現実との相対 4
「現実に抗って」
毎日がシズシズと過ぎていく
特に変わったこともない毎日
朝起きるところから始まり
おやすみって声をかけて布団に潜り込むまで
そして朝がやってくる
そして昼がやってくる
そして夜がやってくる
朝は簡単に済まそうかな
お昼はちょっとくらいは遅くなってもいいか
夜は何か口にしたほうがいいかな・・・
この間に
お洗濯があって
お買い物
洗濯物を取り入れて
あーめんどくさいなー、夕ご飯飛ばそうかな
寝る前にカップ麺食べてればいいよね
これが現実?
隣のおばさんが言っていたよ
今年の梅雨は変だよね
始まりが遅いし、いつまで続くんだろうね
雷様が騒がないと梅雨は明けないって言うし
それに今年の台風はちから弱そうみたいね
スーパーの広い駐車場では
いつも変わらずクーラー点けっ放しで
おじさんが人待ち顔で停まっている
おばさんたちはかさばる袋を両手に下げて
駐車場をぞろぞろ横切っていく
これが現実なんだよね?
目の前に広がってる
このどうしようもなく蒸し暑い世界は
誰の現実なの?
嫌だよこんなの・・・
私の現実はこんなんじゃ嫌だよ
逃げたくても
逃げ切れない現実
どこまでも両足に縋りついてくる
通り過ぎようとしても後ろ髪をつかまれて
引き倒されそうになる現実
両目を押さえて指の隙間から眺めても変わらない
・・・
私が変わらなければだめなんだ
・・・
「日常との和解」
今日はとびっきり暑いよ
うちは裏が竹藪なだけあって
夏の間でも
暑くて眠れないことはなかったけれど
今年の夏は特別なのか
竹藪を通り抜ける風が熱くなる
長く続いた梅雨がようやく終わり
夏の太陽が訪れたと思えば
この耐えられない暑さは何だ
お昼の天気予報には、南の海に
台風の姿が出ていたが
遠い海の上から押し寄せる熱が
引き連れてくる水蒸気が
町の南の山並みを越えて
なおさら暑い熱を帯びてくる
ジッとしていると熱で脳まで煮えてくるような
そんな時間がゆっくりと流れる
朝方にはあんなにうるさく鳴いていた蝉も
なりを潜めて静か
自己主張の好きな山鳩も今は何処にいるのか
夕方遅くになって、涼しくなった頃より
お昼前に済ませたい買い物も
明日からどうしようかな
やっぱり涼しくなってからの方がいいかな
たくさんの人の中を泳ぐように廻るより
朝に出された新鮮な野菜を求めて
シャキシャキ舌触りを楽しみたい私には
やっぱりお昼前の時間は捨て難い
せんだって手に入れた
イタリア産のオリーブオイルには
やっぱりシャキシャキ野菜が似合うよね
そうやって
グズグズ迷いながら
あ~でもない、こ~でもないと
考えながら
私はいつの間にか和解していたのだ
生活と言う名前の付いた
だれもが当然のように繰り返しつつ
煩わしさの苦みと
繰り返しの安寧と
日々の惰性の誘惑に沈みながら
顧みることもなく、疑いもなく
日常に流れて行く安らぎ
私はいったい何に抵抗していたのだろうか