騙されている?
次の日、僕は京都に帰った。
おばあちゃんからのお土産を沢山持ち帰った。
仕事から帰ってきた母に、渡すと嬉しそうに「美味しそうね」と繰り返していた。
そして、スマホに何か打ち込んでいる。きっとおばあちゃんに何かLINEで送っているんだろうな。
「翔、おばあちゃんが来てくれて喜んでいたわよ。
お母さんも、久しぶりにおばあちゃんの手料理嬉しいわ。今日はこれを温めて頂きましょうね」
おばあちゃん、ありがとう。
久しぶりに、お母さんの笑顔が見えた気がしたよ。
おばあちゃんの手料理を囲みながら
「翔、おばあちゃんの家はどうだったの?」
「おばあちゃんの料理を食べて、夕日を見ていつもの帰省と同じ感じだったよ」
僕と青島さんの決意なんて、今話すことでもない。
おばあちゃんの言う通り、一緒に食べられるこんな時間を大切にしよう。
4月からは、何時に帰ってくるのかも分からないのだから。
青島さんに決意のメールをしてからは、返事は来ない。
青島さんも不安なのかもしれない。僕だって荒唐無稽な話だけど、実際に日時指定されたときから、全て騙されているというわけではないという事を、感じていた。
600年前の高田家の人たちはどんな気持ちで、狐に嫁入りをさせたのだろうか。
家系を守るために、当主が長生きさえすれば娘の一人くらい狐に嫁入りさせても何とも思わなかったのかな。
そうしたら、300年前の高田家は?
どんな気持ちで青島家の嫁入り道具を用意したんだろう。
当主が、短命に終わるかもしれないということを思いつつ、用意していたのか。
それは、それで切なくなる。
長生きしたいという欲望は、古来から変わらないだろう。
不老不死という言葉が無くならないのは、やはり誰でも望んでいるからなのではないのだろうか。
あと3週間で全て決着する。
僕が短命だったら・・・・
全て運命だ。そう思わないと僕が壊れてしまう。
それと同時に騙されているほうが、ずっと楽だなと思ったりしてみた。




