここに配属されてから間もないのだ。

だから女性であるイノリが凶悪な魔物と戦うことが想像できないのだ。


この世界では女性は魔物と戦わない、

しかしイノリはこの10年でメイド兼女性騎士としての地位を築いてきたのだ。


だから、今回も大丈夫。

そんな怠慢がこの後の悲劇を起こすのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

イノリはレミラとともにオークジェネラルを探すが見つからない。

いくら探しても見つからないのだ。


「イノリ姉さん、気を付けて」


「大丈夫、大丈夫。

 私がいれば問題ないよ」


イノリは問題ないと笑い飛ばす。


しかし現実は、その予想を裏切り、

茂みからオークが放った矢がレミラの頭を直撃する。


即死である。

レミアの目には生気がない。


イノリは怒りに任せて、矢を放ったオークに槍を投げて殺す。


「レミラ、ねぇ起きてよ。ねぇ、てば」


イノリは何度も何度も回復魔法をレミアにかける。

しかし、傷は癒えてもレミアの身体に魂が戻ってくることはない。


レミラは死んでしまって動かない。


なぜだろう。

なにがいけなかったのか。

最近、私は強いからと図に乗っていた。

それが、悪かったのだ。

私はバカだ。

命の価値は等しく貴重なことを忘れていた。

それに、この世界に来るきっかけになった飛び降りもそうだ、

私は思いこむとダメになるタイプなのだ。

今回も最強だから万事大丈夫と思い込んでしまった。

あぁ、やり直せるならば、

今度は全てを大切にしたい。


そう思った瞬間、イノリの意識は消えた。


――――――――――――――――――――――――――――――

ここは神様のいた空間だ。

なぜ、ここにいるのだろう。


「気が付きましたか」


「神様、レミラはどうなったのですか!」


イノリは慌てて、神様にレミラはどうなったかを問いただす。

彼女となら地獄に行っていい、

イノリはそう思っていたのだ。


「大丈夫です。あれは全て夢です。

 それに実はあなたは死んでいません」


それは……どういうことだろう。

私は死んでいない……


「それに私は神ではなく死神です。

 あなたは命の重みを、生きるという意味を理解していなかった。

 だから、このようなことをして生きる楽しさと、

 命の尊さを教えようとおもったのです」


レミラはいなかった。

それだけで、私の心は救われた気がした。

なぜなら、彼女は苦しむことがなかったからだ。

なのに、なぜか涙が止まらない。

心が裂かれたような、半身を奪われたような、

底のない苦しみに内側から焼かれるようだ。

苦しい、涙が止まらない。


「イノリさん、それが大切なものを失う苦しさです。 

 それをあなたは、あなたを大切にしている両親を始めとした人々に味合わせようとしたのですよ」


あぁ、私はバカだ。

大切な人を苦しめるとは知らずに死を選んだのだ。

戻ったらお母さんに謝りたい、お父さんに謝りたい、大切な人たちに命を無駄にしてごめんなさいと謝りたい。


そして仲良しな家族に戻りたい。


「そうです。それではもう二度と命を無駄にしないでください。」


――――――――――――――――――――――――――――――――――

目が覚めるとそこは病室だった。

近くにはお父さんとお母さんがいた。

私と同じように涙を流している。


「お父さん、お母さんごめんなさい」


ただ、それだけの言葉なのに言葉にしたら、

さらに涙が溢れてくる。


父と母の手が私の頭を撫でる。

心が温かい。

生きていてよかったと思える。


「イノリを一人にしてすまなかったな。

 これからは大切にするから生きてくれ」


お父さんは苦しそうに涙を流しながら、

イノリに生きてくれと願う。


「イノリ、苦しかったら甘えていいのよ」


お母さんは涙を流しながら抱きしめてくれる。



こうして、私たち家族の止まった時間は動き出すのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ