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僕と君だけを取り残した、とてつもなく残酷な世界

作者: 海南 あらた
掲載日:2013/11/13

「おはよう」


「やはり生きているのね」


「今日は、どうするの?」


「何も、考えてない」


「それじゃあ、花を見に行かない?」


「何故あなたなんかと行かなきゃいけない?」


「だって、ここには僕と君以外誰もいないじゃないか」


「私はあなたが嫌い」


「僕は……もうわからない」


「わからないなら、何故私に付きまとうの?」


「だって、君しかいないから」


「迷惑」


「ごめんね。でも、君だって1人は嫌でしょ?」


「あなたといるよりはマシ」


「あはは、ひどいなー」




「ついてこないで」


「嫌なら抵抗すればいいのに」


「体力を無駄に消費したくない」


「じゃあついて行ってもいいよね?」


「だめ」


「でも、そしたらどこに行ったらいいのかわからないよ」


「なんで私がそこまで面倒を見なくてはいけない?」


「だってもう僕と君しかいないじゃないか」


「不愉快」


「僕はだいぶ慣れてきたよ」




「ここから見える景色は綺麗だね」


「あなたがいなければもっと綺麗」


「なかなか酷いことを言うね」


「あなたが壊したこの風景が、ここまで戻るのにどれほどかかったと思うの?」


「それもそうだね」


「謝罪の言葉はないの?」


「謝ったところで過去は変わらないし、もう元に戻ってるじゃん」


「あなたは反省をしていないのね」


「この長い時間のどこかに置いてきたのかもしれない」


「戯言を」


「あはは、ごめんね」




「雨が、ふりそうだよ」


「それがなんだというの?」


「ただ、言ってみただけ」


「話しかけないで、不愉快」


「でもそうでもしないと、おかしくなりそうなんだ」


「私はあなたがおかしくなって自滅してくれたらとてもら嬉しい」


「うーん、それだと君1人になるよ?」


「あなたといるよりかは何倍もマシ」


「あはは。やっぱり変わらないね」


「あなたは随分変わった」


「うん。もうとっくにおかしくなったんだね」


「早く自滅すればいいのに」


「あはは」




「ほら、日が暮れる」


「今日もとても不愉快な1日だった」


「釣れないことを言わないでよ」


「本心」


「僕はとても楽しかったけどね」


「不愉快」


「君は、僕が息をするだけで本当に嫌そうな顔をするよね」


「嫌そうなんじゃない、嫌なの」


「もうそろそろ、僕のこと好きになってくるんじゃない?」


「殺す」


「あはは」




「あはは」







「ねえ、本当に殺してみせてよ」


「殺す。次こそは、絶対に」


「何度も何度も、もう疲れたんだよ」


「生まれたことを後悔させてあげる」


「何もかもがわからなくなって」


「何度命乞いをしても、許しをこいても」





「君が、見えなくなりそうで」


「あなたを終わらせてあげる」







「でも、終わらないんだよね」


「あなたは、しぶとい。本当に、腹が立つほど」


「でもね、ちゃんと痛みとかはあるんだよ?」


「それがなんだというの?」


「もうちょっと優しくして欲しいなって」


「初めの頃よりは随分優しくなった」


「そうだね」


「それ以上何を望むの?」


「僕は、何もないのが1番なんだけどね」


「何もないことが1番恐ろしいのではなくて?」


「うん。このまま全部壊れたら、もっとずっと楽なのに」


「あなたは楽になってはいけない」


「君もね」







「もし僕が君を殺したらどうなんだろう」


「私があなたなんかに殺されるとでも?」


「もしもの話だよ」


「不愉快」


「例えってことで話をしてもらっていいかな?」


「知らない。私は死んだことがない」


「世界はちゃんと終わるのかな?」


「もうこの世界は終わったもの」


「うん」


「あなたが、終わらせた」








「あなたが、壊した」









「終わった世界は、思ったよりも退屈で、綺麗で、残酷だね」


「これはあなたと私の背負う罪、そして与えられた罰」


「君が僕をちゃんと殺せれば良かったのに」


「ほとんどの罪はあなたのもの。私になすりつけないで」


「君は僕を止められるはずだったのに、止めなかった」


「あなたは、とても強かった」


「そうだけど」


「不愉快」


「自分で言っておいて」


「今更になって、弱くなって」


「罪の意識で云々」


「言い訳は聞きたくない」


「言い訳のつもりじゃないんだけどな」








「僕を、どうして殺せなかったの?」







「なんて言わせたいの?」


「愛とか、そういう言葉を聞きたいな。なんて」


「不愉快極まりない」


「でも、僕だって君を殺さなかった」


「まさか愛だなんて言うつもりなの?」


「愛だったのかなあ。どうなんだろう」


「不愉快極まりない」


「あはは。でも、そうだね。もしかしたら」







「僕は誰よりも愛が欲しかったのかも」








「その口で、愛だなんて、言わないで」



「あなたは、違う」



「あなたは愛されてはいけない」



「とても、不愉快……」





「生まれ変われるのかな、僕たちは」


「生まれ変わったとして、あなたはまた世界を壊したいの?」


「いや、今度は世界をもっとよく見てみたいな」


「何故、そんなことを言うの?」


「なんでだろう。なんとなく」


「なんとなくで、全て許されるとあなたは思っているの?」


「もうそろそろ許してもらいたいなー。って思ってるんだよね」


「私はあなたを一生許さない」


「その一生は、もう終わっているわけで」


「永遠に許さない。たとえ世界が終わっても」


「世界ももう終わってるわけで」


「どんなことがあろうとも、決して」


「あはは。手強いな」





「もし生まれ変わったら」


「あなたに次の人生なんて与えられない」


「とても優しくて、強くて、でも少し可愛いところのある青年になりたい」


「そんな人物に、あなたの業を背負わせるなんてかわいそう」


「うーんじゃあ全部なかったことにして生き返る」


「そんなことは私が許さない」


「それじゃあ記憶を持って生き返る」


「それではあなたが生き返るようなものではないの?」


「ほら、優しさがある」


「あなたの言う優しさは信用ならない」


「一般的な優しさだよ。女の子に優しいとか」


「それは下心?」


「ちょっと違うかなー?」




「もうそろそろ、次の人生歩んでもいい頃がなって思うんだけど」


「それは私が許さない」


「神様が許してくれないかな」


「あなたは大罪人。許されるはずがない」


「じゃあせめて、終わらせてくれないかな」


「終わらない。これはあなたと私の罰」


「あはは。そうだよね。終わることなんて、絶対にないよ、ね」




「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」

「あははは」



「ほら、僕はちゃんと壊れたよ。これが狙いなんでしょ?」











「今日もまたやってきた」


「景色はとても綺麗だった」


「雨は今日は降らなかった」


「あなたの声だけ聞こえない」


「私だけ1人残して」


「いかないで」














「ごめんねって言葉なんかに、気持ちなんで込められないよ」

「ありがとうなんて文字の羅列に、想いなんで乗せられないよ」

「嫌いなんて叫んだ音に、真実なんで隠せないよ」

「好きだなんて、こんな壊れた心じゃ、届かないよ」

「僕を見ないで」












「平凡で、退屈で、なんともない世界に生まれました」

おめでとうございます

「僕の、存在価値は?」

おめでとうございます

「僕の、罪の行方は?」

おめでとうございます

「全部あの子が背負うの?」

おめでとうございます

「……嗚呼、不愉快だね」









おめでとうございます。あなたは生まれ変わりました。

罪と罰と業に縛られながら、楽しく過ごしてください。



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