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[季節]クリスマスって美味しいの?[外れ]

クリスマスをどうやったら食べることができるかちょっと真剣に考えてみました。といっても30分くらいですが。とりあえず頭が悪いので、とんでも理論になっております。そこらへんだけご注意を。



「ねぇ!クリスマスっておいしいのかな?食べてみようよ!」


「はっ?」


突然わけもわからないことを言い出すのは、いつものことである我が幼馴染。今年から2人して地元の大学に通うことになった、ピチピチの大学生一年生だ。ちなみに、友達は100人もいらないと思っているため、サークル活動などは二人ともしていない。


「だから!クリスマスが美味しいか確かめようって言ってんの。ドゥーユーアンダスタン?」


「だから!それが意味わかんねぇって言ってんだよ。クリスマス美味しいのって?それネットのネタだろうが。大体どうやってクリスマスを食うんだよ。今4月だぞ。クリスマスケーキすら売ってねぇじゃんか」


俺のその言葉に、「わかってないなー」と言いながらチッチッと指を鳴らす。言っとくけどさまになって無いからな。まぁ、口には出さないけど。


「わかってねぇって何が?」


「ふふ。それはだねー。不可能に挑むことの大切さ!がだよ」


あまりない胸を張りながら宣言する。マンガならどどーんという擬音語がつきそうなほど自信たっぷりだ。まぁ、つまり


「それ言いたかっただけだろ。よかったなー。かっこいいぞー。がんばーれ」


そっけなく返答したあと、手に持ったマンガに目を戻す。すると、いきなり俺めがけて足元にあったクッションを投げつけてきた。


「んだよ。まだ何かあんのか?」


「あるよ。ってかまだ何も始まってないよ!」


「はぁ?だからクリスマス食うのなんて無理だって……」


「何でそう思うの?ねぇ、何で?」


うわ。うざってぇ。こいつはこうなると昔から引かない。上から見下してくる顔にため息をつきながら、仕方がないので相手をすることにした。


「何でって、お前。クリスマスってのは単純に言っちまえば日にちの名前だろ?物体じゃねぇだろ。触れねぇもんどうやって食うんだよ」


「おっ!いいとこ気づいてんじゃん。そうだよ。物体じゃない。でもそこは発想の転換だよ。ワトソン君」


誰がワトソンだ。と突っ込もうと思ったが、乗ってきたようなのでとりあえず最後まで話を聞くことにした。


「つまりだね。物体じゃなくても認識できるということは、それはクリスマスっていう人々の中で定形化されたイメージがあるわけだ。僕達人間はその定形化されたイメージの中の、それを表すいくつかの適当なキーワード認識するだけでもクリスマスって判断できるよね?例えば、4月にみんなで集まって、七面鳥買って、サンタクロースみたいな人が居れば、メンバーのうち誰かはクリスマスみたいだねって言うでしょ。そこで質問。まぁ、日本においてだけになるけど、クリスマスの中で定形化されたイメージのなかでも、クリスマスであるとイメージするのに最も適したものってなーんだ?」


「はぁ……まぁ、サンタクロースとか。プレゼントとか。後……ケーキは違うな。日本においてってことはキリストも関係ないな。実際、キリストのことを祝ったりしないしな」


考え込む俺にしびれを切らしたのか、「ぶっぶー時間切れ―」と言うと、持論を述べ始める。というか1分も我慢できねぇのか。こいつ。


「ふっふーん。日本においてクリスマスだと判断できる一番の要因。それはね12月24日!日付だよ。初めは違ったかもしれない。でも、日本に根付いてみんなが12月24日はクリスマスだって認識してるからだよ。だって、ケーキとか、七面鳥とか一つ一つ連想させるよりも、12月24日はなーんだって聞いたら一発で連想できるでしょ?」


「……あのな。24日はイブだ。それに、20日をクリスマスって決めたらそれで変わるんじゃねぇのか?」


「あのねー。日付だって言ったでしょ?みんながあの日はクリスマスだって、認識する日、もっと言うなら基準とする日があること。それが大事なんだよ。認識の基準となる日が定まってるからこそ、その日に向けてクリスマス商戦とかがおこなわれるわけ。色んな人が色んな思惑で、その日に向けてクリスマスってのをつくっていくわけよ。この日がクリスマスで、この日に向けてケーキ用意してとか、デートの予定立ててとかねそうやって色んな人の思惑が合わさって今のクリスマスがあるわけ」


わかったような、わかんねぇような。合ってるような、ズレてるような。そんな複雑な気分になった。でもまぁ、これ以上はいいだろう。そもそも肝心のところを聞いてない。


「日付が大事ってことはわかった。それで、どうやって食べるんだ」


「そう!まさにそこ!ふふっ。聞いて驚け。要は12月24日=クリスマスとなっているならば!」


「なっているならば?」


「12月24日を忘れさせてしまえばいいのだよ!」


目の前が真っ暗になるかと思った。


「ちょっと待て、それでどうして食べたことになる?」


「うん。つまり、僕達はクリスマスを食べたつもりになる。日本中の人にクリスマスを忘れさせることは無理だけど、身近にいる人にならいけそうじゃない?」


「……つまりあれか。例えるなら、そうだな。今現在、日本のクリスマスを楽しみにしている人全員をクリスマスケーキに例えたとする。全員で一つのクリスマスケーキを形作っていると。そしてそのうちの一部にクリスマスという日を忘れさせて、結果クリスマスを祝わないようにする。イメージは、一部分だけ食われたケーキってことだな?そうすることで、クリスマスという人々が認識しているからこそ成り立つものの一部を取り除き、食ったことにすると」


「せいかーい!さすがだね!ちなみに味は、クリスマスを忘れた人を見て僕らがどう感じるか。食べてからのお楽しみだね」


あぁ、嬉しそうに、あほ毛をぴょこぴょこ揺らしてるけど、何が悲しくて他人の楽しみをわざわざ奪わなければならないのか。しかも、労力をかけて。バカだこいつ……こんなこと思いつくなんて、前世はバクか何かだったのだろうか?しかたない……


「なぁ。そんなことより、クリスマス一緒に楽しむこと考えようぜ」


とりあえず、意識を思いっきりズラしてみよう。すると、


「えっ!ホントに!何する。何する~。僕、遊園地行きたいな~」


さっきまでの力説はどこにいってしまったのか、さっそくネットで場所を探し始めた。まったく。あれやこれや思いつくのはいいのだが、付き合わされる身にもなってくれ…‥そう思いながら、俺は軽くため息をつくのだった。


「おっ、ここなんていいんじゃねぇか?」


「えっ、もしかしてここのホテルに泊めてくれるの?やーん。エッチー!」


「……だれが、お前のような幼児体型とホテルに行くか」


小さいアパートの窓に暖かい日差しが差し込む。中の住人はギャーギャーと言い合っているが、そんなことは全く意に介さず、満開のサクラからゆっくり花弁が落ちていった。

僕は長らくクリスマスを祝っていません。いつも気が付いたら過ぎております。食べられたのかもね。なんか感想あれば遠慮なく下さい。むしろ何でもいいので下さい。頑張って返事します。

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