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特別な存在

作者: ひまわり

 年齢を重ねてくると、沢山の出会いや別れを経験する。

だから、その時その時で特別な存在は違ったりする。でも、唯一変わらないのは家族だ。私の中で家族は“特別な存在”と言うより、いつも”当たり前にいてくれる存在“と言ったほうがしっくりくるかもしれない。

 そんな私にも実は誰にも言えない“特別な存在”がいる。約40年間私の心の中にいる。

実らなかった初恋の相手。

ものすごく仲は良かったが、幼馴染も好きだった事もあり逆に二人の仲をとりもってしまった。良くある話。それでも、仲の良さは変わらず続いていた。

お互い家族が出来ても毎年の同窓会には必ず私の携帯にメールがくる。


『今回は忙しいから行かない』

返信を書くと直に携帯が鳴った。行った所でお互いにそれぞれに飲んで楽しくやっていた。


 ある日の同窓会で、中学の時に好きだった人は誰だった?との話しになった。順番で話していると結構以外な人の名前が出たりして笑えた。

 ちなみに、初恋の人は私の幼馴染をあげた。私は心の中で『違う人(幼馴染以外の人)あげたらただじゃおかんよ〜!』と内心思っていたのでホッとした。

 あえて言いたくなかった私は、トイレに行ったりして時間をかせいでいた。

そんな時間稼ぎも虚しく言わなくてはいけない羽目になった。笑ってごまかしていると、幼馴染が笑いながらボソッと私の初恋の人の名前を言った。

『え〜!!』とザワザワしていたが、私の方が『え〜!!』だった。知ってたんかいっ!

 もちろん、その本人も周りも超仲良しの男女関係ない親友と思っていたようだ。確かにそうだったから。ある意味私の中で他の誰にもバレなかった事にガッツポーズだった。でも、その時何故か否定してしまった。誰にも言いたくない淡い初恋だったから。

 そんなこんなでその年の同窓会は終了!

またそれぞれの1年が過ぎて同窓会の時期になっていた。案の定、いつものようにメールが来た。

 『今回は忙しいから欠席だわ』とメールを返した。実は私だけちょっと遠い所に住んでいたので面倒くさいとの気持ちがあった。

だけどお決まりで携帯が鳴った。面倒なので出なかった。『出ろ!』とまたメール。携帯が鳴る。観念して携帯に出ると、

 『出れるのに出なかっただろう!』と。バレてた。

 『今回は忙しいから行かないよ!』

 『イヤ!絶対来いよ。話したい事あるんよ』

 『何?今聞いてあげるよ。奥さんと喧嘩でもした?女心がわかんないの?

 『違うわ!直接会って聞きたい事と話したい事あるんよ』

 『わかったよ!じゃあ、子供達預けなくちゃいけないから遅れるかもだけど』

 『絶対来いよ。約束したからな』

 『わかったよ。しつこいと嫌われるよ!(笑)じゃね!』とその時は終わった。

同窓会の1週間前にまたメールがきた。

 ”社員旅行行くからお土産買ってきてやる。何が良い?“

 “金塊!笑!嘘!饅頭”

 “了解”そんなメールをした。

同窓会3日前にメールがいっぱいになったので、全削除した。

 次の日、社員旅行中の事故で彼は亡くなったと連絡が入った。頭の回路が止まったように理解が出来なかった。直に同様に仲が良かった彼の兄から、お通夜とお葬式に参加してほしい。受付もやってほしい。と連絡があり程なくして案内が届いた。全てが滞りなく終了し、お骨まで拾った私は涙は出なかった。ただただ、怒りしかなかった記憶がある。

 ”こんなに、家族にも友達にも愛されているのにサッサと逝くんじゃないよ!バカタレ!“

だからお墓参りは今だに行っていなかった。

どこかで、信じられない気持ちと信じたくない気持ちがあったんだと思う。

 その事故以来、同窓会は中止になっていた。

あれからもうすぐ18年。今年お墓参りに行こうと思っている。その時に、

 “私の好きだった人はずっとオマエだよ〜!ちゃっちゃと気がつけ”と、笑いながら話そうと思っている。

ただ一つ、今だに何を聞きたかったのか、何を話したかったのか、それが聞けない事はズルいよね!いつかまた戻って来いよ!


 だって、それがある限りあなたは私の中で

”特別な存在“になっちゃったんだから!


うそのような本当の話


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