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グランド・ウォーリアーズ  作者: 滅びの人
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第一話 『歯車は回り出す』

ワールド・ウォー・スクール。通称WWSと呼ばれるこの施設は、魔法やそれを利用した魔道具が一般化された中で、禁止されている魔法の使用、危険な魔道具の製造および違法使用、違法取引などの軽犯罪を始め、悪魔の召喚、死体錬金術の使用、強大過ぎる魔法獣の飼育および使役などの重犯罪までを扱う{ソルジャー}。

魔道警察兵とも呼ばれるこの最強の役職を志す者たちの育成機関である。

広大な敷地面積を持つ学園内全体が一つの世界となっており、学園の生徒が四か国に分かれ戦い、真のエリートのみが{ソルジャー}になる事を許されるのだ。

分かれる四か国、圧倒的な生徒の数とこの学園の半分の敷地を有し、今まで数々のエリート{ソルジャー}を排出してきた現時点の最強国ウェスト王国。奇襲作戦を得意とし、集団戦法や情報操作などの驚異的な戦場支配力で周りを翻弄するノース共和国。そのノース共和国とほぼ同等の力を持っているのがサウス諸国、この国は武器や装備の開発や生産、効率的な戦術を駆使し戦う。そして現時点で最弱の国は、学園のほんの端の領土しか持たない東和連合だ。完全なる人数不足に資金不足、それによりこの学園を戦場(フィ-ルド)とした世界大戦においてはいていないような存在なのである。


但し、勘違いして欲しくないのはこの東和連合は、無い無い尽くしの面を除けば個人の力は他の参加国を凌ぐ力を持っているという事だ。



・・・



東和連合領の校舎の屋上、そこから空を眺めている青年がいる。

白金とでもいうような薄い色素の髪を持つ高身長のその青年は何をするでもなく淡い赤色をした瞳でただ空を見上げていた。


「黄昏ているね少年。恋の悩みかな?」


いきなり声を掛けられて青年は屋上の入り口の場所を見る。するとそこから二十代後半くらいの長めの黒髪を持つ美人の女性が現れた。誰だかは知っている。


「そんなんじゃないですよ、常本先生」


青年にそういわれた女性、常本鈴羽ツネモトスズハは苦笑する。


「冗談さ、本気にするな神童」


青年、神童天はさらに続ける。


「そんなことしてる場合でも、言ってる場合でもないんですよ。」


天にそう言われた常本は笑う。


「そうは言っても、君の成績が学園全体を見ても、高いのはデータが証明してる。人気だってあるじゃないか。」


そう言って常本が取り出した紙を見て天は顔をしかめる。


「学園男子人気ランキング…それは誰にとって得だったとしても俺にとっては地獄で黒歴史ですよ。」


「何故だ?良いじゃないか。ここが普通の学校である数少ない要素なんだぞ?」


「一人の時間が圧倒的になくなるからですよ」


「何を言っているんだ君は。ただ評判が良いだけで中身が伴ってないからそう感じるんだよ」


常本の指摘に何も言えない天。それをいいことに常本は紙を読む


「えっと、クールで寡黙・・・冷めててコミュ障」


「ぐっ」


「孤高で他人を寄せ付けない・・・ボッチで他人との交流を避けているだけだ」


「ぐはっ」


ショックでその場に倒れ込む天に常本は紙を放り投げる。そして服からタバコの箱を取り出すと中からタバコを出し火をつけるとそれを吸い始める。…おい教職員。


「君はまず、その周りからのイメージと現実のギャップを埋める努力をしたまえ。孤独は何も生まないぞ」


「独身の先生が言うと説得力が違いますnあああああああ痛い痛いヒールで足を踏まないでええええ!!」


やっと踏みつけの刑から解放された天は階段に向かって歩いていく。


「行くのかい?」


「先生が生徒の前でタバコ平気で吸ってるこの現状を見たくないので部隊室に戻ります。」


そう言うと天は階段を降り、部隊室へ向かう。目的地の目の前まで行くと、まだ早い時間だというのに身長の低い黒髪というよりやや紫がかった髪をした少女が立っている。もちろん顔見知りではなく、全くの他人だ。

(この時間だとアイツらはまだいないだろう。俺が用件を聞くか…)

ここに人が来ること自体珍しいのだが、取り敢えず天は少女に話しかける。


「どうした?うちの隊に何か用か?」


声を掛けられた少女はびくっとして天を見る(というか見上げる)と、慌てるように敬礼をする。小動物みたいでなんか可愛い…


「た、たっ隊長!わ、私!本日じゅけでっ、この隊に配属されることになりました。一年の月黄泉子ですっ!!」


噛み噛みだったが、大体事情は察した。察したがこれは予想外の事態だ…

どうやら仲間が増えるらしい。


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