表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/239

剣魔祭前哨戦1

「……起きて、ルーナ。」

「分かった……。」

珍しくエラよりも遅く起きた俺は制服に着替える。

あの後、アルンやアネモとの戦いで得た体の疲労がどっと出てすぐにベッドに潜り込み眠りについたのだ。

「今日は部屋で食事を済ませた方がいいと思う。」

「……うん。」

眠そうに目を擦るエラに俺は話しかける。

食堂は教室共同スペースだから確実に『サラマンダー』の奴らに会うことになるだろう。そうなれば更に面倒な事になるだろう。

となれば食べる物は……。

「これしかないよな……。」

「……うん……。」

俺は『アビス』から何時もの干し肉を二つ取り出し、一つをエラに投げてもう一つを食べる。

まさか、学園生活でこれを食べる事となるとは……。ほんと、この学園はよく分からないな。


=========

……面倒だ。

俺ら何時通り教室に向かう……のではなく、講堂に集められた。

まぁ、昨日の件もあるし仕方ないか……。

「うむ、全員そろたかのう。まず、一言……。お主ら、馬鹿じゃろ?」

『ふざけるなああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

壇上に上がったドリスの第一声で辺りがざわめく。特に『サラマンダー』の奴らからは非難の声が多い。

いや、君たちが喧嘩を吹っ掛けてきたんだよ?なのに何故非難できるんだ?貴族っていうのは本当に面倒な奴らだな。

てか、普通に声が大きいな。おおよそ、マイクのような機能がある魔道具でも使っているんだろうな。

「じゃが、それもよい。馬鹿をし、勢いのまま突き進むのもまた若人のみ許される特権じゃ、故に、今回の件は無罪放免とする。」

『いよっしゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

ドリスの鶴の一声で非難は一転、大きな歓声があがる。

ま、そうだろうな。話していて分かったが、ドリスは案外面白いことが好きなところがあるからな。

「そして、その若い力を最大限に生かすため、一つ、面白い物を用意した。」

あれ……?ドリスが俺を見たよな……?何か、嫌な予感がする……。少し窓側の方に移動しておこう。

「(あ、ルーナ。)」

「(ルーナさん?)」

「(リーダーもか?)」

「(……みんな、感じたの?)」

俺と同じように嫌な感覚を感じたエリカやジャスミン、アルン、エラたちも窓の方に気配を隠しながら移動していた。

俺ら五人……。一応剣魔祭に出るメンバーだよな?……あ、なんか悪寒が……。

「今年の魔剣祭は二つのチームが出ることになっておるのじゃが、そのチームのメンバーチェンジを行う。」

ドリスは子供っぽい笑みを浮かべウキウキしながら話し始める。

やっぱり、嫌な予感が当たった……!逃げる準備逃げる準備っと。

「チームメンバーの一人を倒せば、倒した人がチームに入れると言う寸法じゃ。じゃから、今からメンバーを発表するのじゃ。」

「「「「「(あばよ!!)」」」」」

俺らはドリスの話が終わる前に窓から外に出て校舎内に逃げこむ。

校舎内はかなり複雑な作りになっていて色んなところに隠し部屋や隠し通路などがあるのだ。それに、防衛機能を使えば時間稼ぎくらいは使えるだろう。

「場所はどうする、リーダー!?俺っちは何処でもいいけど!」

「ルーナさん、私は研究棟が良いかと。秘密の研究施設などが多いですし、隠れるのならそこが一番良いかと!!」

「ボクは屋根の上がいいかな。そこなら、出入りできる場所が限られているからいいかな。」

「……私は見晴らしの良い場所ならどこでもいい。」

四人がそれぞれ意見を言うため、俺は頭の中で整理する。

エラを除く全員が校舎内での闘いを望んでいる。多数決をとるのなら確実に校舎内が良いだろう。だが、防衛戦ならあまり見つからないような場所が良いだろう。

「研究棟に向かうぞ!!無論、国立の研究施設には入らないように!」

俺の声に従い、俺たちは研究棟の中に入っていき、ジャスミンを前にして研究棟内にある使われていない研究室の一つに入る。

研究室自体はそこまで大きくない。中学の時の理科室位の大きさだ。ここに何かあるのか。

「待ってて。ここをこうしてっと……。」

埃の被ったイスを倒したり持ち上げて机に置いたり、研究用の器具を様々な場所にしまうとボードが動き、奥に部屋が現れる。

何も無いところに重要な物を隠す、良くある手段だ。けど、どうやって作ってるんだ?

「ここに入って!」

俺らはジャスミンに促され、部屋の中に入っていく。

部屋の中は古い書物がぎっしりと詰め込まれており、日が当たらないように窓は鉄板を打ち付けられ、中を魔道具が照らしている。

確かに、ここならあまり人も来ていなさそうだし、隠れる場所としてはいい方か。

「ここ、去年たまたま先生の後を着いていって知ったの。だから、私は以外はあまり知られていないはずよ。」

「そうか……念には念を入れてっと、[黄昏の精霊よ、我が力に呼応するもの、我が響きに共鳴するもの、我が脳裏にその道を記せ。『トワイライト・ミックスボイス』]」

俺は黄昏魔法を使い、この中の構造を確認し、驚愕する。

(……なんだこりゃ!?)

まず、この部屋に行けるルートは一つだけではない。他の教室や通路からもこの部屋に行くこと可能なのだ。

そして、この部屋にはもう一つ隠し部屋(・・・・)がある。

「どうかしたの、ルーナ。」

「いや、ちょっとな。」

俺は一つの本棚の本を抜き取り、別の本と場所を移動させたりする。

すると、本棚が動き、鍵のかかった扉が現れた。

古典的な隠し扉だな。ま、それもいいか。

「……ちょっと待ってて。」

俺らを静止させたエラは扉の前で座り込み、ピッキングを始める。

ピッキングってどんなに簡単でも一分ほどはかか

「……開いた。」

エラは数秒で扉の鍵を開けた。

え、早っ!?どうしてそんな事出来るの!?

「……なに、これ?」

扉の奥には下に続く階段があり、その奥を俺らは除きこむ。

中は真っ暗だ……。取りあえず降りてみよう。

「……行くぞ。」

「分かった。」

「うん。」

「……うん、行こう。」

「ええ……。」

そして、俺たちは明かりの魔道具を持ち、扉を閉めて階段を下っていった。

何が出るのか、少しワクワクしてきたな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ