15.伝説の黄金魔人
―――これはなんだ?
ベンジャミンは黄金の首を見て、感動とも不快とも言えない複雑な気持ちになった。
この任に就いて以来、多くの遺物や異形を目の当たりにしてきたベンジャミンだが、目の前の首はそのどれとも当てはまらなかった。
黄金の生首はとても小さい、女性の首の様で異常。血の気のない白い肌。頭髪からまつ毛に至るまで金色ではなく『黄金』。黄金の頭髪から成る魚類の様なヒレ。頬まで裂けた耳元からは、うねる様に突き出した象牙質の角が生えている。角の内側は、無い耳の役割を果たしているのか、複雑に抉れていた。額には黄金の冠の様な物があるが、それは身に着けているのではない。額から黄金で出来た五つの細い角棒が上に向かって花開くように生えているのだ。
〝―――黄金に、恐ろしくも惹きつけられる不思議と魅力―――〟
そんな朦朧をするベンジャミンをよそに、ブライアンは目を輝かせてしゃべり始めた。
「なんと神々しい!これが!あの黄金の魔人!金毛白面九尾!『ゴールデン・エリザベス』!!」
「代表、約束通りだ。コイツと引き換えに我々を『神之園』へと連れて行ってもらおう―――」
「もちろんですとも、紫堂殿!」
と言った所で、黄金の魔人の名を聞いていたベンジャミンは「え?」っとなっていた。
「エリザベス・・・?」
「ん?そうだともベンジャミン!この魔人の名は『Golden・Elizabeth(黄金のエリザベス)』。伝説にして大戦史上最大の謎を秘めた幻の存在だよ」
「当時は、常識逸脱した黄金の姿から『金毛白面九尾』。大戦を終息困難に持ち込み、この戦国時代をまねく一端を担った魔物だ」
と静衛は「知らないのか?」と言う様な目でベンジャミンを見る。鋭い視線にベンジャミンは動揺してならない。
「申し訳ありません・・・。私はその―――詳しくは・・・」
「そうか―――」
この場に居合わせながら至らない事ではあるが、静衛は「なら仕方がない」と言うような様子でベンジャミンに話を始めた。
「コイツは太古の昔から存在したとされる魔物だ。棲みかは『お伽噺の何処にも無い深い森の底にある唯一不変の黄金卿』だ―――。ベンジャミン。コイツを見て如何思った?」
「え!?はい。いやその―――驚きました。知りませんでしたので、私はてっきり、もっとこう・・・大きくて、キツネと言いますか想像と違っていて・・・」
「と言うと?」
「その、魔人とは聞いていたものの、いざ目の当たりにすると神秘的で―――それに魔物と言うよりも、何かと聞かれれば私には人の様で・・・」
「十分魔物だと思うが?人の類に見えるのか?」
「え!?・・・はい。申し訳ありません。魔物を人の様などと失言でした」
ベンジャミンは緊張して、たどたどしく手で顔を拭う。
「いや良い。責めている訳ではない―――ただ意見を聞きたかっただけだ。そうか人の様か。まあ、この様な姿に成ってしまってはな。そうも見えるものか・・・」
「紫堂様。その・・・人と言いますか。私がこの様な事を言うのは、憚られると思うのですが。正直言うと―――」
ベンジャミンが全てを述べようとした時、ブライアンが割って入った。
「あ、いや紫堂殿!申し訳ない!ベンジャミンには事前に説明をしておくべきでした。何と申しますか、彼女の事は『機密事項』でして、機関内でも詳細を知っている者は極僅かなのですよ!」
と笑顔で包み隠すかの様なブライアンはあからさまで、静衛は不審に思ったが、
「ふむ―――。『特務』の事情か」
と話を合わせた。ベンジャミンはと言うと、どうもスッキリしない難しい顔をしている。釈然としない間を生まぬかの様にブライアンは繕う。
「それにしても、こうして実物を目の当たりにすることが出来るとは・・・。今も自分の目を疑っています」
「大袈裟だな―――」
「そんなことはありません。我々には、吉原大聖堂に安置されているとしか伝えられていない幻の存在です」
「なるほどな―――」
「我々の調査では、彼女は神代から存在したとされています。彼女は我々のプロジェクトに必要不可欠な研究対象なのです」
「神代・古代・中世・大戦の目撃者か―――」
そこに「あの・・・」と何か気になったのか、ベンジャミンが静衛に話しかけた。
「どうした?」
「紫堂様。先ほど彼女が戦国時代を招く要因になったと仰っていましたが。彼女は一体何をしたんですか?」
「本当に何も聞かされていないんだな―――」
意味ありげに天井を仰ぎ見るブライアンと、申し訳なさそうな顔をするベンジャミンに、静衛は淡々と語り始めた。
「大戦末期―――。あの戦争は終息困難なほど激化していた。当時、各国政府はそんな状態に陥るまで戦進し、そこでやっと、事態の深刻性に気付いた。まるで夢でも見ていたかの様に、全くもって目醒めた人々は、如何にかしてこの事態を収拾しようと解決策を探し始めた。そして、最終的に一つの案が出た。それが―――そう、國歴1987年12月27日。世界の命運を賭けた緊急国際会議。大戦に関わる主要大国代表および関係諸国代表が集結した『グランテリュオ国際会議場リコフォス・ステマ』。そこに、コイツは現れた」
静衛は何か思い出す様な素振りで、窓の方へ歩んでいくと、続きを話し始めた。
「突如出現した黄金の魔人に、防衛軍は全滅。会場は大混乱を起こした。そして、大戦を終息させるハズだった国際会議は『黄金の晩餐会』へと変わり、果てた」
「それは、つまり・・・」
「皆殺しだ。コイツからすれば『食事』と言うべきか」
苦い顔をするベンジャミン。
「私が到着した時にはリコフォス・ステマ周辺は火の海。襲撃したコイツは全くの無傷。血肉の海と化した会場ではコイツが各国代表を貪っていた―――」
「無傷・・・?」
「〝大戦を終わらせるために集結した最勇最強の防衛部隊は、何一つ出来ずに殺された〟だ」
「そんな事が・・・信じられない。あの、紫堂様」
「なんだ?」
「あなたはそんな怪物がいる会場に、向かわれたのですよね?」
「そうだ―――」
「編成は?」
「一人だ」
とても考えられない答えだった。ベンジャミンは思わず頭を抱えそうになるが堪える。
(ありえない・・・)
このベンジャミンと言えど『鋼人』の逸話はいくらか聞いたことがあった。
古代技術―――。
蒼金に輝く瞳―――。
肉眼で捕捉困難な戦闘能力―――。
超A級と云われる耐久性能。不老伝説―――。
対強化人間部隊―――。
どれもが現実離れした情報ばかりで、信憑性に欠ける。『物語』と言っても過言ではないが、今目の前に実物がいる。信じられない存在の信じられない話は、ベンジャミンにはとても真実として受け止められない。ベンジャミンは更に質問を続けた。
「・・・大戦の精鋭軍を無傷で全滅させる怪物に、紫堂様は一人で向かったと仰いましたが―――。今ここに『その怪物』の首があります」
「そうだな」
「失礼ながらお聞きしますが、まさか御一人でこの方を・・・」
「倒した―――」
余りにも信じがたい話に、もうベンジャミンの頭は混乱しそうだ。そのやり取りをブライアンは黙って見ている。
「その・・・どうやって―――」
その質問は忍びなかったのか、静衛は低い声で答えた。
「戦いの末―――。玉座から引きずり下ろし、首を落とした」
途端にベンジャミンは総毛立った。何故かはベンジャミン自身にもハッキリとは分からなかったが、彼には今の話が、恐ろしい怪物を一人で打倒した武勇伝ではなく、想像もしたくない様な不敬、決して犯してはならない大罪に思えたのだ。ベンジャミンはおぞましそうに口を開け、眉間にシワを寄せている。
「どうした?信じられんか―――?」
「いえ・・・その、御一人でこの御方を殺した事が、私には想像しかねる内容でして・・・」
重く沈黙するベンジャミンであったが、静衛は彼が大きな思い違いをしている事に気付いた。そして―――。
「殺す?ベンジャミン、お前は何か勘違いをしているな」
「はい?」
「見せてやろう―――」
静衛は袖から何かを取り出した。ブライアンとベンジャミンは何かと思って身を乗り出して見ると、静衛の手のひらに白い小さな皿がある。静衛は皿を、生首が入っているガラス玉の前にソッと添えると、今度は別の袖から小さな小瓶を取り出した。小瓶には色とりどりな粒が詰まっている。
「紫堂殿、それは?」
何だろうかと目を凝らすブライアン。静衛は小瓶の中身を取り出しながら答えた。
「金平糖だ」
「コンペイトウ?」
「飴玉、キャンディーの様な菓子だ」
静衛は桃色と白色、二粒の金平糖を小皿に乗せた。そして―――、
「喰え―――」
と静衛が言った瞬間、驚くべきことが起こった。
「え!?」
「なんと!?」
ベンジャミンとブライアンは自身の目を疑った。小皿の金平糖がカリカリと音を立てながら消えて行く。同時にガラス玉の中で、生首の口が何かを食す様にモゴモゴと動いているではないか。仕組みは不明だが、明らかに黄金の生首によって皿の金平糖が消えて行くのだ。間も無く飴を喰らいつくした生首は、まるで金魚の様に身をよじらせた。
「い・・・生きているのですか!?」
思わず声を上げたベンジャミンを静衛は「見ればわかるだろ?」と言うような目で見る。
「そうだ―――。こうして供えられた物しか、口に出来ないほど弱体化したが、まだ生きている」
「だ、大丈夫なのですか!?」
「今のところ当時の危険性を示したことは無い。が、万が一の為に私がコイツを持って来たのだ」
望んで持参してもらった研究対象ではあるが、想像だにしなかった事実にブライアンとベンジャミンの表情は硬い。
「彼女は危険な存在です。何故殺さず生かしているのですか?」
「ええ、紫堂殿。この事実は我々さえ知り得なかった・・・。お聞かせ願いたい。何故死んでいないのですか?」
「―――コイツは殺せん。トドメを刺そうと幾手も試みたが、このガラス玉がコイツを護って砕けない。命を絶てない以上、今後何をするかも何に利用されるとも分からん。思案の末、中立地帯の大吉原に封印したのだ」
ガラス玉を見つめて、ため息交じりに納得するような素振りを見せる二人。だが、やはりと言うか二人はまるで『目の前に獅子を放たれた様』で、黄金の首に不安を隠せない。
―――悪いことをしたな。
やはり事前に伝えるべきだったかと思って、静衛は二人を安心させようと黄金の首について話始めた。
「すまん。事前に伝えるべきだった。謝る―――。して、見ての通りコイツは生きている。オレでも殺せん。が今のところではあるが、ここ三百年は以前の様に人を襲う事もしゃべることも無く聖堂に安置されていた。物を口にはするが、人から許可された物しか自分の意志では喰えん。大丈夫だ―――」
「そうですか・・・。紫堂殿がそう言うのでしたら」
と静衛の言葉に安心しようとするブライアン。に対してベンジャミンは、今の話に腑に落ちない点があったようだ。
「紫堂様。今この方が〝しゃべる〟と仰いましたか?」
「ああ、そうだが?」
ベンジャミンとブライアンは互いに目を見合わせた。
「ゴールデン・エリザベスと言葉を交わされた事が御有りなのですか?」
「―――ある。あの日、あの国際会議場で、多くはないが話をした」
ブライアンは興奮して身を乗り出す。
「なんと!紫堂殿、彼女と何を話したのですか!?教えてください!何故彼女は、ゴールデン・エリザベスは黄金の晩餐会に至ったのですか!」
普段口数が少ないためか、静衛は少し疲れた様子で答える。
「わからん―――。完全に狂っていた。自分のことを唯一不変の存在だと―――。『黄金の使命』を貫くためと・・・、自分を『神』などと―――。その様な妄言を口にしていた。オレには未だに理解できん。最も、魔物の腹の内など、人智の至るべきモノだとは思えんがな」
そう言って、静衛は窓の外に見える壁の裂け目を見つめる。
「何処にも無い深い森の底―――。唯一不変の世界。お伽噺の黄金神殿・・・。いや・・・そんなモノ、本当はこの世界の何処にも無いのかもしれないな―――。自分の事を神様などと・・・そんな妄想に憑りつかれた、哀れな怪物が作り上げた夢物語。その果ての狂行だったのだろう」
と言ったところで、客間の扉を何者かがノックした。何事かと思いブライアンが答える。
「どうしたのだね?」
すると、一人の女性職員が扉を開けて入ってきた。
「会議中申し訳ありません。紫堂様、緊急です。大吉原から救援要請が」
救援要請と聞いてブライアンが「なんだって」と立ち上がる。が静衛は冷静に対応する。
「状況は―――」
「吉原大聖堂で戦闘発生。守衛部隊壊滅、被害甚大。現在西町からΩレイン・インダストリアルが対策部隊を編制中です!」
「何故、我隊が対応していないのか聞いているか?」
「紫堂様の部隊は現在別件に対応中との事で・・・」
「―――如何いう事だ?」
「それが・・・。東大門が、破られました。内側からです」
とんでもないことに成ったと、静衛は眉をひそめて、視線を黄金の首に移す。
(コイツか―――)
再び伝令に視線を戻した静衛は、
「吉原に『了解した』と伝えてくれ」
と答える。状況を察したブライアンは、ベンジャミンに対応を指示する。
「これはいけない!ベンジャミン!紫堂殿をヘリポートへ、高速艇の用意を!」
「直ちに。紫堂様、ご案内致します。こちらへ―――!」
「頼む―――」と静衛は客間を後にするのであった。
間も無く一行は要塞のヘリポートへ到着した。一行を白い高速ヘリと武装した戦闘員が出迎える。
「我が社で最も早い空艇です。彼らが吉原までお連れします!我々も直ぐに後を追いますので!!」
「礼を言う―――!」
高速ヘリに乗り込みながら静衛が何か思い出した様に、ブライアンへと振り返った。
「代表!一つだけ聞きたい事がある!」
ヘリの音と風が邪魔で会話が儘ならない。
「何でしょうか!?」
「代表は『創造絶倫堂』と言う名を聞いたことがあるか!?」
それを聞いてブライアンは少し黙ると―――。
「企業秘密です!」
と大きな声で答えたブライアンを、後ろからベンジャミンが難しい顔で見ている。
静衛は「全く・・・」と言った表情で、
「ブライアン!お前は正直過ぎる!」
「え?何です!?」
上手く聴き取れなさそうにしているブライアンに、静衛は黄金の首が入った包みを投げ渡した。ブライアンはビックリして、だが落とさずしっかりと受け止める。
「お前が持ってろ!先に吉原で待っているぞ!!」
そう言って、静衛はヘリの乗組員に離陸の指示を出し、あっという間に飛び去って行った。
「行ってしまわれた・・・」
ブライアンは受け取った宝箱をジッと見つめる。
「さて、我々もなるべく早く到着できるよう準備をせねばな―――。ベンジャミン、Ωレイン社は我が社の傘下だったな?直ぐに情報共有を頼みたい」
「承知しました。直ちに」
そして、ヘリを見送った二人は屋内へと向かった。
「ところでベンジャミン。さっき、何かを言いかけていたね?」
「はい?」
「君はこのゴールデン・エリザベスを見て、『人』ではなく正直なところ『何』に見えたのだね?」
「ああ・・・はい。その―――言いにくいのですが、私にはこの御方は『神様』に見えました」
それを聞いてブライアンは何も驚かなかった。
「そうか、ベンジャミンには『魔物』が『神様』に見えたか」
「驚かれないのですね?」
「ああ。私にも魔物には見えなかったからね」
「そうですか。ならば代表には、この御方は何に見えたのですか?」
「ふむ、そうだな―――。この御方を『何か?』とするのであれば・・・」
ブライアンは少しの間考えると―――。
「在りえないモノ。『魔神』に思えた」
「マシン?ですか?」
「そう、魔とも神とも在りえない御方かな」
「なるほど」
「だが、これでやっと一歩前進だ。紫堂殿から貴重な話も聞けた!ベンジャミン、この二年の遅れに進展の兆しが見えて来たぞ!」
「う~む・・・そうでしょうか?私には正直、紫堂様のお話はれっきとした史実とは思えません。確かに今こうしてこの御方が目の前にいはしますが、本当にお話の様な恐ろしい存在だったとは思えませんし。特に!何処にも無いお伽噺の黄金卿などは、全くの作り話としか思えません!そもそも神代から存在しているなどと言うのが―――!!」
などとハッキリと思いを述べるベンジャミンの一つ一つを最後まで聴くブライアンの表情は、満足そうで、とても穏やかである。この度の会議においてブライアンは、敢えてベンジャミンに『金毛白面九尾、ゴールデン・エリザベス』の詳細を伝えなかった。何も知らなかったベンジャミンは静衛に多くを聞いてくれた。おかげで静衛から多くの話を聞けた。
ブライアンの中で懐かしい思い出が蘇る。
〝おいブライアン!ある探究者が自分の弟子にした古い話をしてやろう。『―――いいか、我々探究者にとって、多くを知る事はただの目的であって重要な事ではない。探究にとって最も大切なのは、如何に多くを知らぬと気付くことだ。そして、手にした未知を解き明かす事が出来た者だけが、新なる智への足跡と到着を可能にするのである―――』どうだ?知る事は大切だが、それが出来るのは、知らないという事に気付ける奴だけさ!ブライアン、お前は何でもかんでも疑いもせずに受け入れてしまう癖がある。もし俺と同じ探究者を目指すなら、お前に足りないところだ。忘れんなよ!〟
在りし日の兄の言葉である。
結局、ブライアンには兄の言うところの探究者の素質は無かった。だから最も信頼しているベンジャミンに、こうして側近を務めてもらっているのだ。
「―――確かに、紫堂殿は黄金卿を彼女の妄想だと言っていた。だが、私は別の意見だ。信じればこそたどり着ける場所と言うモノがある。私はそう思うのだよ」
「お伽噺の何処にも無い場所へ、信じればたどり着けると?代表は自分の仰っている事を何も疑わないのですか?」
それを聞いて、ブライアンは可笑し気に笑い始めた。
「ハハハハ。ベンジャミン、疑いようがないよ。なぜなら、我々が創ろうとしている新世界と言うモノは、その様な類の物なのだからね」
ベンジャミンはブライアンの言葉に「あっ!」となって面目なさそうに額に手を当てた。
「確かに彼女はいた。ならば黄金卿もきっとある。そして、既に存在している場所へ辿り着くなんてことは、我々がこれから築き上げようとしている〝新世界へ向かおう〟なんて言う事よりも簡単なんじゃないのかな?」
「う~ん、ですかね~・・・」
「いつか探しに行ってみようじゃないか。彼女の故郷を、何処にも無い黄金卿を―――」
必ず在ると信じて疑わない人。