埋葬
「進藤さん……、木元さん」
進藤奈々と共に顔を上げると、十名ほどの男女が立っていた。
クラスも繋がりもバラバラだが、殺された五人にそれぞれ想い入れがある面子なのだろう。その中には鍋島もいた。
「あの、辛いけど……根津くんたちが昨日レスリング部のみんなを埋葬してくれたみたいに、私たちも……そうしよう」
代表してそう言ったのは、レスリング部のマネージャー女子だ。きゅっと後ろでひとつ結びにした黒髪と同じく、きゅっと引き締まった顔をしている。精悍な、どこか男前な雰囲気のある美人だ。
「ここに、このまま置いとくわけにはいかないしな……」
死んだ加藤と同じクラスの男子が、重い口調で言った。
死体はすぐに腐るし、蛆虫がわいてくることは容易に想像できる。死にたての、新鮮なうちに埋葬したいとは私も思う。
「担架で運んでたよな……」
「校庭だっけ」
「穴掘って埋めるんだよね……」
「掘るのは大変だから、上から土を被せて隠してる感じだったよ」
「動物に荒らされないかな」
「外から入って来られないだろ」
根津たちを埋葬する意志のある有志が話し合っていると、
「燃やせば?」
という声が割り込んできた。驚いて見ると、橋本蓮だった。
「土葬より火葬のほうがいいだろ。運ぶってかなり重労働じゃね。土被せたって、腐るのは同じだろ」
そう言って橋本は、床に転がっていたガソリンの携行缶を拾い起こした。
「ちょうど燃料あるし」
「でも、燃やすって……体育館も燃えるんじゃ……」
生徒会書紀の女子が怯えたように言った。
「いいじゃん、燃やせば。体育館ごと、化け物燃やそうとしてたんだし、一緒じゃん」
何でもないように橋本は口にした。それで良いような気がしてくる。
「でっでも、明日またここに集まるよね。あの化け物に指定されてるし。毎日同じ時間に、場所はここって」
「指定場所が燃えたら、どうなるんだろうな。別の場所に変えてやるんじゃねーの。知らんけど。心配するとこってそこかよ」
橋本は鼻で笑った。
「いいと思う」
そう言ったのは、古賀の彼女の進藤奈々だった。泣いて赤くなった瞳で、潤んだ綺麗な瞳で私たちを見た。
「火葬するの。土の下でだんだん崩れていくより、いいと思う」
「そうかな」
と疑問に思ったら、声に出てしまっていた。皆が私を見たので、後に引けなくなった。
「火葬場みたいにちゃんと焼けるのかな。ガソリンかけて焼いても、焼け焦げた死体になるだけだと思う。綺麗に骨だけになるとかは、無理だと思う」
「……確かに」
話し合った結果、担架で運び出して校庭に埋葬するという最初の案に落ち着いた。
「担架ってどこだっけ?」
「ここにあるブルーシートで運べは良くない?」
「確かに」
寝るときに敷いていたブルーシートがある。それで包んで運べば、遺体の悲惨さにも配慮できる。
役割を決めて動き出すと、意外なことに橋本も協力してくれた。
「あの化け物、殺りっぱだよな。こういうの普通、殺った側の仕事なんじゃねーのかよ」
ブツブツ言いながらもブルーシートの一辺を持ち、足並み揃えて校庭へ向かう橋本に、根津の作戦に加わってほしいと願ったことを思い出した。私の希望で、危うく橋本まで死体になるところだった。




