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助け

「何してんの?」


 低く押し殺すような声が廊下に響いた。


「いないから、殺されてんのかと思ったわ」


 蓮が睨むようにこちらを見ていた。ばっと後ろを振り返った西川が、慌てて誤魔化し笑いをした。


「び、ビビったわ。夜、一人でトイレ行くの怖いじゃん。だから二人で行ってた」


「そ。てか理緒嫌がってるから、やめろよ」


「いや、そんなんじゃねーし」


 私から離れた西川は、蓮と話をしながら図書室へ戻った。ほっと息を吐いた。


 助けてくれた……のだろうか。


 西川のいる場所へまた戻るのも躊躇われたが、一人で真夜中の校舎をさまよう度胸もない。嫌な気配が立ちこめる学校には、幽霊も殺人鬼もウロウロしている。


 それよりは西川のほうがまだマシで、図書室には助けてくれる蓮もいる。蓮と星来がいる場では、西川も変に迫ってこないだろう。


 図書室のソファーに戻り、うつらうつらと浅い夢を見た。

 翌朝、星来と一緒に教室棟のほうまで行くと、行き交う生徒たちが騒いでいた。


「茶道部の部屋で、襲いに来た殺人鬼を討ち取ったってよ!」


「二組のやつだろ、やべぇよな!」


 二組、うちのクラスだ。やっぱりなと深谷の顔が浮かんだ。討ち取られた? 返り討ちにあったということか。


「えっ、えっ。二組ってウソっ。誰のこと」


 星来がぎょっとして私に言った。


「分かんないけど、蓮たちに知らせて、行ってみよう」


 図書室に戻り、まだ寝ていた蓮を起こした。西川は蓮が起こし、四人で茶道部の部屋へ向かった。


「茶道部の部屋ってどこだよ」


「確か、家庭科室の隣。和室で畳だから、家庭科の授業で浴衣着たときに、使ったことある」


「あー、和室だったら寝るときにいいよな。例によって、『寝るのにいい部屋を占領してたから』狙われたんかな?」


 西川が言った。昨夜のことはまるで夢だったようだ。これまでと変わらない態度で普通に話す。


「柔道部も保健室も、女だけだったよな。茶道部も女だけじゃねえの? 殺人鬼を返り討ちにしたって強えな」


 蓮が言った。確かに茶道部には女子しかいなかったはず。

 現場に着いて、事情が分かった。次に狙われそうなのは茶道部の和室だと目星をつけ、柔道部男子が張り込んでいたらしい。


 寝込みを襲おうとして返り討ちにあった殺人鬼は、ボコボコに殴られて、血だらけで縛り上げられていた。

 腫れ上がった顔に曲がった鼻、切れた唇に折れた前歯。内出血と出血で色も変わっていて、元が誰だったのか、すぐに分からないほどだった。


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