執着 其のニ
え、頭おかしいんじゃないのかって?
確かにこんなことありえない。それは確かだがまぎれもない事実なのでどうしようもない。
まぁ正確に言えば妖混じりと言うようなものらしい。先祖に妖と交わった人がいるらしく、その血を濃くついでしまった者が《先祖返り》と呼ばれ、その資質を宿す。それが彼らである。
鎌風兄弟もとい双子は鎌鼬と呼ばれるもの
龍崎紫苑は苗字が示す通り龍
狼川壱夜も同じく狼…まぁ人狼に近いらしい。海里もこの類いで彼は妖狐である。
もちろんあたしは人間だ。最初にも言ったが至って普通、その辺にいる一般人と何一つ変わらない。
なのに何故こんなHSPな奴らといるかというとまぁいろいろある。きっかけは従兄弟の修也の所為なのだが。あれはまだ小学生だったし、あの頃はこんなことになるなんて思いもしなかった。
普通に相手をしただけで何故か懐かれいつの間にかストーk…いや、うん。かなり執着されてしまったらしく、小学校はともかく、中学までわざわざ公立の、それも同じクラスに転入してきてべったりだった。(三年間とも同じだった)
そのせいか、男友達はともかく女の子…同性の友達もできなかったのだ。解せぬ!
ともあれ、三年間の我慢だと言い聞かせ、中3の時、表向きは彼らに合わせ同じ高校にした。実際受けたのは全く違う高校。それも女子校だ。邪魔されないよう春休みは受験勉強に専念するから、と距離を取り、なんとかバレないよう受験。そして見事合格したあたしはやっと憧れのスクールライフにはしゃいだ。それも母親に精神科を勧められるくらい。
そんなことよりも彼らから離れられることのが嬉しかった。やっと自由を得たのだから。
寮生活してしまえばなかなかこっちには戻れないし、何より友達ができる!女子からは嫉妬の視線がなくなるのだよ!あぁ《普通》万歳。ノーマル最高。
だが、甘かった。そんなことは当然の様にお見通しだったらしく、裏から手を回された様で…冒頭に戻る