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季節の便り

  「梅雨の晴れ間」


今年の蝉がやっと鳴いたよ

長く続いた雨の日々が

ようやく終わりに近づいたらしくて

テレビの十日間予報も晴れマークが

見えるようになった

まだまだしばらくは晴れマークと

雲のペアだけど、なんだか

そろそろ家の外へ出て

散歩してみたい気分になってくる


つい今しがた気が付いたのだけど

あれ、赤トンボだよね

窓から見える小さな庭にも

訪れる虫たちがいる

ここいら辺は町よりも高台で

山の中から下りてくる赤トンボも

町中よりも早く見られるはずだけど

ちょっと早過ぎやしないかな


今日は久しぶりの晴れ間があって

蝉の鳴き声も聞けたし

なんだか季節外れの赤トンボも見られたし

予報では、午後にはまた雨らしいけど

とっても満足できる一日になるかな


そうだ、今からお買い物に出かけよう

小ネギを買って

めんつゆを買って

乾麺を買って

お昼は冷たい素麺

夜は温かいにゅう麺にしようかな

お野菜二、三種類と、ジャガイモ

ん~ん、まだ新じゃがは出てないかな

いつもは出てるはずなんだけど

遅れているかもしれないし

ん~ん、その辺も含めて

お散歩がてらお買い物だよね


じゃあ、行ってきま~す




  「蝉しぐれ」


梅雨が明けたと言われて二日が過ぎて

まだまだお日様と雲のペアマークが

ずっと並んでいたのが

朝起きてみれば、真っ青な空


前日まで風が吹いて

せっかく伸びていた新枝を

吹き散らかせていたのが

嘘のような穏やかな朝だ


せんだっての晴れ間がのぞいた日に

鳴き始めた蝉は、弱虫だったけど

今は仲間を増やして盛大に鳴いている

早くからそんなに頑張らなくてもいいのに

隣の木からの声に負けないように

この静かな朝に、精一杯に燃えるように


長く続いた雨模様に不満をぶつけて

ここに俺は居るんだと

俺様を無視するんじゃないぞと

主張を繰り返している


聞いた話だけれど

人間サイズの蝉が、東京で鳴くと

大阪までその声はとどく

近所のビルは声だけで崩れるって

笑っていたけれど、彼

じゃあ、そんな蝉、怖いから

やっつけてくれる?って聞いたら

お腹を抱えて笑った後に

鳴き始めたら世界の終わりだぞって

地面からのこのこ出てきた時点で

何とかしなくちゃなって

硬い殻は破れるかな、困ったなって


ふふふっ

真剣な顔をして考えてくれて

しばらくは

あ~でもない

こ~でもないと

お話だけは続いていたけどね


世界にはサイズが違えばそれだけで

終末の主あるじがごろごろ転がっているんだと

背筋が寒くなったこともある


さて今日は

どこに行こうかな

終末が訪れる前に

何かしておくことはなかったかな


蝉しぐれの中、考える

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