荒唐無稽
朝起きると、長文のメールが届いていた。
「おはようございます。青島です。
高田様は、何も聞かされないままということで、私が伝聞したことをあなたにもそのままお伝えしたいと思います。荒唐無稽な話でございます。私も、手紙が来るまでお伽話だとずっと思っておりました。
まず、600年前の出来事からお伝え致します。
600年前、高田家、青島家は私が今でも住む岡山に暮らしておりました。
その時代、今ほど医療が進んでおらず、疫病が度々出て多くの方々が苦しんでおりました。
高田家、青島家は、田畑を耕し、時に海に魚を捕りに行くという、ごく普通の今でいう農家の家系でした。
しかし、人の欲というものは当時も現在も変わらず、特に疫病で死にたくないという欲が特に強かったといいます。そんなある日、当時の高田家、青島家は偶然近くの神社で同じ祈りをしていたそうです。
疫病から我が家を守って欲しいとのことです。
その祈りが通じたのか、境内の奥から声がしたそうです。
『裏の森に狐が住んで居る。その狐に嫁を差し出せ。嫁を差し出した家からは疫病は出なくなる。嫁が出せるのはどちらか一方だ。差し出さない家は、嫁に十分な嫁入り支度をすること。
嫁入りは3月3日とする。そして、この嫁入りは300年ごとに行われ、300年後も同じように取図られる。
300年という約束を破るでないぞ』
申合せの施行とは、狐に嫁を差し出すということであります。
最初の嫁入りは、高田家から年頃の娘が嫁ぎ、次の申合せの時には我が青島家から娘が嫁いでおります。
今回は、どちらが狐に嫁を差し出しましょうか。
荒唐無稽と、文頭にも書きましたが、私もよもや私の代で申合せの施行人になると思ってもみませんでした。
先の大戦も経験し、現在85歳となり、息子の代に引き継ぐつもりでおりましたが、まだ生かされている身でありますので、私が施行人となりました。
今後も青島家の繁栄を祈らずにはおりません。しかし、高田様のお父上が若くして亡くなったことを思えば、今回はそちらから、嫁入りを行っていただくのが筋なのかもしれないという思いもございます。
熟考されたし。よくお考えの上、お返事をください。」
ん?????
頭の中が整理出来ない。誠に荒唐無稽な話である。
狐に嫁を差し出したら、長生きできるとか??
300年ごとに嫁を差し出す?
狐って、そんなに長生きするのか?いや、嫁に行った娘の方が先に死んでしまうのではないのか?
嫁入りしたら、そんなに長生きできるのか?
何のネタだよ。。。
そもそも、青島栄治さんって、本人なのか?
ツイッターで見かけて俺を騙そうとしているのか?しかも85歳とか。
年長者なら、考えてくれよ。こんな若造に出来る事なんてないよ。
高田家から喜んで狐に嫁入りする女なんか、いるのか?
親戚だってほとんど一人っ子。せいぜい二人。まさに少子化だ。
そんな中で、狐に嫁入りさせる?
無理!!
僕の中で答えが出てしまった。




