現実との相対 3
「現実に埋もれて」
私には夢がありました
それだけでなくて希望でさえも持っていたんです
ところが、そんな私ですが
何時からでしょうか、見られなくなりました
どこに置き忘れたのか
どこかに落としてしまったのか
誰かに取られてしまったのか
いや、手放した私が悪いんでしょうね
大切なものはどんなことがあっても
そばに置いておくか
抱きしめておかなくちゃいけなかったのに
毎日がゆっくり流れていきます
とてもゆっくりで、耐えられないくらいゆっくりで
もっとさらさら流れて行ってしまえばいいのにって
目まぐるしいくらいに過ぎ去ってしまえばいいのにって
思っている私は
ジッとここに立ち尽くしている
様々なことが起こり
私には何のかかわりもないように感じるのに
何故かそれらから逃げられなくて
コンビニ弁当の空ケースのように
飲み捨てようとして部屋にうず高くたまった
空になったペットボトルのように
ポリ袋に、詰め込んでも、詰め込んでも
整理することが出来なくて
片づけても、片づけても、散らかり続けて
いっこうに減ることがなくて
私の周りには積もり続ける
そんな世界に目をつぶり
創られた世界に逃げようとした
そこでも私は毎日ログインボーナスを貰いながら
レベル上げを投げ出して
装備づくりを放棄して
毎度のイベントだけを消化して
あろうことか設定で、ログインを隠している始末だ
何を意図して逃げ込んだ?
何を求めて歩いている?
何を実現しようとして存在している?
おまえは何と向き合っているんだ
ここでもあたり一面散らかしているだけか?
思えばいつもこうだった
こちらに手を出し放り出す
あちらに手を出し放り出す
あちらの現実にも
こちらの現実にも
なすすべもなく埋もれて
溜息をつくこともままならずに
ジッと立ち尽くすことを選んだ
積みあがる現実に
冷たく、温かみのない日常に
耐えられるだけ耐え続けて
その先に待ち受けているものに
恐怖する
押しつぶされて横たわる私の幻想に
戦慄する
「現実に向き合う」
もうずっと昔から変わりない事があった
どうしようもない恐怖を抱かえていることだ
他人との関係
社会との関係
自分の心との関係
いくら
のらり、くらりとやっていればいいよ
怠け者風味を利かせていればいいさ
なんにでも真剣に向き合ってる振りをしていなよ
自分だけは傷つかないように慎重にね
大切なものを見失わないように自分を守ってね
などと、アドバイスされていても
雲や、霧や、霞をつかむように
現実味の持てない私には
なんだか、立ち向かおうとしている自分に
一所懸命に考えようとしている自分に
いまさら感が強くて
立ち向かう愚かしさや
無駄な努力感がどうしても消えないのだけれど
みんな、どうしているのだろうか
逃げ出す姿や
振り返り、振り返り、逃げる姿が
なぜこうも格好悪いんだろうか
何かを失いたくない、失ってしまった・・・
こんなことが、実際、存在しているのかな
ただの贅沢だったのではないのかな
こうやって突き詰めていっていいのかな
どんどん追い詰めることにならないのかな
不安の中で想う
怠け者の私には追い詰めることはできないのではないか?
死なない程度に逃げ場を作って、甘やかしているの?
でも、ちゃんと理由もあるんだよ
こんな情けない姿も、自分を守るためだろう?
でなければ、とっくに生きていられなかっただろ?
これって立派な、理由になるんじゃないのかな
こんな私の現実は
毎朝、コーヒーと一切れのパンを食べ
お昼近くまでに家の用事を済ませ
それからお買い物に出る
一息ついたらお昼を済ませ
気が向いたらログインして
今日の日課を終わらせる
そして「なろう」と向き合うことになる
私は、無力感に傷つきながらも、今日もおやすみ・・・
ねえ、現実ってなに?