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 素振りを再開した深谷と別れ、少し歩いたところで蓮が口を開いた。


「あいつ、ヤバいな。目がマジだったな」


「こういう状況だし、落ち着いてるように見えて錯乱してるのかも……」 


「マトモじゃねえけど、一理あるよな。自分よりイケてる奴だけ残して、イケてない奴を排除してけば助かるかもって」


「うん、でも……母数減らしてもノーカウントだって、あの化け物は言ってたよね。勝手に人数減らしたら、その分助けてもらえる人数も減るんじゃないのかな。だって、深谷くんの理屈で考えたら、三十五人減らして百人で審査に臨んだら、その百人は全員助かるのかって話だよね。母数の四分の一は、結局選ばれて殺されるんじゃないのかな」


 蓮は少し考えて、自分の考えをまとめるように言葉にした。


「なにも三十五人殺さなくてもさ、自分が百位以内に入れる程度に減らせばいいんだろうな。あの化け物、わりと大雑把じゃん? 十人くらい減っても、すぐには気付かないかもな。ほら、明日から二十人ずつ、五日間で百人を逃がすって言ってたけどさ、生徒会長たち五人がノーカンで死んでんだから、本当は九十五人だろ? 深谷に言いくるめられて、百人って言ってたし。わりと細かいところは気にしてないよな。殺りっぱなしだし」


「そう言われると……そうかも。確かに、生徒会長たちの死はカウントに入れないって言ってたのに、百人逃がしてくれるんなら、五人多く助かるね」


 そのまま気付かないままならいいけど。気付いた時点で、訂正するかもしれない。化け物が勝手に始めたゲームなのだ。ルールもあの化け物次第だ。


「あ、俺は図書室戻るけど、理緒は?」


 体育館へ向かうか校舎へ向かうかの分岐点に着いて、蓮が尋ねた。


「一緒に来る?」


「あ、うん……いいの? 体育館から荷物取ってくるね」


 体育館での星来の態度を思い出し、二組の教室へ戻るのも気が重いなと思っていたところだ。

 蓮の仲間たちも得意ではないが、一番苦手だと感じていた蓮とこうして話せるようになって、ハードルはぐっと低くなった。蓮一人とのほうが話しやすい。


 蓮と別れ、体育館へ戻って荷物を引き揚げた。一緒に置いていた星来の荷物は消えている。

 今夜この体育館で寝る人はどのくらいいるのだろう。根津が殺されて、統制を取る者もいなくなってしまった。

 

 図書室へ行く前にトイレへ寄った。教職員用のトイレは教室から離れているので、他の人とバッティングすることはないだろう。化粧ポーチを握り締めて向かった。

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