↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

一線を越えた僕

「ごめん、もう我慢できへん。」


カイはそっと柔らかい唇に触れる。


「一線越えたらアカンて思てたけど……」


カイは顔を近づけると、優しく口づけを……


「あーーッッ!

とうとうやってもうた!!」


カイはタレ耳うさぎのぬいぐるみ『リディ』を抱えて、

ベッドの上をゴロゴロ転がった。


「ぬいぐるみにチューなんて……

絶対アカンて……ほんま……」


カイの目に、宿屋の親父姿のアストリッドの姿が浮かぶ。


(かわいい……もう、ひげつけててもかわいい……

あんなんウサギさんやん。かわいさ漏れてるやん。)


「うぅ~」


気付けばカイは唇を突きだして、またぬいぐるみにキスをする。


「あかん!またやってるやん!!……いや、もう一回も十回もおんなじや……」


カイはぬいぐるみに何度もキスを浴びせる。


「だって、アスティにはできへんもん……ただの町医者やし……あれ!?」


カイは急に起き上がった。


(僕、今、何考えた?アスティに……アストリッド様に……キス?)


目の前にその映像が浮かびそうになったカイは、

慌てて頭を振り、丸くなってベッドに横たわった。


(なんでこんなにアスティのことばっか考えてるんやろ……

病気やわ……医者に行かなあかんやん……)


***


「おーい、アスティ、倒れてへん?」


お茶の時間になり、カイがひょっこりと宿屋に顔を出す。

パッと顔を上げたアスティと視線がまともにぶつかる。

思わずカイは視線を逸らし、


「お……お茶……もらうわ……」


と口の中で呟きながら宿屋の中に入る。


と、カイの目に、自分が作ってあげた黒いたれ耳ウサギのぬいぐるみが目に入った。


「あ、飾ってくれてるん?

戸棚に……え?作ったん?アスティが自分で戸棚作ったん?

え?これ、ウサギの……お部屋ァァ?」


カイがよく見ると、ウサギは壁に取り付けられた棚の中で、

椅子に座っている。


「ええ……そんなに大事にしてくれてるんや。作って良かったわ。」


アスティはウンウン頷き、ウサギを指差してフンスと胸を張る。

カイは、照れ臭い気持ちをすっかり忘れて笑い出す。


「ええやん、宿屋のマスコットみたいやん。

あ、お茶もらうな。

え?このお菓子?新作?ええの?

もらうけど、アスティ働き過ぎちゃうの。

前も一度倒れてるんやし、休みはとらなあかんで。

まずは、しっかり睡眠とらんと。

あと、食べてる?新作のお菓子の味見して満足しとったらあかんで。

あ、でもこれ、めっちゃうまい!」


アストリッドは、自分を心配したり褒めたり、

壊れた蓄音機のようにしゃべり続けるカイの声に耳を傾ける。


一日のこの時間の、この声が、

十七年戦争で全てを失いながら、この国に逃げ延びた元公爵令嬢アストリッドの、

唯一の光なのだ。


「――アスティ?アスティ、どうしたん?」



~これまでのお話~

◆元公爵令嬢の小さな宿屋―年下の町医者が、客でもないのに今日も会いに来ます

https://ncode.syosetu.com/n8605mt/

◆元公爵令嬢の小さな宿屋―陶器市で年下の町医者と手をつなぎました

https://ncode.syosetu.com/n0955mu/

◆元公爵令嬢の小さな宿屋―私を抱き寄せた年下の町医者にぬいぐるみを作ってもらいました

https://ncode.syosetu.com/n4988mu/

読後感ふんわりꕤ*.゜ほのぼの恋愛ファンタジー(*´꒳`*) ~❀~

小さな宿屋の日々を、のんびり楽しんでいただけたら嬉しいです୨୧


お気に入りのキャラクター・場面がありましたら★評価を頂けるととても嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。