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継承式の心得

裏タイトルをつけるのなら、ジェド王子は苦労症。

お気に入りにして下さった方、評価を下さった方が結構いてドキドキしてます。

ありがとうございます。


「神よ……。

 この度、貴方様の御世話をさせていただいていた私レェンダ―国の第二王子ジェードが、正式に新国王と相成りました。つきましては、我が国の繁栄が末永く…」


「何だ、その堅苦しい高言は」


さっきから、大分イラついてはいたが「お前には似合わぬなと」言われた言葉に、とうとうキレた。


「~~だから!

 神に守護されている国と他国に知らしめるために、大々的に式を開くから、協力してくれって言ってるだろう!!で、今はミスのないように練習してんだよっ」


あんたの為にな!と、怒鳴り散らしたいのを何とか耐えて、ぎりぎり歯ぎしりした。収賄やらなんやらで真っ黒だった義兄を玉座から引きづりおろし、何とかここまでこぎ着けたのだ。まさか、一番の頼りの綱である神に邪魔させるわけにはいかない。


姫はというと、珍しく大声をあげてどなり散らしている俺に驚いている。

俺が「協力してほしいと」言って一人、少し離れた場所で暇をつぶしてもらっていたのだ。本を読んでいるときは、滅多な事がない限り周りに気を配ったりしないのだが、今回ばかりは驚いてエイネム様に抱きついていた。



それを受けて、大きな狼が嬉しそうに尻尾を振っているのがまた気に障る。

俺は慣れない事務作業やらで苛立っているというのに、その元凶が幸せでたまらないといった様子なのが…本当に解せない。


こちとら、信者や他国からやれ「神を利用したのか」「まさか『特別な取引』でもしたのではないだろうな」などと言われないように必死になっているというのに、何をデレデレしてやがる。エイネム様相手ならまだしも、『神』相手に買収するなど、こちらは方法すら思いつかないというのに、どれだけ想像力がたくましいのだ。いっそ、そんな方法が思い浮かぶお前らの方が、問題だろうと何度威嚇したくなったかしれない。


ちなみに一番の脅威である神官長は、以前『神の名を勝手に語り、金品の類を要求していた件』から俺の監視下にあるため、余分なことは言えないだろうし、言わせない。


元より、これは我が国のためであるというのは否定できないが、俺が全面的に神に信頼されていると証明する為でもあるのだ。それが出来れば、何かと変わっているこの御方の本性を晒さずに、俺が独断で様々な世話を焼くことが出来る。




これまでは、力量の差が顕著であるが故に大きく他国と揉めるような事はなかったが、周辺諸国もどんどんと力をつけてきているため、今の状況に胡坐をかいているわけにはいかない。

俺を国王にと推してくれた者たちのなかには、愚かな父親や義兄に愛想を尽かした者の他に、ぬるま湯のような現状の打開を望む者も多かった。それが出来なければ俺は王として失格であろうし、そもそもあの馬鹿を押しのけて王になった意味がなくなってしまう…。


「―――なんだかジェド様、何時もより苛々なさっているのね」


「嗚呼、シェールが気にするほどのことではない。

 今まで面倒の一言で片づけて逃げていた事と向き合って、戸惑いと不安を隠せていないだけだよ」



はじめて俺に『言葉を教えろと』言ってきた時とは、比べようもない程、甘く柔らかにエイネム様が姫に話しかける。


……おい。

確かに、柄にもなく緊張しているのは認めるが、己の行いは棚上げか?

「練習に付き合えと」言えば、目に見えて嫌そうな顔をし。姫が気をつかい離れてくれたと思えば、顔をそちらに向けた状態で聞きゃあしない。


シェール姫に、持ってきたばかりの上等な櫛を先に渡したのが悪かったのか…。

だが、それは同時に渡した本で「暇をつぶして居て下さいと」いう無言の訴えだったのだが俺のやり方が悪かったのか?

まさかそんなに直ぐに、エイネム様が床に寝転がり毛を梳いてもらおうとするとは思わないじゃないか。何も…そんなに物欲しそうな顔をして、シェール姫を見つめないでもいいじゃないか。



っていうか、さっそく続きをしようとするんじゃない!!


結果、俺がエイネム様の城に居られるぎりぎりまで、式の練習をすることは叶わなかった。






結局、ジェドが王になっても何になっても、エイネム様にはかなわないので真実の王はエイネム様だと思います。

ただし、話し方はだいぶ砕けましたね。


私個人としては、シェールとエイネム様が幸せだったら嬉しいのですが、皆さん実はジェドが好きですか…?

もしご意見聞かせてくれたらうれしいです。

ジェドは、あまり表だったキャラではなかったので、お気に入りが増えてびっくりしてます。

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