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手がかりを探しに

僕は、自分の部屋の掃除を始めた。

母が綺麗好きだったせいか、片付いてはいる。

掃除機をかけるくらいだった。


喪中届を出さなかった、行きつけの美容室やショップからの年賀状を捨てた。

あれ??

親父は、引っ越しの度に青島さんに住所を伝えていたと言っていたな。

それなら、青島さんの住所や今までの経緯など何か書き残しているのではないのか?

母に、父の書斎に入る許可をもらえるだろうか。

今日の様子を見ると、母に許可をもらうのは後ろめたい。


高田家は、短命な一族なまま次の300年も過ごすのか。


そういえば、親父の母、つまりおばあちゃんは、どうなるんだろう。

女性の平均寿命が80歳と言われる時代、おばあちゃんは75歳。平均寿命まで生きるのかは分からないが、祖父、親父と比べたら、十分長生きだ。


おばあちゃんに会いたいな・・・・

この半年、この家で張り詰めた思いがおばあちゃんの事を思い出しているうちに、そんな気持ちにさせたのだろう。

和歌山の海沿いに立つ、おばあちゃんの家。小さな漁村だ。

祖父は、若いころからずっと漁師だったと聞いている。

夕日が綺麗に見えて、おばあちゃんの家に行くと砂浜で夕日が沈むまで浜辺で遊んだ。


転勤族だった父について、北は東北から南は九州まで引っ越しをした。

父の根幹にあったのは、やはりあの和歌山の家だったんだろう。

和歌山に帰った時の父は、今にして思えば祖母に甘えるように食べたい料理を作ってもらっていた。

獲れたての魚を、刺身にしてもらい美味しそうに食べていたな。

魚の煮つけも、肉じゃがも、あの景色があったから美味しく感じたんだろうな。


祖父は、親父に青島さんのことを伝えているんだろう。

それなら、祖父の家に行けば手がかりがみつかるかもしれない。


残り3週間。

悩んでいる余裕なんてなかった。母を残していくのは気が引けたが、行動を起こすのみだ。


母に、「おばあちゃんに、会いに行きたいんだけど」と告げてみた。

「やっぱり、翔も辛いのよね。おばあちゃんの家に行って、ゆっくりしてきなさい。お母さんのこんな姿見せてごめんなさいね。明日病院の通院日だから、カウンセリングの先生に相談してくるわ。」


お母さん、ごめんなさい。

辛い気持ちを支えられるほど、僕はまだ大人になりきれていないんだ。

自分のことでいっぱい、いっぱいなんだ。

親父、ごめんなさい。

きっと、お母さんの事が一番心配なんだろう。それなのに僕が頼りないから、お母さんを支えてあげられないんだ。


何か手がかりを探してくるから。


「おばあちゃん?翔だけど。明日遊びに行ってもいいかな?」

僕はおばあちゃんに電話をした。

手がかりさえ見つかれば、すぐに帰ってくる。

おばあちゃんは、「あら、嬉しいわ。気を付けて来るのよ。」

全てを包み込むようなおばあちゃんの家から見える夕日のように、おばあちゃんは訳も聞かず僕の訪問を喜んでくれた。

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