1.冬に夏を思って
違う季節のことを考えると、憂鬱は多少紛れるでしょう――
ある日の風呂上がり。当然冬です。
夜の7時半くらい。ヒートショックで死んでしまいそうなほど寒暖差が激しかったです。
身体拭くじゃないですか。
ふっとね。風鈴のチリリンという可愛らしい音が聞こえたのですよ。耳の奥で。
なぜかは分かりません。すごく寒い日に涼しげな音が聴こえてきたので、一瞬戸惑いました。肌がブルってもなりましたし。
その日寝床で、「夏ってどんなんだっけな」って考えてみたのです。
夏って、どんなでしたっけ、覚えていますか?
真っ赤なスイカの黒い種。伸ばした足よりも遠くに飛ばす。
濡れた浮き輪の取っ手とか。まだ塩素の匂いが残っていて。
久々に会った従兄の寝癖とか。背比べして楽しいくらいの身長差。
貯まった英語の宿題とか。3ページ目の”My favorite season is summer.”っていう英文に、「うるせー」って思うこと。
虫取り網片手にスキップする子供とか。網の中で暴れ回るカブトムシを無邪気に見つめて。
夏祭りであの子と花火を見て、花火よりも横顔に見とれてしまって、また好きになって。
もう何度見たんだろうっていうくらいある、「冷やし中華始めました!」。
線香花火をした夜。落ちる寸前まで火玉を見つめる。不思議に命の塊が吸い込まれそう。
夜には根拠もない怖い話で盛り上がってみて。
こう思うと、夏も結構エモーショナルですよね。
実際夏が来ると、「暑い」って思って、すぐに「早く冬にならないかな……」と思うの。夏には夏で、ストーブの小恋路を思ってしまう。なんでだろうね。
四季あらた




