あの日のきおく
どうして猫になったのか?のおはなし。
ある日、私はふわふわもふもふのにゃんこになった。
――その日は夏祭りの日だった。
「――うん、分かった。じゃあ7時に私の家集合ね、じゃあ」
はあ。
…………。
今日こそは、告白してみせる。
私、紫、17歳は、クラスメイトではないけど同級生、同じ塾の羽野琴が好きだ。
一見女の子みたいな名前に見えるけど、れっきとした男子だから。
あー、もう来るかな、夏苗。
お守りに、大好きな猫キーホルダーを3っ持っていこ。
あ、あとは猫バッグと――…………
――ひゅるるるる……どおん。
「ゆ、か、り!どーこ見てんの!も〜、琴くんは諦めなって」
「……もーいーよ、ちょっと焼きそば買ってくる」
…あ〜あ。折角浴衣も用意したのに。
(…………振られ、ちゃった)
ちょっと大人びたとこが良かったけど。
仕方ない。
いろいろ考えているうちに、人気のない草むらにいた。
ひゅる…る……どおおん………
「……………っ…」
思わず、泣いていた。
「んにゃあ?」
猫、か。
自由でいいな。
ナデナデして癒やされる。
でも、涙は止まらなかった。
(……結構たったかな。
いや、5分くらいかな。)
さ、怪しまれるから焼きそば買って、夏苗のとこ行こう。
と、立ったとき。
ふらり。
泣いて体の感覚が麻痺したのか。
ぐらっ…と体が傾く。
(…………え?)
落ちていく方は、草はなく、崖だ。
(え。死ぬ……のかな)
やたら落ちるのが遅いなぁ。
あー、…どうせ死ぬなら……
遠くで夏苗の声がしている気がする。
意識は落ちていく。
最後に思ったのは。
――――……どうせなら、猫に生まれ変わりたい。
「――――……!!!!…………ゆ……か……………!!!!」
ごめんね、夏苗。
ばいばい、初恋。
ゆるゆると更新していきます^_^