第4話 王都へ
シュツルムホルストに戻ると、ペトラはさっそくギルドに行き、クエスト達成を報告。報酬を貰った。ちなみに、ウーレ・ベアから採れる素材は、ハンターが貰うかギルドに売るかのどちらかを選択できるが、ペトラは毛皮を一部貰い、他は売る事にした。
その後、ペトラはホテルへ、ルッツはイレク・ヴァドへ戻り、一夜を過ごした。
そして、翌日の朝。ホテル前。
「じゃ、僕は旅を続けるから。ペトラも、気を付けて……」
「待って」
バイクにまたがり、去ろうとするルッツを、ペトラが制止した。
「私は、あんたと一緒に付いていきたい。その方が、ハンターとして腕前を上げられるだろうし。それに、あんた能力が無いから、ギルドに入れないんでしょ? だったら、曲がりなりにもギルドの組合員である私が一緒なら、色々と役に立つんじゃない?」
ルッツは、しばらく思考した。そして、答えを導き出した。
「僕は、世界中を巡ろうと考えている。だから、二度と故郷に戻れなくなるかもしれない。そこで、僕がお前を連れて行くのは、国境付近までとする。そこから先、ずっと付いて行きたいかどうかは、その時にお前が決めろ。いいな?」
「……いいわよ」
ペトラは、ルッツの厳しい口調に少したじろいだが、了承の意を示した。
「了解だ。それじゃ、これ」
ルッツが渡したのは、予備のヘルメットとタクティカルベストだった。
「安全のためだ。それを着けろ。でないと走ってついて来させるからな」
「わかったわよ。にしても、全部モスグリーンって……。もうちょっとマシな色はなかったの?」
「残念だが、これしかない。でも、今度スポンサーと接触したら、他の色が無いか聞いてみるよ」
そして、ルッツはエンジンを吹かし、バイクを走らせた。
「そう言えば、次の目的地は?」
「王都主パーマリッヒ。あそこは、外国へのアクセスがいいからな。とりあえずそこを目指す」
「え~?」
見るからに、ペトラが嫌そうな顔をした。
「不満か?」
「いや……、あそこは、一回行ったところだから、わざわざ戻るのも……」
ペトラの言葉に、何か裏がある様な気がしたが、何か深い事情があると思ったルッツは、詮索しないでおいた。
「お前が僕の旅に付いて行くって言ったんだからな。文句を言うな」
「はいはい。わかりましたよっと」
バイクは今日も、快調だった。