俺の能力がチートだったので世界に飽きた。
書いてみたかった異世界転生。
主人公同様に作者もめんどくさがりなのでこれはテスト投稿となります。
そう!むしゃくしゃしてやった。後悔は・・・多分しない。
ではどうぞ・・・
俺の名前は秀作、ただの秀作でいい。
俺が生きているのは地球という世界だ。
人が機械とかを作り出し、国家間で争い、国の中でも争いあう、そんなクソみたいな世界だ。
俺か?俺は普通の大学に通っている。
授業とかは受けはするが、殆ど役にも立たないんで聞き流している。
要点とか重要な所だけはノートにしっかり纏めているお陰で成績は良い方だったりする。
容姿は普通だ。客観的にみたらどうかは知らんが、俺は普通だと思っている。
頭の良さに関してだが、ハッキリ言うが所謂チートだ。
何故かと言うと生まれつき【完全記憶】を持っているからだ。
だからノートをしっかり取る必要なんてないんだが、日本って言うところでのんびり生きるには真面目を演じないとだめだから程々に取っている。
ちなみに一度見たものは忘れないが、思い出そうとしない限りその記憶は埋没したままになっている。
本当にチートだよな・・・
しかし俺はこの世界に嫌気が差したというか、興味がなくなってしまった。
なんで興味が無くなったかなどは、色々とあってわからん。
見たものを全て覚えておけるから、世界が色あせたんだろうな。多分。
ただ、それでもゲームだけは俺の心を満たしてくれた。
俺と同じで、魔法を覚えたらなんでも使えるし、レベルが上がれば上がるほど強くなるなんて、心が躍る。
俺なんて全てが単純作業になり果てるだけでしかないから。
武術や体術などでも使ってみたことはある。映画の俳優が使うアクションを真似てみたりした。
型に習うように反芻していたらあっさりと出来てしまったよ。
確かに筋力とかは必要だが、それも幼いころから鍛えていたし。
効率的な体の鍛え方なんてのも覚えてしまって、今では朝起きてからの日課になっている。
そのお陰で武術や体術はなんでも出来るといってもいい。脳内で敵を思い浮かべてのトレーニングとかは記憶を呼び出して戦うので現実とそう代わりないしな。
殆どの動きも真似られるし、その弱点もわかる。
弱点がわかるということはそれにどう対処したらいいかもおのずとわかるということで、他の武術を取り込んでカバーしたりとかな。
刀術、剣術、槍術、なんでも見て覚えて、自分で反芻して物にした。
一朝一夕では物に出来ないが、これも才能なのかね。
俺は自分が興味があることや良いと思ったことしかしない。そしてめんどくさいと思ったことはなるべくしない。
武術なんかは俺の糧になるからやってたし、知識を入れるのも役立つと思ったからやった。
人付き合いは正直していない。めんどくさいし必要ないと思ったから。
【完全記憶】は本当にチート過ぎたんだ。
ネットがあれば今の時代はなんでも調べられる。図書館も知識の宝庫だ。
流石に秘匿された情報等は無理だが、それでも知識は世の中にあふれている。
そんな事をしているうちに俺は・・・この世界に興味がなくなってしまった。
次の時代の為に何かをする気にもなれず。どうせ死んで消えるのなら何も残さなくていいじゃないかってね。
チート過ぎる人生が故に、俺は何もせずにのんびりしようと決めた。
―――――そんな俺だからだろうか
いつも通りに朝起き、体は動かさねば鈍るので鍛錬を行う。
シャワーで汗を流し、朝食を自分で作って食べ、一人で大学に向かう。
家族はいない。二人とも事故で死んだ。妹が一人居たんだが親と一緒に亡くなってしまった。
俺が合宿で出かけているときに親と妹で買い物に行ったんだと、その時に対向車線から突っ込んできたトラックに・・・
よくある話だ。居眠り運転が原因だって言われたよ。
普通の家族に囲まれて、仲良く暮らしていたはずだったのに。
特に妹は可愛かった。まだ小学2年だった妹。
俺をお兄ちゃんと慕ってくれる。そんな妹が俺は何より好きだった。
その妹が居なくなった時の悲しみは言葉にできない。
俺が一人で生活出来ているのは、家族が残してくれた遺産と事故での慰謝料があったから。
取り合えず大学だけは出ようと思って通ってはいる。
妹の分もしっかり生きようと思ったのもあるが・・・
俺と妹の年が離れすぎているのには理由がある。・・・察しがいい人ならわかるよな。
俺は家を出て大学に向かった。
その途中、なんの因果か俺もトラックに跳ねられた。
武術や体術の心得はあっても、大型のトラックを避ける技術や勘は働かなかった。
しかし後ろから突っ込んできたトラックに跳ね飛ばされた鈍い感覚は絶対に忘れない。
死ぬ間際の刹那の時間だったとしても、俺はあの衝撃を忘れることは出来ないだろう。
まぁもう死ぬんだから、そんなことはどうでもいいか。結局俺も家族同様トラックに跳ねられて死んだ。
なんなんだよ、一家揃ってこんなことってあるのかよ。
本当にこの世界はクソだな。
そんな事を思いながら俺の意識は闇の中へと消えていった。
――――――――――――――――――――――――
―――しばらくして俺は目が覚めた。
椅子に座った状態で。
目の前には二つの瞳が俺をのぞき込んでいた。
「あ?」
「やあ、目が覚めたようだね」
目が覚めた場所は俺が座っている椅子と、そいつが座っていたであろう椅子だけで周りは真っ白だった。
目をのぞき込んできたそいつは、真っ白な空間よりも尚白い白衣を着た若い男だった。
「あぁ」
起きて直ぐだが俺の思考は至って平常だった。
「ふむ。君は自分が死んだことは気が付いているよね?」
「・・・・・あぁ。トラックに跳ねられて俺は死んだ」
そう、大学へ向かう道の途中で突っ込んできたトラック。多分居眠り運転か酔っ払い運転が原因だろう。胸はむかむかするが今は気にしないでおこう。
「流石に頭の回転は速いようだね。そう、君は死んだ。しかし、私がその魂を救い上げた」
「・・・」
「あんまり驚かないんだね」
「驚いてはいるさ」
「そうかい。まぁ話を続けよう。そうだねこれから君にして貰うことを簡単に説明するなら・・・君はゲーム好きだったよね?
今から君をそのゲームの世界に似た異世界に送ろうと思う。何をするのも自由だ。君の思うままに生きるといい」
「あー、良くある異世界転生みたいな感じのあれか。それを俺が?」
「そう。君がその主人公だ」
「そうか」
「本当に君は驚かないんだね」
「まぁ別にどうでもいいからな」
「そうかい」
「幾つか質問いいか?」
「なんだい?」
「俺が転生ってか、送られるのはまあいい。それでお前・・・神様か。メリットは?」
こんな場所に居るんだ。神様に近い何かだろうとは思う。
「僕は神って訳じゃないんだけど・・・そうだね、君達からしたら神様なのかな?でも、僕は言うなら管理者って認識しとくといいよ。
で、メリットね。特にはないかな。僕が管理してる世界、名前は『ベスタ』。魔法も魔物もドラゴンもダンジョンもある世界。
至って普通の世界さ。ただ、僕は管理者って言っても見守るだけで娯楽があんまりないんだ。だから強いて挙げるなら、君がこの世界でどう過ごすのかを見たいって所かな」
「そんだけか?」
「うん。管理に少し飽きてきちゃったから、まぁもう一つ理由があるっちゃあるけど些末なもんさ。で、異世界人である君と一緒に世界をのんびり見て回るのも良いかなって」
「お前も来るのか」
「そりゃあね、好き勝手にしていいんだけど、近くで見たほうが楽しそうだし。一緒に行くって言ってもあれだよ?
意識だけみたいな。君の第三の目になるみたいなそんな感じだから特に気にしなくてもいいよ」
「そうか、ならいい」
「おおぅ・・・良いんだ。君って案外心広いね。普通なら私生活覗かれたら気持ち悪いとか思うんだけど」
「別にいい。見られて困ることないし」
「え?君、性生活も見られてもいいの?」
「別に構わない。それは人として生物として仕方ないことだからな」
「確かにそうなんだけど・・・んーまぁいっか。じゃあ君をその世界に送るわけだけど」
「着の身着のまま送るのか?魔物とあったら普通に危険だと思うんだが」
「大丈夫、ちゃんと考えてるよ。僕の世界はにはレベルがあってね、上限は特にないってか、MAXは200なんだけど、そこまで上げるような奴が居ないだけで。
ってそれは置いといて、君は【完全記憶】って言うこちらで言う特殊スキルを保有してるから、そこから更に・・・そうだね、好きなものを三つ選ぶといいよ」
そう言うと白衣の管理者は目の前に一枚の紙を差し出してきた。
その紙には、この世界におけるスキル一覧と書かれていた。
「魔法もスキルの内か」
「そう、スキルは誰でも取得できるようになっていて、魔法もスキルの内なんだ。
生まれたときに一つか二つランダムで与えられて、そこからそのスキルを活かした職業にするか、自分で新たなスキルを得て生きるかを選べる」
「なるほど」
そう言って俺はスキル一覧を記憶する。
「スキルの取得の方法は?」
「それは自分で調べてね」
「それもそうだな」
スキルの総数は数えるのがめんどうになるくらいはあったのでスル―した。暇なときに完全記憶で呼び出せばいいし。
魔法も基本属性の火水風土雷木の六種に加えて光と闇の二種で計八つ。
そこからエルフ専用の魔法、獣人専用の魔法、ドラゴン専用の魔法、のように細かく分けられている。
正直選ぶのがめんどくさい。
「選ぶのがめんどくさいから、なんか適当に頼む」
「えー!?ゲーマーなら嬉々として選ぶ場面でしょここは!」
「いや、スキルの総数が多すぎて、正直めんどくさい」
「はぁ、わかったよ。なら僕が特別に選んであげるよ」
そう言って管理者はスキルを三つ選ぶと俺の前に三つの石を差し出してきた。
「はい。この三つね、まず一つ目は【全適正】これはすべてのスキル・・・あー、種族専用の魔法とかを除いての話ね。を習得するのに必要な特殊スキル」
「ふむ」
特に全部覚えたいわけではないが、まぁスキルが取れるなら貰うに越したことはない
「次に二つ目、【魔力操作】これがあれば直感で魔法はすぐに覚えられる。持っている人は正直に言うとあまりいない。僕の世界の住人は魔力に慣れているからね」
「ふむ」
これもまぁわからんでもない。魔力を操作して水を動かしたりすれば水魔法でもとれそうだ。
「そして最後に、三つ目【経験値UP】」
「レベル上げるなら必須だな」
MAXが200って言ってるんだしのんびり上げるのもいいけど、もしも過酷な世界なら厳しいだろう。
「あとは、必要なアイテムだけ渡して転送しちゃうよ」
「そうか、世話になったな」
「特別に【アイテムボックス】のスキルを上げるよ。これはまぁゲームとしてはお約束でしょ?」
「そうだな、アイテムを自動で持ち運べるならそれに越したことはない。というよりも、こんなに貰っていいのか?
普通の異世界ものならアイテムボックスだけとか、適当な魔法一つだけとかそんなもんだが・・・」
「いいのいいの、君が直ぐに死んでもつまらないし・・・あ、あと武器を上げよう」
「いいのか?じゃあ鎌で頼む」
「え?鎌?刀とかじゃなくて?日本人なら刀で居合とかあこがれると思うんだけど・・・」
「いや、鎌でいい。確かに刀は造形としても性能としても優れているが、俺はそれでも鎌が好きなんだ」
何故だろうか、鎌にはなんでか惹かれるんだよな・・・
「えー、僕は刀で居合切りが見たいのに・・・じゃあ鎌と刀上げるよ」
「そんなノリで決めていいのかよ」
「良いの良いの。僕としては刀が見たいし。メイン鎌でサブに刀でいいでしょ?魔物の解体に鎌とか使いづらいし貰っといてよ」
「わかったよ」
そう言うなり、俺の目の前には青色に輝く大鎌と漆黒の一振りの刀があった。
それを試しに数回振って手に馴染むのを確認してから、アイテムボックスにしまう。スキルの使い方は直感で理解出来るようだ。
「聞き忘れてたんだが、この世界のことをもっと詳しく教えてくれ」
「あ、そうだね事前知識なしは流石にキツイか。長くなるけどいいかい?」
「ああ」
「じゃあ話そうか・・・」
そこからの話はもの凄く長かった。時間にすると三時間くらい。長年話し相手が居なかったせいもあると思うが、本当に長かった。
普通の転生物なら事前知識無しとか当たり前な気がするけど、ここの管理者さんは結構ゆるいらしい。
で、話を省略すると、
この世界の名前はベスタ。人種と魔物が入り乱れた世界。魔族は居ない。魔王も居ない。平和な世界。
平和すぎて飽きたので俺が呼ばれた。俺を呼ぶために地球の管理者との交渉が色々あったようだが、愚痴ばっかりだったので全て聞き流した。まぁ覚えてるんだけど。
で、この世界でたまーに力をつけた馬鹿が暴れる程度で、特にこれと言って問題はないみたいだ。
山にはドラゴンが住んでいる。その中からたまーに力あるドラゴンが人種の住むところに来るが、それは一種の命を懸けたイベントの様で、人種対ドラゴンの戦闘は見ものだという。
ちなみに今のところドラゴンが勝利した例は一回だけっぽい。
あ、人種というのは、人間、エルフ、ドワーフ、小人、獣人のように、人の見た目をしているものを総称して人種と呼んでいる。海には人魚もいるみたいだ。
そんな世界の主な収入源はダンジョン。
管理者がダンジョンをいくつも作り、そこにダンジョンマスターという知能を持った魔物を配置することによって運営しているようだ。
ただその魔物の知能が高すぎて、攻略は極稀にしか出来ていないのだとか。
が、これまた、たまーに馬鹿みたいに力を付けた奴がダンジョンマスターを倒すことがあるようで、倒された後のダンジョンはその魔物を狩った奴に所有権が移るらしい。
しかし管理者がそれを嫌がるようで、馬鹿みたいに強い魔物をそのダンジョンに送り込むことによって、取り戻しているのだとか。
何をやってんだ管理者は。まぁ、適切な処置と捉えておこう。
あと、肝心な言語だが、文字を含めて全て日本語に訳されるから心配ないんだと。便利だな。
物価についても聞いた。
お金は、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の四つ。種族で差異はなく全国共通なんだとか。貨幣統一してるとか凄いな。
で、基本的に銅貨が100円、銀貨は1000円、金貨は1万円、白金貨は10万円と覚えておけばいいらしい。
端数を作るのがめんどくさかったとかで、銅貨以下はない。そこはめんどくさがるなと言いたい。まぁ物々交換も出来るようなので必要としてないらしいが。
ちなみにこの貨幣は管理者が作っているのだとか。手を出し過ぎてて世界がやばい。
と、まぁこんなとこか。俺からの総評を言おう。馬鹿みたいな世界だな。だが少しだけ楽しそうだと思った。
「これで準備は良いかな。大分優遇した気もするけどまぁいっか」
「そうだな」
「さあ、ここからは君の新たな人生だ。好きに生きるといいよ!特に口出しはしないと思うし、見守ってる程度だから
気にせず自分の思うままに楽しんでね。ダンジョンもあるから最初はそこに飛ばそうか。君の為に新しく作ったんだ!」
「いきなりダンジョンって、まぁいいか」
「じゃ、幸運を祈ってるよ、ようこそ異世界ベスタへ!」
「ああ」
笑顔で手を振る管理者を見ながら俺の視界はホワイトアウトした。
そして気が付いたら目の前には階段があった。
本当にダンジョンの入口かよ。
まぁいい。
俺は――
ダンジョンへは向かわなかった。
如何でしたでしょうか。
ご意見ご感想お待ちしております。




