3月の旅
あの3月の旅路の終わり
君は「帰らない」って言ったね
草原に残された廃墟を抜けて
また草原を越えた先の丘の上で
まるで旗のように折れた鉄パイプを突き刺して
「ここで世界は終わりだ」って顔をして
僕はその先に行けなかった
君は夕焼けの中を飛んできた飛行船に乗って
一人で赤い空の向こうへと行ってしまったんだ
一度も振り返ることなく
「何の後悔もないさ」って顔をして
簡単に僕らを置いて行ってしまった
何が大事かってことは結局未だに分からないけれど
君は間違いなく本当を選んだんだろう
錆びたレコードプレーヤー
ガラスの森
二つに裂けたブリキの缶
図書館から盗んだ破けた本
僕らは廃墟の中のまま
何が大切かなんてわからないよ
それは3月の旅路の終わり
君が突き刺した折れた鉄パイプ
笑っちゃうくらい綺麗な夕焼けさ
笑っちゃうくらい綺麗な夕焼けだった