転生、そして発覚
仙は暗く、狭い空間の中にいた。
(あれ?俺は確か男に押されてトラックに轢かれて……あぁ、ここは死後の世界か。)
俺は何とか立とうとするが、立つことができない。それどころか体の周りは水で満たされていて、体を自由に動かすことも出来ない。
(くそっ、なんなんだここは?)
落ち着け……落ち着けよ……、この状況は一体なんなんだ……?全く理解でき
(うわっ!?何処かに……引っ張り出される!?)
俺の頭の上の方から抗うことも出来ない程の力で引っ張り出されようとしていた。
そして引っ張り出された先にあったもの、それは
(うわっ、まぶしっ!?)
とても明るく、それどころかまぶしい世界だった。そして、出されてすぐに桶のようなものの中に入れられ体を洗われた。
「ーーーー、ーーー!!」
俺の体を洗った人はそのまま俺を持ち上げ、誰かにわたした。
(おい、これはなんなんだ!?)
どういうことか説明しろ!
「あぶぅ~~!」
え……?この声は俺の口から出て来た声か……?まるで赤ちゃんが泣くような声じゃないか!
(な、なんで声がでない!?)
今まで普通に出してきた声が全くでない!
「ーーー。ーーーー!!」
笑い声……、なのか?
それを見た俺を抱えて持っている人はとても嬉しそうに、仙を見て喜んでいた。
(ん……?目が慣れてきたのか?)
今までぼんやりと輪郭しか見えていなかった明るい世界がだんだんと見えるようになってきたな……。
(なん……、だと……!?)
俺は自分を抱き抱えている女性の顔を見て絶句していた。
俺を抱き抱えていた女性はとても美しく整った顔立ちをしていて、その顔に満面の笑みをうかべ、優しそうな目でこっちをみていた。
けれど、そんなことで驚いている分けではなかった。
(何で耳が尖っているんだ!?)
女性の耳はまるで、伝説上にのみ存在するエルフとよばれる人種のような特徴をしていたのだ。それは本当に伝説上にしかいない空想上の生物、現実には存在しない。
(まさか、俺は……転生したのか!?しかも、異世界に!?)
だが、前提条件が異世界なら話は別だ。異世界なら地球での常識なんて通用しないからだ。
(ははっ、まじかよ……!!)
この日、地球で殺された青年は地球とは全く違う異世界に転生した。