引きこもりが外に出ます
27歳無職、童貞。引きニート。
親からの仕送りに頼って、今現在自室で引きニート状態。
こうして何もない退屈な日々が過ぎていく楽しくもなく面白くないただ外に出るより楽なだけ。
社会に飽き飽きしてただひたすら社会から逃げ続くて背を背けてあげくに引きこもりだ。
もう何年引きこもっていただろうか?
引きこもっていると時間が進むのが早く感じる。
こうして俺の人生は過ぎていくのだろうか?
このままで良いのか?
こんな人生は俺は嫌だ。
そう思いつつも何をするのでもなくただいつものことをする。
「アニメでも見るか」
ため息をつき、いつも通り独り言を呟きテレビ下に並べてあるアニメのブルーレイを探っている。
「これでも見るか」
たくさん並べてあるブルーレイから一本取り出し再生する。
このアニメ何回見ただろうか、三周はしたな。
面白い。何回見ても面白い。でもどこか虚しさが心をよぎる。
こんな人生飽き飽きした。
俺の変わらないいつもの日常。
なんか涙が出てきた。 何でだろう。
多分アニメで感動していんだな、とそう思い込み自分に言い聞かせている。
そう思い込ませないと壊れる気がする。
誰にも必要とされず誰の役にも立たず何も出来ず、何もやろうとしなかった。
その程度の人間だ。
死んだほうが楽とどれだけ考えているか。
アニメの1話が終わった。
気分転換に外に出てみよう。
ずっと配達とかで済ませて買い物とか外に出ないでしていたから2、3年は引きこもっていたかな。
俺は立ち上がり、靴を履き久しぶりに外に出た。
何の理由もなくただ、ただこの日常を変えたくて住宅街の道を1人歩いていた。
もう夜か、あっとゆう間だ。
季節は夏で暖かい夜風がなびいている。
住宅街を出ると街明かりが一層暗くなり人気が少ない。
1時間くらい歩いたところにコンビニを見つけた。
もうここがどこかわからない。
もうどうでも、どこでもいい。
コンビニの前には自転車が数台。制服着てるし高校生だろうか男子3人女子2人がスマホを見たり喋ったりしていて和気あいあいで楽しそうだ。
リア充爆発しろ!と心の中で思いつつ、俺は何食わぬ顔でコンビニに入ろうとした。
「おい!おっさん、金くれよ。俺たち金ねーんだよ。な、いいだろ?おっさん金持ってそうだし」
高校生らしい青年が狂気に満ちた顔で俺を脅しにかかる。
かなり久しぶりに声を掛けられた気がする。
本当面倒くさいなー。
絶対金渡さないと面倒なことになるよなー。
こんなことなら部屋を出るんじゃなかった。
ここはすんなりとこの青年の指示に従っておこう。
俺は財布に入ってある2000円を手に取り青年に渡した。財布の中はすっからかんだ。
「は?舐めてんの?2000円?全然遊べねー」
「ごめん、これしかないんだ。これで許してくれ」
親からの仕送りに頼りきっている俺には2000円が精いっぱいだった。
「こんな端た金いらねーや、このおっさん金持ってると思ったけど見当違いだったわ。もういいや、冷めたわ」
2000円を投げ捨て踏んづける。
「面倒くさいから金渡して済ませたかったんだがそういう訳にもいかないかな」
「いかないなー」
その青年の隣にいたJKが、
「ねー、この人ちょっとキモくない?」
そのJKの隣にいたもう1人のJKがスマホから顔を上げ、
「だよねーキモいわー」
と便乗する。
最近のJKはキモいで人を評価するのか。
「は?キモい?何の悩みもなく毎日楽しく過ごしているリア充どもめが大人に舐めた口言ってるんじゃねーぞ!苦しい思いも自殺も考えたこともないくせに」
「何このおっさん急に怖いんですけど」
「自殺願望があるなら、ここで痛い目に遭っても文句言わねーよな」
青年はセリフをいい終わると俺の腹に一発蹴りを入れる。
「くっ、うぇ、、」
蹴られた反動で後ろに倒れる。
「な、いきなり、何をする!」
俺は腹を抑えながらも必死に言葉を返す。
「何をって見ればわかるだろおっさん。なんか調子乗って気にくわないから蹴りを入れただけだけ文句ある?」
ゴミを見るかのような目で俺を見る青年。
こんな目で見られたのは何回目だろうか?
多分数え切れないぐらいだろう。
こんなにやられても手も足も出ない口だけな俺。
やっぱり俺はいつまでたっても変われないのだろうか。
俺は蹴られた腹を抑えながら懸命に立ち上がり逃げようとした。
「俺たちから逃げられると思うの?」
もう1人の青年が逃げようとした俺を抑え、もう一方から来た青年が俺に向かって一発一発と腹や顔に殴りを入れる。
2人がかりって卑怯だ。
痛い。痛い。痛い...。
大人な俺がこんな子供たちに太刀打ちできないなんて情けない。
あぁ、神様。何で俺はこんなに醜いのだろうか。
何で生まれてきたのだろうか。こんな人生だったら生まれてこなかった方がよかった。
とその時だった。
遠くからかすかに声が聞こえてきた。
「おまわりさん、こっちです。早く。1人が大勢にリンチにあってます」
「クッソ。又あいつかよ。次学校であった時にはボコさないといけないな」
その声が聞こえて高校生たちが颯爽と逃げていった。
「大丈夫ですか?って大丈夫じゃないですよね」
そのスカートをひらつかせ、制服を着、清楚で可愛らしい顔つきのJKだった。
「いや、大丈夫だ。ありがとう。なんか助けてもらって」
「いえいえ。これからは気をつけて下さいね。最近は物騒ですから」
「そういえば、おまわりさんは?」
「あれは見せ付けだけで実際は呼んでません」
「凄いな」
「凄いですか?」
「だって、なんか手慣れているようだし。俺には到底できない。普段から人助けを?」
「はい。困っている人を見かけると助けないと気が済まないんです」
「そうか、でも情けないよなこんな大人がJKに助けてもらうなんて」
「いいえ。情けなくはないです。手を出してたら間違いなく大人のお兄さんが悪くなっていたでしょうし。いい選択です」
「俺は選択なんかしてない。ただ手が出せなかっただけだ。俺は弱い人間なんだ」
「私は弱い人間好きです。弱いからこそ向き合いたりして。何よりお兄さん、優しいじゃないですか。手が出せなかった...そんなことないです。手を出す必要なんかないです。それが優しいという証明じゃないですか」
「そういうものか。ありがと。ごめんな今さっき会ったばかりなのに色々言っちゃって」
「いえ、私も偉そうに言ってしまって...」
「......」
「......」
「じぁ、俺はこの辺で」
と立ち上がろうとした瞬間、意識を失って「バタンッ」と地面に倒れた。
「大丈夫ですか大丈夫ですかしっかりしてください」
こんな俺でも心配してくれる人はいるんだな。
心の奥底で俺は静かに涙をこぼした。