最初の呟き
見ず知らずの人を探すのってどうしたらいいのだろうか。
探偵事務所に頼むのか?
名前しかわかっていない。お金もかかるな。
4月から就職。
あと2か月しかない。
手紙が届いて、3時間仏壇の前に座って、答えない親父に問い続けた。
母が仕事から帰ってきたところで
「なあ、家には何か秘密でもあるの?誰かと約束を果たさないといけないらしんだけど」
母は、真顔になって
「何言ってるの?お父さんが亡くなってショックよね。お母さんも、あんたには言ってなかったけれど眠れない毎日が続いていて、心療内科に通っているのよ。まだ1年だものね。翔も病院に行く?」
「いや、妄想とかじゃないから」
「でも、そんな事言われたらお母さんも心配よ。病院に行くのも一つの提案だと思って心にとめておいて。
翔は、頭のいい子だから、自分で判断できる子だと思っているわ」
「分かったよ。」
それだけ返して、僕は母との会話を終えて自分の部屋に篭った。
悩んでいる時間がないという、現実を突きつけられた。
とりあえず、新しいアカウントを作って、ツイッターで呟いてみた。
母の反応を見たら、友人たちだって、同じような心配をするんだろう。
それに、あの手紙については、「知られてはいけない」ような雰囲気があった。
━ 申合せ施行人 連絡ください ━
これで、何か連絡が来るだろうか。
まず、最初の呟きは、これだけだった。
また、連絡が来なければ、考えよう。




